急成長遂げるアジアの 経済新興国【国際】

急成長遂げるアジアの 経済新興国

経済発展の陰で対応迫られるインフレ、社会格差、環境問題!
 21世紀はアジアの世紀だといわれます。欧米諸国が長引く不況と財政赤字、金融不安で力をなくしているのに対して、アジアの経済新興国といわれる中国やインド、インドネシア、ベトナムなどが高い経済成長を続けて元気一杯です。残念ながら日本は、東日本大震災に見舞われ、被災地の復興や原発事故にともなう放射能汚染、電力供給の問題などで今後の経済活動は大変厳しいようです。
 そこで今最も注目されているアジアの経済新興国にスポットを当て、新しいリーダーとしての可能性や、内に抱えるさまざまな問題点、乗り越えるべき課題などを考えてみましょう。

急成長遂げるアジアの 経済新興国 - 中国は日本を抜いて世界第2位の経済大国。21世紀はアジアの世紀か? -
 ここ10年間、毎年10%前後の高い成長を続けてきた中国が、2010年に国の経済力を示す国内総生産(GDP)で日本を抜いて世界第2位の経済大国となりました。
 中国に次ぐアジア第2位の成長率を誇るインドは昨年8・6%の高い経済成長を遂げ、2011年度も8・2%と引き続き高水準の成長が予想されています。
 また、2004年12月に死者22万人以上を出したスマトラ沖地震とインド洋大津波に襲われたインドネシアは、大災害からみごとに立ち直って過去5年間で国内総生産の平均成長率は5・6%を記録して経済活動は好調です。
 このように中国やインド、インドネシアといったアジアの新興経済勢力といわれる国々は目覚ましい経済成長を遂げています。
 アジア開発銀行の『アジア2050』と題する報告書では、「40年後の2050年に世界のGDP(国内総生産)の51%はアジアが占め、30億人が貧困層から脱却するアジアの世紀がやってくる」とさえ述べています。

- 世界経済は欧米中心の枠組みからアジアを含めた新しい枠組みへ -
 これに対してアメリカやEU(欧州連合)各国の経済は元気がありません。2008年秋に世界経済はリーマン・ショックをきっかけに、金融危機が襲いました。世界の株式市場は暴落し、大手の銀行や証券会社が相次いで倒産、世界中が大不況に見舞われました。
 リーマン・ショックというのは、米国のリーマン・ブラザーズという巨大な証券・投資銀行が、低所得者向けのサブプライムという住宅ローンが焦げついて(回収不能となって)経営が破綻し、連鎖的に世界的な金融危機を引き起こして世界同時不況となったことを言います。
 リーマン・ショックを機会に、各国政府では世界の金融機関が複雑に絡み合った不安定な金融システムの是正や、金融機関への信用回復の努力がなされてきました。
 これ以降、世界の経済を考える場合の枠組みが、これまでの欧米先進国中心から中国やインド、ブラジルなどの新興国を含めた枠組みに変わっていきました。

- 金融危機の不安におびえる欧州。財政赤字と不況、失業に苦しむ米国 -
 今、ギリシャの国家財政が破産寸前の赤字に苦しみ、イタリア、スペインでも国の財政赤字が増大してヨーロッパに金融不安が広がりつつあります。
 ユーロという共通の通貨を採用しているEU(欧州連合)加盟の国々は、再びリーマン・ショックの時のような金融危機がやってくるのではないか、と警戒心を強めています。
 またアメリカは、イラクやアフガニスタンでの対テロ戦争と長引く不況、深刻な財政赤字、失業率の増大に苦しんでいます。
 アメリカの景気低迷が続き、財政赤字がますます増大すれば、米国政府が資金を調達するため発行している国債の信用が低下して、やがて金融パニックが起こるのではと心配する声が高まっています。

- アジアの新興国を襲う石油高騰、インフレ。反政府暴動、政情不安が心配 -
 それだけに、今元気なアジアの経済新興国に大きな関心と期待が集まっています。しかし、これらの新興国は今後世界経済のリーダーシップを発揮できるのでしょうか?
 今年1月チュニジアの政変を皮切りに「アラブの春」と呼ばれる中東民主化革命がスタートしました。今なお、リビアやイエメンでは政府と反政府の衝突が続き、ペルシャ湾岸諸国も民主化運動の騒乱が波及することを恐れて緊張が走っています。
 長期の独裁政権を倒したチュニジアやエジプトも経済への先行きに不安が高まっています。こうした政情不安で中東の石油産油国は警戒感を強め、国の財産である石油の販売を引き締めています。
 このため石油価格が上昇し、それが肥料や食料の高騰を招き、中東の石油に依存するアジア各国の国民生活に大きな打撃を与えています。
 とくに、アジアの経済新興国は、物価が急激に上昇するインフレに見舞われています。それは食料危機を招き、慢性的な水不足がさらに深刻になり、国民生活を直撃しています。
 国民の不満は反政府の大規模なデモや暴動へ発展し、テロの発生を招く恐れがあります。
 こうした課題を克服するため、国連をはじめ、G20(欧米先進国と経済新興国を含む20カ国の財務大臣と中央銀行総裁の会議)やASEAN(東南アジア諸国連合)を通じて協調と連帯を呼びかけています。日本も支援の手を差し伸べています。
 躍進するアジアの主要新興国が抱えるテーマをピックアップして検証してみましょう。

【中国】
- 中国経済最大の課題は環境問題。世界第2位の経済大国は世界最大のCO2大国 -
 1992年から独自の社会主義市場経済体制を導入した中国は、安くて豊富な労働力を武器に目覚ましい経済成長を遂げてきました。日本や欧米各国の企業は、製造コストを削減するため人件費の安い中国に相次いで工場を移しました。
 「世界の工場」として中国は、直近の10年間で毎年10%前後の高い成長を続けてきました。
 そして2010年には国内総生産(GDP)が、約5兆8812億ドル(前年に比べ9・2%増)と、日本を抜いて米国に次ぐ世界第2位の経済大国になりました。
 急成長を遂げるということはエネルギーの消費が急増することを意味します。中国のGDPは1978年から2009年までの約30年間で93倍に拡大しましたが、エネルギー消費量は石油換算で4億570万トンから21億7700万トンへ、二酸化炭素(CO2)の排出量は約4億トンから65億トンに増大しました。
 とくに中国は直接燃焼する1次エネルギーの7割以上を石炭に依存しています。中国のGDPは世界の8%に過ぎないのに石炭の消費量は世界の47%、石油は10%以上で、二酸化炭素(CO2)と二酸化硫黄(SO2)の排出量は世界の20%以上を占めています。
 中国政府は2020年までに石炭や石油を使わないエネルギーの非化石燃料化を進め、原発や太陽光や風力などのクリーンエネルギー比率を、消費量の15%まで引き上げようとしています。また、二酸化炭素の排出量を2005年に比べて40〜45%削減する目標を掲げています。
 しかし、中国の産業構造は鉄鋼や造船、自動車といった重化学工業に偏ったエネルギー多消費型で、今後も当分変わりそうもありません。
 国際エネルギー機関(IEA)は、2035年に世界全体で増加するエネルギー消費量の40%近くを中国が占めるだろうと予測しています。
 脱化石燃料の推進とエネルギー消費の効率化(燃費の改善)で、二酸化炭素排出量削減に効果のある思い切った環境対策を実施することが強く求められています。

【インド】
- 金融自由化や労働法の改善が課題。原油高とインフレに悩むアジアの大国 -
急成長遂げるアジアの 経済新興国  インドの経済成長率は2010年度8・6%でしたが、アジア開発銀行によると今年度も8・2%と、中国の9・6%に次ぐアジア2位の高い成長が見込まれています。
 一方で、北アフリカで始まった「アラブの春」と呼ばれる中東民主化革命の影響で石油、食料などの物価が高騰してインフレが拡大しました。
 インドでは今年2月国会周辺で、10数万人が食料の高騰や相次ぐ汚職問題などに対する抗議デモを行ないました。とくにインドは原油の80%を輸入に頼っており、ガソリン補助金の増加が国家財政を圧迫しています。
 インドの農業に不可欠な肥料は輸入の40%がオマーンやエジプト、ヨルダンなどからです。インドではこれら中東の産油国で数百万人の出稼ぎ労働者が働いており、本国への年間250億ドルを越える送金がインド経済に大きく貢献しています。
 インドは国内に約1億5000万人のイスラム教徒を抱えており、政府は中東の民主化運動の動きに非常に慎重な態度を見せています。
 一方では汚職が全土に蔓延し、失業率は10%に達して潜在的な不満が社会の底辺に渦巻き、いつでも反政府暴動に発展しかねないという、中東諸国と似た火種を抱えています。
 インドは汚職の蔓延、高い失業率、出稼ぎ経済、貧困層の増大という典型的な途上国問題を抱えています。貧困の撲滅と失業対策のために高い経済成長が必須の課題となっています。
 経済協力開発機構(OECD)は、「インドが今後も経済成長を続けるためには、小売業、金融業に対する外貨の規制=自由化と、従業員100人以上の企業が従業員を解雇するときは政府の承認が必要という労働法を緩和する必要がある」と指摘しています。

【インドネシア】
- 豊かな天然資源と豊富な労働力。インフラ整備、地熱発電に日本が協力 -
急成長遂げるアジアの 経済新興国  インドネシアは日本の5倍の国土に、アジア最大の天然ガスをはじめとした豊富な天然資源があります。
 人口は世界第4位の2億3000万人で、平均年齢は28・2歳ときわめて若い国です。参考までに高齢化が進む日本の平均年齢は44・8歳です。
 調査会社のストラテジック・デシジョン・イニシアティブによりますと、2050年の国内総生産(GDP)予測では、日本が約6兆6000億ドルに対してインドネシアは7兆100億ドルを越えて日本を追い抜くだろうと見ています。
 現在ASEAN(東南アジア諸国連合)はインドネシアやシンガポール、マレーシアなど東南アジア10カ国が加盟していますが、インドネシアが議長国を務めています。GDPでASEAN加盟国の3分の1、人口で40%を占める東南アジアの大国です。
 国内的には、インドネシアは人口2億3000万人の約90%という世界最大のイスラム教徒人口を抱えています。30年にわたって独裁政治を行なってきたスハルト政権が1998年に崩壊して以来、民主化と経済発展に努めてきました。
 スマトラ沖地震、インド洋大津波に大災害から立ち直って経済成長を続けるインドネシアは、現在総事業費約2兆円のインフラ整備に乗り出し、2013年までに港湾や空港、石炭火力発電の整備に着手する計画です。日本政府もこの復興プロジェクトを積極的に応援し、アジア最大の天然ガス資源国であるインドネシアとの関係を密にしてLNG(液化天然ガス)の安定調達を図っています。
 また、火山国でもあるインドネシアは地熱発電に積極的で、2014年までに約400万kwの地熱発電を計画していますが、日本はこの地熱発電事業に550億円の資金援助を行います。




【ベトナム】
- モノ作り大国・技術工業立国目指す東南アジアの優等生、ベトナム -
急成長遂げるアジアの 経済新興国  ベトナムの人口は9000万人強で平均年齢は27・8歳。人口増加率は日本がマイナス0・278に対してベトナムは1・077で、2050年には日本の人口が1億人を切るのに対してベトナムは1億800万人を数えます。
 ベトナムは機械や電機・電子などのハイテク産業の振興に意欲的です。材料や部品など裾野産業を育成するため、特別工業団地の建設を計画し、日本の中小企業誘致に力を入れています。
 すでに日本から多くの企業がベトナムに進出しています。日系企業の拠点は940ヶ所を数え、これまでに212億ドル(約1兆7130億円)が日本から投資されました。
 このうち86%の約183億ドルが製造業など工業分野で占められ、ベトナムはかつての日本のように技術とモノづくりに特化した技術工業立国を目指しています。
 今年1月に開いた第11回ベトナム共産党大会でベトナムは2020年までに工業国入りを目指し、1人当たりの国内総生産を現在の1200ドルから2015年までに2000ドルに引き上げる新しい経済計画を打ち出しました。汚職の追放に全力をあげることを強調して注目されています。
 ベトナムは国民が勤勉で、治安もよく、東南アジアの優等生として日本や欧米諸国から高く評価されています。
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