消費税は 上げざるを得ない のか?【財政】

消費税は 上げざるを得ない のか?

 今、政府は消費税の増税に必死です。年金をはじめとした社会保障の財源を確保するためには、やむを得ないといいます。そもそも消費税とはどういうものなのでしょうか。
 国の財源としてどんな税金があるのでしょうか。私たちの暮らしに直結する税金を考えてみましょう。

消費税は 上げざるを得ない のか? - 消費税が2段階で5%から10%へ引き上げられる -
 今年3月末に政府は消費税関連法案を国会に提出しました。
 法案の中身は、現在5%の消費税を2年後の2014年4月に8%へ、さらに2015年10月に10%へと、2段階で上げるというものです。
 私たちがお店でモノを買うときに支払う消費税は、最も身近な間接税です。1989年に初めて消費税が導入されましたが、その時の税率は3%でした。
 その後1997年に現在の5%になりましたが、納められた消費税の使い道はとくに決まってはいません。

- 増える社会保障の財源を消費税の増税でまかなう -
 今、政府が消費税の増税に躍起になっているのはなぜでしょうか。
 高齢化社会が進んで社会保障費が増大していますが、その財源となる税収が長期の不況で減少し続けています。このままだと、今後社会保障制度の維持が難しくなるため、消費税の増税で新たな財源を見出そうというものです。
 年金などの社会保障費は年間1兆円規模で増加し、国の支出(歳出といいます)は増えつづけています。一方、長引く景気の低迷から所得税や法人税などの国の収入(歳入といいます)がどんどん減っています。
 昨年12月末の時点で、国の借金の残高は958兆6385億円と過去最大を更新し、このままでは社会保障も国の財政も立ち行かなくなりかねない状態です。

- 消費税1%で年間2兆7000億円の税収が見込まれる -
そこで、景気に左右されず、手っ取り早く安定した財源が確保できる消費税を上げようというわけです。
 消費税を1%上げると、年間約2兆7000億円もの税収が見込まれます。5%増税すると、国と地方を合わせた消費税収は13兆5000億円増えるといいます。
 政府は増税分のすべてを年金、医療、介護、子育て支援などの社会保障の財源に使うと説明しています。
 ただ、消費税は世代や所得に関係なく一律のパーセントで課税されるので、一見公平に見えますが、所得の低い人にとっては大きな負担となります。
消費税は 上げざるを得ない のか? - 日本と海外の消費税を単純には比較できない -
 よく日本の消費税率は諸外国に比べて低いといわれます。確かにスウェーデンやデンマークの25%、イギリス、イタリア、ブルガリアの20%、オランダやドイツの19%、ロシアの18%、中国の17%などに比べて低いといえます。
 しかし、諸外国の多くの消費税率はすべてが一律ではありません。たとえばイギリスやメキシコ、オーストラリアなどでは食料品は無税ですし、北欧の国々では社会保障制度が充実していて、教育費や医療費が無料の場合が多いのです。
 したがって単純に消費税率だけを比較することは適当ではありません。



- 国家予算の約半分が借金(国債)でまかなわれている -
 日本の財政赤字は深刻だといわれます。2012年度の予算を見ますと、国の支出は約90兆3000億円ですが、収入は税金が約42兆3000億円、その他収入が3兆7000億円で計約46兆円です。差引き44兆3000億円足りません。
 そこで、足りない分は国債を発行して借金します。赤字を補てんするための国債を赤字国債といいます。国債をたくさん発行することは借金が増えることです。
 毎年国債の利息を支払ったり、満期になった国債の償還(返済)をしなくてはなりません。2012年度の支出のうち、約4分の1が国債費、つまり借金の返済や利息の支払いに充てられているのです。
消費税は 上げざるを得ない のか? - 国の財政を支える消費税、法人税、所得税の基幹3税 -
 2011年度予算で見た国の収入に占める主な税金の割合は、所得税が14・2%、消費税が10・8%、法人税が8・2%で、印紙税や酒・タバコなどの租税が10%となっています。そこで、中心となる所得税、消費税、法人税を基幹3税といいます。
 消費税は、モノを買ったりサービスを受けたりした場合に間接的に支払う税金でした。これに対して所得税は、サラリーマンや商店主、農家などの自営業者、それにアルバイトなどの個人が得た収入から、必要経費などを差し引いた所得にかかる税金です。収入が多い人ほど多くの所得税を納めます。

- 4月から法人税減税。それでも日本はまだ高い -
 さらに法人税は、株式会社や協同組合、財団などの法人が、事業を行って得た売り上げ(収入)から、仕入れ費や人件費などの経費を差し引いた額に課税される税金のことです。
 企業の景気回復を図るため、今年4月から法人税がこれまでの39・25%から36・8%に引き下げられました。
 それでも英国の28%やドイツの30・18%、フランスの34・3%などと比べて日本の法人税は高いといわれています。
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