広がる災害ボランティアの輪【社会】
【被災地の救援と復旧を草の根で支える】
平成7年(1995年)1月17日に起こった阪神淡路大震災では、1年間に全国から約138万人が被災地に駆けつけました。日本人のボラティア意識が高まったこの年は「ボランティア元年」とも呼ばれています。以後、新潟県中越地震(2004年)、東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)、西日本豪雨(2018年)、北海道地震(同)など数々の災害を通して災害ボランティアは日本の文化として根付いてきました。全国各地の被災地で輪を広げ、今や復興の確かな社会インフラとなって進化する災害ボランティアの活躍を追ってみました。
- 災害ボランティアの源流は阪神淡路大震災 -
ボランティアとは、英語で「自発的な」という意味のvoluntaryと、ラテン語で「自由意志」を意味するvoluntasが語源とされ、自ら進んで奉仕活動をする人を指します。
なかでも災害ボランティアは、地震や火山噴火、水害などの自然災害が発生した際、被災地の住民支援を行います。日本では、平成7年の阪神淡路大震災の救援活動が源流といわれます。
阪神淡路大震災では、全国から延べ138万人ものボランティアが駆けつけて被災者の救援に当たりました。しかし、当時は大勢の個人ボランティアを受け入れて活動の場を紹介する「統一的な窓口」がなく、現場ではかなりの混乱が生じました。
平成16年の新潟県中越地震では、地元の事情に詳しい自治体の社会福祉協議会が「災害ボランティアセンター」を開設して、それまで思い思いに集まっていたボランティアが、現場からの依頼に基づいて効率的、組織的な活動を行うことができるようになりました。
ボランティアとは、英語で「自発的な」という意味のvoluntaryと、ラテン語で「自由意志」を意味するvoluntasが語源とされ、自ら進んで奉仕活動をする人を指します。
なかでも災害ボランティアは、地震や火山噴火、水害などの自然災害が発生した際、被災地の住民支援を行います。日本では、平成7年の阪神淡路大震災の救援活動が源流といわれます。
阪神淡路大震災では、全国から延べ138万人ものボランティアが駆けつけて被災者の救援に当たりました。しかし、当時は大勢の個人ボランティアを受け入れて活動の場を紹介する「統一的な窓口」がなく、現場ではかなりの混乱が生じました。
平成16年の新潟県中越地震では、地元の事情に詳しい自治体の社会福祉協議会が「災害ボランティアセンター」を開設して、それまで思い思いに集まっていたボランティアが、現場からの依頼に基づいて効率的、組織的な活動を行うことができるようになりました。
- 東日本大震災では196カ所の災害ボランティアセンター -
現在では災害ボランティアの多くが、地元自治体の社会福祉協議会などが設置したボランティアセンターに登録して、現場の実情に即した効率的な救援活動を行うことができます。
また、個人ボランティアだけでなく、専門性を持ったボランティア団体も育ってきました。被災者支援の経験を積んだNPOや、海外の紛争地で難民支援を行ってきた国際NGO、医療や福祉などの技能を持った支援グループなどです。
そして平成23年3月の東日本大震災では、196カ所の災害ボランティアセンターが設置されました。東日本大震災では海外を含めて延べ550万人がボランティアに参加しました。このうち150万人のボランティアが災害ボランティアセンターを経由し、NPOなどを通じた支援活動も大きな役割を果たしました。
- 「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク」が組織 -
ただ東日本大震災では、個人のボランティアの受け入れを行う社会福祉協議会が手一杯となり、NPOなどの存在やその実力を現地自治体が正確に認識していなかったため、専門性を活かせる現場がなかなか見つからないという問題がありました。
こうした現地のコーディネート機能不足が、支援団体同士や自治体との連携を難しくし、支援活動の「漏れ」や「むら」が生じて力を最大限に発揮できなかったという問題が指摘されました。
こうした反省からNPOの有志が国や経済界を巻き込んで、日本で初めて支援団体の連携を担う「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD=ジェイボアード)が組織されました。ここでは有力なNPO、国際NGO、社会福祉協議会など23団体が参加しています。JVOAD発足目前の平成28年4月に熊本地震が発生しました。
現在では災害ボランティアの多くが、地元自治体の社会福祉協議会などが設置したボランティアセンターに登録して、現場の実情に即した効率的な救援活動を行うことができます。
また、個人ボランティアだけでなく、専門性を持ったボランティア団体も育ってきました。被災者支援の経験を積んだNPOや、海外の紛争地で難民支援を行ってきた国際NGO、医療や福祉などの技能を持った支援グループなどです。
そして平成23年3月の東日本大震災では、196カ所の災害ボランティアセンターが設置されました。東日本大震災では海外を含めて延べ550万人がボランティアに参加しました。このうち150万人のボランティアが災害ボランティアセンターを経由し、NPOなどを通じた支援活動も大きな役割を果たしました。
- 「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク」が組織 -
ただ東日本大震災では、個人のボランティアの受け入れを行う社会福祉協議会が手一杯となり、NPOなどの存在やその実力を現地自治体が正確に認識していなかったため、専門性を活かせる現場がなかなか見つからないという問題がありました。
こうした現地のコーディネート機能不足が、支援団体同士や自治体との連携を難しくし、支援活動の「漏れ」や「むら」が生じて力を最大限に発揮できなかったという問題が指摘されました。
こうした反省からNPOの有志が国や経済界を巻き込んで、日本で初めて支援団体の連携を担う「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD=ジェイボアード)が組織されました。ここでは有力なNPO、国際NGO、社会福祉協議会など23団体が参加しています。JVOAD発足目前の平成28年4月に熊本地震が発生しました。
- 情報共有、役割分担などの連携機能発揮へ -
熊本地震発生直後にJVOADは熊本県庁敷地内に拠点を設け、全国から集まったNPOなどが情報を共有する「火の国会議」を立ち上げました。活動したNPO団体は多いときで約300を数えました。
避難所運営や支援物資などでノウハウを持つNPO、医療や高齢者・障害者ケアの専門スタッフ、子育て支援や重機オペレーター、農業支援など幅広い分野の専門家たちの団体が、「火の国会議」を通じてそれぞれの専門性を活かした支援を長期間行いました。
このように熊本地震はNPOなどの団体が連携する仕組みが出来上がる節目となりました。
今後の課題として、災害が起きた時に支援を受ける側は、「火の国会議」のような情報共有、役割分担など連携機能を発揮できる組織を立ち上げ、受け入れ態勢を整える必要があります。
個人参加のボランティアの場合は、窓口となる災害ボランティアセンターの機能強化を図るとともに、核となる社会福祉協議会を中心にしてさまざまな団体で支える仕組みづくりが求められます。
- 周りの足かせとならない災害ボランティアを -
日本財団が今年2月に行った災害・防災アンケート(対象17~19歳、回答800人)では、災害ボランティアに参加経験があるのは8.3%で、67.3% が災害ボランティアに参加すべきだと答えています。
昨年8月15日に山口県大島郡周防大島町で行方不明の2歳児を救出した大分県日出町の尾畑春夫さん(78歳)は、64歳から新潟県中越地震を皮切りに全国の被災地で災害ボランティア活動を行う「スーパーボランティア」として脚光を浴びました。
軽ワゴン車に食料や水、寝袋などの生活用具を積み込み、「自己完結するのが真のボランティアだ」と、助ける相手側からは力を借りないことを信条としています。
災害ボランティアの参加希望者は広がっていますが、無理なく周りの足かせとならない災害ボランティアの在り方を考える上で大きなヒントになりそうです。
熊本地震発生直後にJVOADは熊本県庁敷地内に拠点を設け、全国から集まったNPOなどが情報を共有する「火の国会議」を立ち上げました。活動したNPO団体は多いときで約300を数えました。
避難所運営や支援物資などでノウハウを持つNPO、医療や高齢者・障害者ケアの専門スタッフ、子育て支援や重機オペレーター、農業支援など幅広い分野の専門家たちの団体が、「火の国会議」を通じてそれぞれの専門性を活かした支援を長期間行いました。
このように熊本地震はNPOなどの団体が連携する仕組みが出来上がる節目となりました。
今後の課題として、災害が起きた時に支援を受ける側は、「火の国会議」のような情報共有、役割分担など連携機能を発揮できる組織を立ち上げ、受け入れ態勢を整える必要があります。
個人参加のボランティアの場合は、窓口となる災害ボランティアセンターの機能強化を図るとともに、核となる社会福祉協議会を中心にしてさまざまな団体で支える仕組みづくりが求められます。
- 周りの足かせとならない災害ボランティアを -
日本財団が今年2月に行った災害・防災アンケート(対象17~19歳、回答800人)では、災害ボランティアに参加経験があるのは8.3%で、67.3% が災害ボランティアに参加すべきだと答えています。
昨年8月15日に山口県大島郡周防大島町で行方不明の2歳児を救出した大分県日出町の尾畑春夫さん(78歳)は、64歳から新潟県中越地震を皮切りに全国の被災地で災害ボランティア活動を行う「スーパーボランティア」として脚光を浴びました。
軽ワゴン車に食料や水、寝袋などの生活用具を積み込み、「自己完結するのが真のボランティアだ」と、助ける相手側からは力を借りないことを信条としています。
災害ボランティアの参加希望者は広がっていますが、無理なく周りの足かせとならない災害ボランティアの在り方を考える上で大きなヒントになりそうです。