「平成の大合併」で、市町村の数は半減!!【社会】

「平成の大合併」で、市町村の数は半減!!

 「明治の大合併」、「昭和の大合併」に続く「平成の大合併」が、今年3月に一段落しました。
 皆さんの中には、今回の合併のあおりを受けて、町名が変わった人がいるかも知れませんね。また、役所の所在地が変わって便利になったと喜ぶ人、あるいは不便になって困っている人がいるかも知れません。さらに、「合併で行政サービスなどが悪くなるのでは」と心配する人もいるようです。
 昔から慣れ親しんだ由緒ある地名が変わったり、時には無くなってしまうこともある市町村合併。なぜ、このような市町村合併が行われたのでしょうか。合併によって、私たちの町がどのように変わっていくのでしょうか?

「平成の大合併」で、市町村の数は半減!! 【合併の背景には、市町村を取り巻く環境の変化】
- 行政サービスの拡大、税収減に悩む自治体 -
 日本は1955年以降、世界に例をみないほどの高度経済成長を遂げ、政治経済の中心を担う東京への一極集中が進みました。
 一方、地方は過疎化が進み高齢化して、一部は限界集落を形作るようになりました。順調だった経済もバブル崩壊後、長期にわたって景気の低迷が続き、リーマンショック以降、より一層深刻度を増しています。
 市民生活に目を転じると、人口の減少や少子高齢化が着実に進行しています。国民の生活形態や意識の多様化で、地域コミュニティーは崩壊の危機に瀕し、住民サービスの担い手としての市町村の負担は大きくなる一方です。
 ところが、市町村を取り巻く環境は厳しさを増すばかり。景気は回復の兆しを見せず、各市町村は税収の落ち込みなどで、深刻な財政危機に襲われています。
 このような社会・経済状況を背景に、国の主導で市町村合併を促進し、行財政基盤を強固にしようというのが平成の大合併です。
「平成の大合併」で、市町村の数は半減!! - 「合併特例法改正」で、市町村合併に拍車 -
 市町村の合併を促すための時限立法として、1965年(昭和40年)に「合併特例法」が制定されました。その後、10年ごとに延長されてきましたが、目立った合併の動きは見られませんでした。ところが、1995年(平成7年)の「合併特例法の改正」によって、市町村合併に拍車がかかります。当時、3000以上あった市町村が、2006年には1821にまで減少したのには驚かされます。
 多くの市町村が合併に踏み切った大きな要因として、改正された合併特例法に「合併特例債」という財政上の優遇措置が盛り込まれたことがあげられます。市町村が合併すれば、その事業費の70%を国が地方交付税という形で負担してくれるものです。この優遇措置が2005年3月までに限定されたことから、財政危機に悩む各市町村は、〝とにかく合併を〟と駆け込み合併が相次ぎました。
 期限の切れた合併特例法に変わって、2005年4月に「合併新法」が施行されましたが、合併特例債などの財政支援措置はなくなりました。合併新法の特徴は、都道府県による合併の推進が盛り込まれていますが、合併新法施行後の合併件数は表にあるように旧法の時と比べて鈍いものとなっています。合併新法も2010年3月末をもって期限となり、政府主導の合併推進は一段落することになりました。
 
- 国は「アメとムチ」で強力に合併を推進 -
 当時の小泉政権は、構造改革路線を推進し、「地方で出来ることは地方で、民間で出来ることは民間で」という小さな政府を打ち出しました。この中心になるのが三位一体の改革で、国庫補助負担金の削減、国税から地方税への税源移譲、地方交付税の見直し、の三つの改革をまとめて行うので三位一体と呼ばれています。
 改革の結果、地方交付税は2003年度の23.9兆円から、3年間で5.1兆円もの削減となりました。地方交付税への依存度の高い市町村は、これからも住民に十分な行政サービスを行なうため、合併を選択した市町村も数多いと思われます。
 合併を推進する市町村には、国が財政支援という美味しい「アメ」を与え、消極的な市町村には地方交付税の削減という「ムチ」の政策をとって、強力に合併を推進したといえるでしょう。
「平成の大合併」で、市町村の数は半減!! 【合併にもさまざまなパターンが】
- 合併には新設合併と編入合併が -
 市町村合併には、新設合併(対等合併)と、編入合併(吸収合併)があり、県境を越えた越境合併(越県合併)もごく一部で行われています。今回の「平成の大合併」では、2~3市町村の合併が全体の3分の2を占める一方、10以上の市町村が合併した例もあります。
 「新設合併」では、合併しようとする複数の市町村をすべて廃止し、新しい市町村を設置します。合併によって、それまでの市町村の法人格は消滅し、各首長や議員は失職します。そして合併で生まれた新市町村で選挙が行われ、新しく生まれた市町村に、新しい首長や議員が誕生します。新設合併は、地域的に似通った市町村合併によく見られます。
 「編入合併」は、合併しようとする複数の市町村のうち、一つの市町村を存続法人にし、他の市町村は廃止されます。吸収された市町村の首長や議員も失職します。吸収合併ともいわれ、合併に都市が含まれる場合によく見られます。
 「越境合併」は、合併をめざす双方の市町村が属する都道府県の議決を必要とするため、実現へのハードルは高くなっています。平成の大合併では、その一例として岐阜県の中津川市に長野県木曽郡山口村が編入され、話題を呼びました。

- 合併が決まっても克服すべき問題が山積 -
 合併が議題にのぼり、合併に踏み切る時によく問題になる事柄を見てみましょう。
 まず、どの市町村と合併するのかが最大の問題です。各市町村はそれぞれ歴史や伝統を持ち、それを共有できる合併が望まれます。多くは都市圏内、郡内といった地域特性を考慮して決まられるようです。なかには、住民の合意が得られず、住民投票に持ち込まれたケースもあります。
 また、新しい市町村の名称や新庁舎の位置で、協議が混乱するケースがあります。新しい市町村の名称は、新市町村の顔であり表札になります。意見の一致を図るため、時間をかけて住民の合意を得るようにしなければなりません。同じように、本庁舎の設置位置も微妙な問題です。本庁舎の所在地は、町の中心であると考えられ、各市町村それぞれの面子や思惑があり、簡単には決まらないようです。
 この他、新しい市町村の議員定数をどのように決めるのかが問題になります。議員の削減は、市町村合併の目玉ともいえるもので、どのように議員数を削減するのか知恵を絞らなければなりません。また、財政規模が異なる市町村が合併するため、その調整も大きな問題になります。
「平成の大合併」で、市町村の数は半減!! 【「平成の大合併」のメリット、デメリット】
- 社会情勢の変化に対応するために -
 国の主導で「平成の大合併」が行われましたが、その目的として掲げられたのは、合併によって市町村の規模・能力を充実させ、地方分権の担い手にふさわしい行財政基盤の確立を図ることです。
 具体的には、少子高齢化の進展で、税収が減少するにもかかわらず、市民サービスはこれまで以上に重要性が増します。このため、市民サービスの水準を維持するには、ある程度の人口の集積が必要とされます。
 また、交通網の拡大・整備の進展で、私たちの生活圏は大きく広がり、従来の市町村の区域を越えた行政サービスが必要になってきます。
 行政改革の面では、国・地方とも厳しい財政状態にある中、合併によって集中と選択で従来の業務の効率化が図れるだけでなく、公共施設などを広域的に見直し、再配置することで効率的な運用が可能になります。
 平成の大合併で、政令指定都市や中核市、特例市が数多く誕生しました。行政規模を拡大することで、国がめざす地方分権の担い手として行政サービスを行なうことになります。当然、大都市にふさわしい行政が担当できるよう、国から交付される財源は拡大します。

- 市町村合併によるメリット -
 市町村合併は将来を見据えて行われるため、本来の効果が現れるまでには数年がかかると見られています。
 生活者視点で合併による利点としては、住民生活を意識して合併したため、生活行動圏に見合った行政サービスが可能になるはずです。各市町村が保有していた公共施設は、計画的かつ効果的に配置されるので、重複することなく利便性が高まります。
 広域化することで行政規模が拡大し、専門的知識を備えた職員の確保が可能になります。この結果、専門的かつ高度な行政サービスが期待できるようになります。
 町村から「市」への移行で、全国的なイメージアップが図れ、地域経済の活性化や青年層の定着、大型プロジェクトの誘致などプラス効果が期待できます。さらに、歴史的な観光資源を保持していると、国内外からの観光客の誘致も見込め、地域全体の活性化が期待できます。

- 合併によるデメリットも心配 -
 市町村合併のメリットの裏返しが、デメリットにもつながります。表裏一体の関係にあるといえるでしょう
 新しく町の名前を付ける場合は、住民の合意が必要ですが、簡単に決まらないのが通例です。結局、抵抗の少ない無難な名称になる場合がありますが、これでは長年培ってきた歴史や文化、伝統の継承という面で問題が残るかも知れません。これが原因で合併協議が難航し、時には合併が断念された例もあります。
 編入合併では、吸収された地区の住民の理解を得ることが重要です。企業の吸収合併でも同様ですが、吸収される側の立場を配慮しなければなりません。
 生活面では、行政区の拡大で町の中心部と周辺地域との格差の拡大が心配です。合併によって議員の数は減少し、結果として周辺地区まで目が届きにくくなり、各地区が各々受け継いできた歴史、文化、伝統行事の担い手の確保が難しくなり、場合によっては消滅する恐れがあります。
 合併によって行政サービスの効率化が図られますが、どうしても取り残される地域をどのようにケアするのかが厳しく問われます。新しい一歩を踏み出す時、どうしてもメリットとデメリットが出てきます。人間の知恵に期待し、一日も早い解決を願いたいものです。
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