増大するゲーム依存症、あなたは大丈夫?【社会】
【健康と生活を損なう新たな現代病】
スマホやパソコンのゲームにのめり込んで学業や日常生活、健康に深刻な影響を及ぼす「ゲーム依存症」が社会問題となっています。昨年5月に世界保健機構(WHO)がゲーム依存症を「ゲーム障害」という国際疾病として正式に認定し、2022年1月から施行します。
厚生労働省の委託を受けた国立病院機構久里浜医療センターの調査では、若年層を中心にゲーム依存症が広がり、ゲーム時間が長くなるほど健康や日常生活への支障が大きく、遅刻や欠席、引きこもりに繋がるケースがみられるとしています。あなたは大丈夫?
- WHOが「ゲーム障害」を国際疾病分類に認定 -
世界保健機構(WHO)が昨年5月の総会で、「ゲーム障害」を国際疾病分類に追加認定しました。ゲーム障害は①ゲームをする時間やプレーする回数を自分でコントロールできない②日常生活の中でゲームを最優先する③ゲームで家庭や勉強、仕事などに悪い影響があってもさらにのめり込んでしまう-という状態が1年以上続くか、症状が重い場合に該当するとしています。
ゲーム依存症の背景にはオンラインゲームの普及がありますが、厚生労働省の実態調査(2017年度)によりますと、ネット依存が疑われる中高生は全国で約93万人と推計され、実に7人に1人の割合に上ります。
厚生労働省の委託を受けて昨年11月に久里浜医療センターが公表したゲームによる生活への影響調査(回答5096人)では、10代と20代の約12%が休日に6時間以上ゲームをしており、プレー時間が長い人ほど学業や仕事への悪影響や心身の不調を感じながらも、ゲームがやめられない依存傾向にあることが分かりました。
世界保健機構(WHO)が昨年5月の総会で、「ゲーム障害」を国際疾病分類に追加認定しました。ゲーム障害は①ゲームをする時間やプレーする回数を自分でコントロールできない②日常生活の中でゲームを最優先する③ゲームで家庭や勉強、仕事などに悪い影響があってもさらにのめり込んでしまう-という状態が1年以上続くか、症状が重い場合に該当するとしています。
ゲーム依存症の背景にはオンラインゲームの普及がありますが、厚生労働省の実態調査(2017年度)によりますと、ネット依存が疑われる中高生は全国で約93万人と推計され、実に7人に1人の割合に上ります。
厚生労働省の委託を受けて昨年11月に久里浜医療センターが公表したゲームによる生活への影響調査(回答5096人)では、10代と20代の約12%が休日に6時間以上ゲームをしており、プレー時間が長い人ほど学業や仕事への悪影響や心身の不調を感じながらも、ゲームがやめられない依存傾向にあることが分かりました。
- ゲーム時間が長いほど依存行動や問題発生の可能性 -
全国で初めてといわれる久里浜医療センターのゲーム依存の実態調査によりますと、過去1年間にゲームを経験した人は85%で、機器はスマホが8割を占めています。1日当たりのプレー時間は1時間未満が平日で40・1%、休日で25%と最も多く、6時間以上プレーする人は平日で2.8%、4休日で12%いました。
また、学業や仕事に影響が出てもゲームを続けたと答えた人は、平日に1時間未満の人が1.7%なのに対し、6時間以上の人は24・8%でした。さらに6時間以上プレーする人のうち、「頭痛や腰痛などがあっても続けた」のは40・5%、「睡眠障害や憂鬱など心の問題が起きても続けた」人は37・2%に上りました。
調査をした久里浜医療センターの樋口進院長は、「ゲーム時間が長くなるほど依存行動やそれによって起因する問題の発生する割合が高くなっている」とコメントしています。
- ゲーム依存症は感情や欲望が制御しにくくなる -
ゲームの衝動が抑えられず、日常生活に問題が出てもやめられない状態が続くことが、ゲーム依存症かどうかの分かれ目だといわれます。
ゲーム依存症は精神疾患の一つですが、ゲームをしすぎることによって目の潤いが無くなる「ドライアイ」や、首の筋肉がこわばって傷む「ストレスネック」、「肩こり」、「片頭痛」、「けんしょう炎」など様々な症状を引き起こす恐れがあります。
またゲーム依存症の場合、脳の理性をつかさどる「前頭前野」が神経伝達物質のドーパミンによる悪影響を受けているのではないかと考えられています。この部位の働きが悪くなると、感情や欲望が制御しにくくなります。ゲームで過度の刺激を長時間受けることで、脳の損傷や萎縮が起きるなどの研究も報告されています。
ゲーム依存症が増大する背景として、他人と対戦できるオンラインゲームが発達し、長時間ゲームにのめり込みやすいことが考えられます。ゲームで優位に立つために課金するシステムもあり、高額な費用負担に苦しむケースも指摘されています。
- ゲームの時間を自分でコントロールする -
ゲーム依存症の治療は、MRI(磁気共鳴画像)で脳の疾患を調べ、インターネット依存度テスト(全20問)を実施します。さらに医師や臨床心理士によるカウンセリングで、ゲームに没頭する原因やストレスを調べて対応します。
生活状況の記録を付けて自分の行動を客観的に理解することを通じて、ゲームの時間を自分でコントロールすることを目標にしています。
香川県では今年4月から全国で初めて「ネット・ゲーム依存症対策条例」を施行し、オンラインゲームの使用時間制限を打ち出しました。上限は8歳未満で1日60分、土日や祝日などの休日は90分とし、中学生以下は午後9時まで、高校生は午後10時までに使用をやめるよう求めています。
「e-スポーツとゲーム依存症」
-メリハリを付けて適度に楽しむことが必要 -
スマホやパソコンを使ってインターネット上でゲームの腕を競い合うe-スポーツは、昨年3月に初の全国大会が開かれ、2022年に中国・杭州で開かれるアジアオリンピックで正式種目として競技されます。e-スポーツを部活動として認める学校も増えて、全国の80校以上の高校で公認のe-スポーツ部活動が行われています。
今や競技ゲームは「e-スポーツ」として広がり、国内で100人以上のプロ選手(ゲーマー)がいます。ゲーム依存症患者とe-スポーツゲーマーの違いは何でしょうか。どちらも長時間ゲームをするのは同じですが、プロのゲーマーはプレー時間を区切り、集中して練習するそうです。
ゲームは遊びでも競技でも、のめり込みすぎずメリハリを付けて適度に楽しむことが必要でしょう。
全国で初めてといわれる久里浜医療センターのゲーム依存の実態調査によりますと、過去1年間にゲームを経験した人は85%で、機器はスマホが8割を占めています。1日当たりのプレー時間は1時間未満が平日で40・1%、休日で25%と最も多く、6時間以上プレーする人は平日で2.8%、4休日で12%いました。
また、学業や仕事に影響が出てもゲームを続けたと答えた人は、平日に1時間未満の人が1.7%なのに対し、6時間以上の人は24・8%でした。さらに6時間以上プレーする人のうち、「頭痛や腰痛などがあっても続けた」のは40・5%、「睡眠障害や憂鬱など心の問題が起きても続けた」人は37・2%に上りました。
調査をした久里浜医療センターの樋口進院長は、「ゲーム時間が長くなるほど依存行動やそれによって起因する問題の発生する割合が高くなっている」とコメントしています。
- ゲーム依存症は感情や欲望が制御しにくくなる -
ゲームの衝動が抑えられず、日常生活に問題が出てもやめられない状態が続くことが、ゲーム依存症かどうかの分かれ目だといわれます。
ゲーム依存症は精神疾患の一つですが、ゲームをしすぎることによって目の潤いが無くなる「ドライアイ」や、首の筋肉がこわばって傷む「ストレスネック」、「肩こり」、「片頭痛」、「けんしょう炎」など様々な症状を引き起こす恐れがあります。
またゲーム依存症の場合、脳の理性をつかさどる「前頭前野」が神経伝達物質のドーパミンによる悪影響を受けているのではないかと考えられています。この部位の働きが悪くなると、感情や欲望が制御しにくくなります。ゲームで過度の刺激を長時間受けることで、脳の損傷や萎縮が起きるなどの研究も報告されています。
ゲーム依存症が増大する背景として、他人と対戦できるオンラインゲームが発達し、長時間ゲームにのめり込みやすいことが考えられます。ゲームで優位に立つために課金するシステムもあり、高額な費用負担に苦しむケースも指摘されています。
- ゲームの時間を自分でコントロールする -
ゲーム依存症の治療は、MRI(磁気共鳴画像)で脳の疾患を調べ、インターネット依存度テスト(全20問)を実施します。さらに医師や臨床心理士によるカウンセリングで、ゲームに没頭する原因やストレスを調べて対応します。
生活状況の記録を付けて自分の行動を客観的に理解することを通じて、ゲームの時間を自分でコントロールすることを目標にしています。
香川県では今年4月から全国で初めて「ネット・ゲーム依存症対策条例」を施行し、オンラインゲームの使用時間制限を打ち出しました。上限は8歳未満で1日60分、土日や祝日などの休日は90分とし、中学生以下は午後9時まで、高校生は午後10時までに使用をやめるよう求めています。
「e-スポーツとゲーム依存症」
-メリハリを付けて適度に楽しむことが必要 -
スマホやパソコンを使ってインターネット上でゲームの腕を競い合うe-スポーツは、昨年3月に初の全国大会が開かれ、2022年に中国・杭州で開かれるアジアオリンピックで正式種目として競技されます。e-スポーツを部活動として認める学校も増えて、全国の80校以上の高校で公認のe-スポーツ部活動が行われています。
今や競技ゲームは「e-スポーツ」として広がり、国内で100人以上のプロ選手(ゲーマー)がいます。ゲーム依存症患者とe-スポーツゲーマーの違いは何でしょうか。どちらも長時間ゲームをするのは同じですが、プロのゲーマーはプレー時間を区切り、集中して練習するそうです。
ゲームは遊びでも競技でも、のめり込みすぎずメリハリを付けて適度に楽しむことが必要でしょう。