開発途上国の問題は世界の問題【国際】

開発途上国の問題は世界の問題


【開発途上国援助はなぜ必要か?】
 連日、報道でアジアやアフリカ、中南米などの開発途上国の貧困問題、食料問題、紛争などが大きく取り上げられています。日本は長引く不況で、格差や貧困の問題を抱えているにも関わらず、これらの国々をさまざまな角度から援助しています。なぜ、日本から遠い開発途上国に貴重なお金や人的資源を投じて援助しているのでしょう。

開発途上国の問題は世界の問題 - 日本と途上国は相互依存の関係 -
 日本と開発途上国は相互依存の関係にあり、開発途上国の問題は決して他人事ではありません。日本はエネルギーの約8割を海外から輸入し、石油については実に99.6%を海外に依存しています。食糧の自給率も40%を下回り、海外から輸入しなければ私たちの生活が成り立たないのが現状です。これらの輸入元の多くは、日本の国際協力を必要としている開発途上国なのです。
 日本は貿易依存国であり、こうした開発途上国との協力関係を今後も維持していくことは大変重要になっています。

開発途上国の問題は世界の問題 - 世界に影響を及ぼす開発途上国の問題-
 開発途上国が抱える問題の多くは、一国だけの問題に止まらずグローバルな問題となっています。開発途上国と呼ばれる国は、世界で約160カ国にも達し、さまざまな問題で人々を苦しめています。環境問題や衛生事情の悪化で、感染症などの拡大が心配されます。また、栄養摂取不足や安全な水の確保が困難なため、幼い子どもたちを中心に死亡率の高さが目立ちます。さらに、不十分な教育や労働環境の悪化などで社会不安を招き、結果として紛争につながる場合もあります。
 こうした問題は、地球規模の問題に発展していく可能性があり、世界的なレベルで解決を目ざさなければなりません。これからの世界は、自国の利益を追求するだけでなく、グローバルな視点が強く求められています。

- 日本も「受援国」を経験-
 実は、日本も国際社会から支援を受けていた時代があります。戦後の復興期、日本経済の発展に欠かせない東海道新幹線や黒部第4ダムといったインフラ(社会基盤)整備は、世界銀行などから借りたお金で行われたのです。
 また、2011年の東日本大震災では、直後に世界各国から救援隊が駆け付け、250を超える国・地域・国際機関から義援金や支援物資などが届けられたことを忘れることはできません。

- 国際協力を担う「ODA」と「JICA」-
 日本は1954年、国際社会に貢献するために政府開発援助(ODA Official Development Assistance)をスタートさせ、開発途上国に資金的・技術的な協力を行ってきました。外務省所管の国際協力機構(JICA Japan International Cooperation Agency)は、1974年に発足した国際協力事業団を前身として2003年に設立されました。
 JICAはODAのうち、国際連合児童基金や国連難民弁務官事務所、世界銀行といった国際機関への資金の拠出を除く、二国間での技術援助、有償・無償援助、ボランティア派遣を一元的に担っています。
技術協力では、開発途上国への専門家の派遣や機材の供与とともに、途上国の行政官、研究者、技術者などを受け入れています。資金協力では、経済的に厳しい国が多いため、穏やかな融資条件での「有償資金協力」や、返済義務を課さない「無償資金協力」を行い、開発途上国のインフラ整備などに協力しています。

- 懸け橋として活躍する「青年海外協力隊」-
 ボランティア派遣事業では、「青年海外協力隊」がよく知られています。開発途上国からの依頼によって派遣される青年海外協力隊は、1965年に政府の事業として発足し、現在までに88カ国へ38,000人以上の隊員を派遣しています。
 その目的として、開発途上国の経済・社会の発展、友好親善・相互理解、国際的視野の育成とボランティア経験の社会還元などを掲げています。現地での職種は、教育、文化、スポーツ、農林水産など約200種類にも及びます。派遣先はアジアやアフリカが多く、国別ではアフリカのマラウイやケニア、タンザニア、アジアではフィリピンやマレーシアなどが目立ちます。隊員はこれらの国々で、日本と開発途上国を結ぶ懸け橋として活躍しています。
 青年海外協力隊への応募資格は、日本国籍を持つ20〜39歳の青年で、期間は原則2年となっています。募集人数は年間1000〜1200人で、毎年春と秋に募集が行われ、一次・二次試験を経て選ばれます。合格者は派遣前訓練を受け、それぞれの任地で活動を行いますが、この間の生活費などは保障されています。
 また、JICAでは1990年から人生経験豊かな40〜69歳までの「シニア海外ボランティア」の派遣も行っています。これまで71カ国に5,200人が派遣され、シニアの豊かな経験が活かされています。
 JICAでは、青年海外協力隊やシニア海外ボランティア参加者は、国際交流の一翼を担っているという意識を持つとともに、帰国後は活動を通じて得た貴重な体験を日本国内に広く還元してもらいたいとしています。
バナー
デジタル新聞

企画特集

注目の職業特集

  • 歯科技工士
    歯科技工士 歯科技工士はこんな人 歯の治療に使う義歯などを作ったり加工や修理な
  • 歯科衛生士
    歯科衛生士 歯科衛生士はこんな人 歯科医師の診療の補助や歯科保険指導をする仕事
  • 診療放射線技師
    診療放射線技師 診療放射線技師はこんな人 治療やレントゲン撮影など医療目的の放射線
  • 臨床工学技士
    臨床工学技士 臨床工学技士はこんな人 病院で使われる高度な医療機器の操作や点検・

[PR] イチオシ情報

媒体資料・広告掲載について