今、消費税を考えてみよう!【財政】

今、消費税を考えてみよう!

国の家計は火の車!財政再建の妙案は?

【国の経営は4割強を借金(国債)でまかなっている】
 - 支出の約4分の1が借金の支払いに - 
 まず、家の家計に相当する国の予算をみてみましょう。通常、国の予算は、年度はじめに前後して決まる一般会計予算と、年度の途中に必要な追加経済対策の財源として組む補正予算があります。
 平成21年度の一般会計予算の総額は、88兆5480億円で、昨年度の当初予算に比べて6.6%増加して過去最大の規模となっています。

今、消費税を考えてみよう!  支出(歳出)のトップは、年金や医療、介護、福祉といった社会保障関連で24兆8344億円。全体の約28%を占めます。次いで国の借金である国債の償還(満期国債の払い戻し)や、利息支払いに当てる国債費が20兆2437億円で全体の約23%。そして、地方自治体への補助金である地方交付税交付金が16兆5733億円で全体の18.7%を占めています。
 一方、収入(歳入)は、税収が46兆1030億円で、全体の52%です。その他の収入が10%ほどあって、残りの約38%、金額にして33兆2940億円は、国債の発行など公債金と呼ばれる借金でまかなっています。
 平成21年度の国の予算は、このほか補正予算(案)として13兆9300億円を予定していますから、一般会計予算と合わせて、一年間の国のやりくりを行なう全体の予算規模は102兆5000億円となり、今年度初めて100兆円を超えることになります。
 この補正予算でも財源の大半を、新たに発行する10兆8200億円の国債を当てにしています。このため、21年度予算で発行する国債の発行総額(つまり借金)は一般会計予算、補正予算合わせて44兆円を超えて過去最大規模となります。つまり、国の予算の4割強が借金(国債)でまかなわれることになります。
今、消費税を考えてみよう! 【溜まった国の借金(公債残高)は現在581兆円也
 - 増える社会保険費と国債費、減る税収 - 
 毎年、国の予算の多くを借金(国債)でまかなってきました。それでは現在、どれだけの借金があるのでしょうか。もちろん、返済期限が回ってきた元本や、利息は毎年返済していますが、残った国債の残高を「公債残高」と呼びます。
 この公債残高は、平成19年度で541兆5000億円、平成20年度で563兆2000億円、今年度は581兆1000億円に達し、年々増えているのです。
 この状態を家計に例えれば、年収600万円のサラリーマンが、5800万円の借金を抱えていることになります。しかも返済期限の迫った借金の支払いや、利息の支払いに毎年200万円以上を支出しているのです。他にもいろんな出費がかさんで生活が苦しく、新たに生活費として年間400万円以上もの借金を繰り返しているようなものです。
 サラリーマンなら、奥さんが働きに出るとか、アルバイトや副業で収入増を図るところですが、国の場合はあいにく税金以外に収入源がありません。
 むしろ、昨年秋以来の100年に一度といわれる大不況に見舞われて、事業税や所得税などの税収入が大幅に減少し、デフレの進行、リストラ、派遣切りなどによる雇用の減少や、消費の落ち込みからますます経済は縮小し、すべての税収が軒並み大幅ダウンして国の財政を一段と圧迫しているのです。

【大不況経済規模は17年前の水準まで縮小】
 - 窮余の一策は消費税増税? - 
 わが国の経済はどれほど疲弊しているのでしょうか。国全体の経済の大きさをはかるモノ差しに、国内総生産(GDP)があります。これは、個人がモノを購入した「消費」と、企業の設備投資や、個人の住宅投資などの「投資」を合算したものです。
 そして現在のGDPは、17年前の平成4年(1992年)の水準にまで縮小したといわれます。
 国の経済規模が縮減し、税収が減少すれば国の財政は苦しくなり赤字が増大します。この赤字を埋めるために借金を重ねる。つまり赤字国債の発行です。しかし、赤字国債の発行は財務体質を一層悪化させることになります。では、どうすればいいのでしょうか。
 そこで、消費税が財政再建の切り札として脚光を浴びているのです。
今、消費税を考えてみよう! 【消費税は国の税収の2割強を占めている】
 - 所得の低い人ほど消費税の負担増 -  
消費税とはどういうものでしょうか。私たちがお店でモノを買えば、そのモノの値段に5%プラスして支払います。この5%が消費税ですが、私たち消費者が直接役所に納めるのではなく、モノを販売するお店が消費者に代わって納める仕組みです。
 この消費税による税収入は、平成21年度予算で10兆1300億円、税収入の全体の約23%(歳入全体の約11%)を見込んでいます。単純計算ですが、消費税を今の5%から倍の10%に引き上げると、20兆円以上の税収となり、21年度一般会計予算の税収の43%を占めることになります。
 消費税の利点は、誰もが消費すれば公平に税負担が生じる点です。しかし、生活にゆとりのない低所得者には、収入の中で占める生活出費が大きいため、消費税は負担増となってもろに生活を圧迫することになります。
 所得の低い人ほど、所得に占める消費税の負担が相対的に大きくなる現象を「逆進性」と呼び、消費税引き上げ批判の大きな理由となっています。

【まず、景気回復に向けての努力が先決】
 - 消費税増税は慎重かつ弾力的な運用を - 
歴代政権党が安易に消費税増税に踏み切れない理由はそこにあります。少子高齢化の進展で、年金、医療、介護、福祉など社会保障の充実が叫ばれていますが、財源である税収の減少に悩む政府にとって、財源確保、財務体質の改善は昔から大きな政治課題なのです。
 今、必要なのは一日も早く景気回復に努め、法人税、所得税をはじめとした税収の回復、増収に全力を注いで、国債(借金)依存体質からの脱却を図ることです。
 つまり、消費税引き上げはあくまで最後の手段なのです。また、引き上げに際しては、ヨーロッパのように、食料品など日常生活に直結する必需品には税率を低くするとか、消費税を社会福祉や医療、介護といった弱者保護に向けた目的税とするなど、慎重な論議と国民のコンセンサスが必要です。
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