「NPO」ってどんな組織で、何をしているの?【国際】

「NPO」ってどんな組織で、何をしているの?


 NPOという言葉をよく耳にします。皆さんの中にはボランティア活動などを通して、NPOに参加した経験を持つ人もいると思います。1998年12月に特定非営利活動促進法(NPO法)が施行されて以来、NPO法人は着実に増加し、全国ですでに4万団体を上回るNPO法人が活動しています。
 最近では、学生時代のNPO活動を活かし、そのままNPO活動に身をおく人もいるそうです。ところで、「NPOやNPO法って何?」と問われると、どう答えればいいのか困ることがあります。注目を集めるNPO法人とはどのような組織で、何をめざしているのでしょう。

「NPO」ってどんな組織で、何をしているの? - 組織で社会貢献活動するのがNPO活動 -
 「NPO」とは、英語のNon-Profit Organizationの略で、非営利でボランティア活動や市民活動などを行う団体のことです。NPOは、営利を追求する株式会社などの営利企業と異なり、「社会的な使命(ミッション)の実現をめざして活動」する組織や団体のことです。つまり、現代社会が抱えるさまざまな課題や問題に対して、積極的に関わろうという想いを持った人が集まり、課題克服に向けて一緒に行動する組織や団体がNPOなのです。
 自発的に社会貢献活動を行うという点では、ボランティア活動と大差ありません。しかし、ボランティアが個人の責任の範囲で活動するのに対し、NPOは目的達成のために組織的・継続的に活動を行うといった違いがあります。このため、ボランティア活動からNPOに移行・発展した団体も多く、最近では当初からはっきりと目的を掲げてNPOを立ち上げるケースも目立っています。

- 非営利活動でも収益事業を行なう? -
 NPO活動は非営利活動のため、活動に対する対価はもらえないと思っている人がいるかも知れません。実はそうではなく、営利を目的に活動するのではなく、利益が出た場合はNPOを構成するメンバーに「利益を分配してはいけない」ということです。
 利益が出た場合は、組織を継続的に維持・強化し、より充実した活動を展開するために使います。社会貢献をめざしてNPO活動を継続していくために、いかに活動資金を確保するかが重要な課題になっています。このため、従来の会費や寄付金に頼るだけでなく、有償でセミナーやイベントを計画したり、老人介護など福祉面を中心に有償のサービスを行ない、財政基盤の強化を図っているNPOもあります。
 つまり、NPOは収益活動を行うこともできますが、活動を通して得た収益はNPOが掲げる使命実現に向けた活動にしか支出できません。企業は営利追求を目的とする組織だから営利組織ですが、NPOは収益が出たとしても分配することなく、使命実現のために使用する組織だから非営利組織といわれます。
「NPO」ってどんな組織で、何をしているの? - 行政や企業とは異なるNPOの社会貢献 -
 NPOの社会貢献活動は、従来の枠組みを越えた柔軟な発想で行われるため、行政が行う公共サービスや企業の社会貢献活動とは大きく異なります。
 現代社会が抱える諸問題に対して、過去の慣例にとらわれることなく、儲かるか否かという損得問題に関わることなく速やかに取り組むことができます。また、社会全体にかかわる問題から、地域的・個人的な小さな問題であっても対応することができます。
 雇用創出の場としても注目を集めています。就職難の今日、若者の意識の中に、「収入よりもやりがいのある仕事をしたい」といった労働への意識変革が見られます。「会社で働くのではなく、社会のために働きたい」という若者の受け皿として、NPOの役割は一層高まると見られています。
 さらにNPOは、家族・企業・地域といった枠組みに縛られることなく、構成員の同意のもと自由な発想で活動します。少子高齢化社会の進展など社会は急激に変化し、これまで社会を支えてきた地域コミュニティーは崩壊の一途をたどっています。こうした中、NPO活動は市民参加の場として、一人ひとりを結ぶ新たなコミュニティー構築の場としても期待されます。

- 法人格の取得で活躍の場は拡大 -
 1998年に施行された特定非営利活動促進法を一般にNPO法と呼び、認証数は増加し続けています。法人格を取得すると、団体自体が権利の主体になり、契約や登記、財産の保有などが可能になります。このため、社会的信用が高まり、寄付や助成が受けやすいといった利点があります。社会に広く認知されることで、NPO法人の活躍の場は飛躍的に広がっています。
 反面、NPO法で、特定非営利活動に関わる主たる事業として17分野が決められ、事業内容を変更しようとすれば、総会を開いて定款の変更が必要になります。このため、複数の活動分野を掲げている団体も少なくありません。また、事業報告書や収支報告書の提出などの情報公開が求められ、法人税も支払わなければなりません。さらに、社会保険への加入や常用雇用者がいれば労働保険に加入義務が生じます。法人格を取得して活動するには、法に則った運営や規則の整備が求められます。
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