勢いを増す ライトノベル【文化】
【一般書籍との共存共栄が進む】
不況下にある出版業界の中で、中高生をメインターゲットとする「ライトノベル」が勢いを増しています。若者から絶大な支持を集めるライトノベルのルーツと可能性を探ってみました。
注 ライトノベルレーベル:ライトノベルを発行している企業の文庫
- 出版不況の中、売り上げ堅調 -
出版科学研究所によると、2012年の書籍・雑誌の推定販売額は前年比3.6%減の1兆7398億円で、8年連続の前年割れとなりました。
こうした中、注目されているのが文庫本の奮闘です。書籍各部門では唯一となる前年超えを記録し、前年比0.5%増の1,326億円を売り上げました。この市場を支えているのが、若い世代を中心に人気を集める「ライトノベル」です。ライトノベルとは、中高生をメインターゲットに書かれた娯楽小説のことで、2012年の推定販売金額は前年比3.6%増の284億円と、文庫本全体の売り上げの2割を超えています。
- 書店の文庫本売り場にも変化が -
ライトノベルという言葉が一般に浸透したのは2000年前半頃といわれます。それまでは、ヤングアダルトと呼ばれていました。
漫画と小説の間のような存在として知られるライトノベルは、会話中心の読みやすい文章や魅力あるキャラクター性が特徴です。しかし、内容が多岐に渡ることから、出版業界でもいまだ明確な定義づけはされていません。現在、ライトノベルレーベルから刊行されている表紙や挿絵に漫画やアニメ調のイラストがあしらわれた作品群として、一般書籍と区別されている状態です。書店の文庫本売場は、表紙や挿絵にアニメ調のイラストが使用された作品群が並び、従来の書棚風景を塗り替えています。
- マンガ・アニメ調のイラストが主流に -
ライトノベル系レーベルの始まりは、1970年代後半に相次いで創刊された「ソノラマ文庫」や「コバルト文庫」で、少年少女向けの読み物にマンガ・アニメ調のイラストが使われたことがきっかけでした。
その後、1988年に創刊された「角川スニーカー文庫」「富士見ファンタジア文庫」の2つのレーベルで、マンガ・アニメ的なイラストを意図的に多用したところ、若い世代から絶大な支持を集めたのです。イラストレーターの確保が追い付かなくなった出版社は、アニメ制作者にイラストを発注するようになり、現在のライトノベル業界の形式が固まっていきました。
- 業界を超えて続々と新規参入 -
ライトノベル市場はここ数年、大手出版社をはじめ、ビジネス書や実用書を多く手掛けてきた出版社など、ジャンルや業界を超えての新規参入が相次いでいます。今年8月には、30~40代男性向けのレーベルが創刊されるなど、成人男性をターゲットにした新たな市場開拓も進んでいます。
反面、新規レーベルや新刊点数の増加によって、短命や絶版となる作品が増えるのではとの声もあります。月に300タイトルが送り出される一方、反響が悪ければ即打ち切りといった厳しい現実もあるようです。
- 低くなる一般書籍との壁 -
ライトノベルの人気が勢いを増す反面、マンガ・アニメ調の表紙や挿絵が読まず嫌いを生み出すこともあります。この状況を払拭するべく、2009年末に創刊されたのが、大人向けレーベルの「メディアワークス文庫」です。ライトノベルを読まない読者層を惹きつける装丁画などが功を奏し、わずか2年で570万部を売り上げた作品が、ドラマの原作にも起用されるなど話題を集めました。
現在ではライトノベルと一般文芸書を越境して活躍する作家も増え、一般文書に転向した作家が直木賞受賞に輝いた例もあります。一般書籍とライトノベルとの境目は薄くなりつつあるといえるでしょう。
出版科学研究所によると、2012年の書籍・雑誌の推定販売額は前年比3.6%減の1兆7398億円で、8年連続の前年割れとなりました。
こうした中、注目されているのが文庫本の奮闘です。書籍各部門では唯一となる前年超えを記録し、前年比0.5%増の1,326億円を売り上げました。この市場を支えているのが、若い世代を中心に人気を集める「ライトノベル」です。ライトノベルとは、中高生をメインターゲットに書かれた娯楽小説のことで、2012年の推定販売金額は前年比3.6%増の284億円と、文庫本全体の売り上げの2割を超えています。
- 書店の文庫本売り場にも変化が -
ライトノベルという言葉が一般に浸透したのは2000年前半頃といわれます。それまでは、ヤングアダルトと呼ばれていました。
漫画と小説の間のような存在として知られるライトノベルは、会話中心の読みやすい文章や魅力あるキャラクター性が特徴です。しかし、内容が多岐に渡ることから、出版業界でもいまだ明確な定義づけはされていません。現在、ライトノベルレーベルから刊行されている表紙や挿絵に漫画やアニメ調のイラストがあしらわれた作品群として、一般書籍と区別されている状態です。書店の文庫本売場は、表紙や挿絵にアニメ調のイラストが使用された作品群が並び、従来の書棚風景を塗り替えています。
- マンガ・アニメ調のイラストが主流に -
ライトノベル系レーベルの始まりは、1970年代後半に相次いで創刊された「ソノラマ文庫」や「コバルト文庫」で、少年少女向けの読み物にマンガ・アニメ調のイラストが使われたことがきっかけでした。
その後、1988年に創刊された「角川スニーカー文庫」「富士見ファンタジア文庫」の2つのレーベルで、マンガ・アニメ的なイラストを意図的に多用したところ、若い世代から絶大な支持を集めたのです。イラストレーターの確保が追い付かなくなった出版社は、アニメ制作者にイラストを発注するようになり、現在のライトノベル業界の形式が固まっていきました。
- 業界を超えて続々と新規参入 -
ライトノベル市場はここ数年、大手出版社をはじめ、ビジネス書や実用書を多く手掛けてきた出版社など、ジャンルや業界を超えての新規参入が相次いでいます。今年8月には、30~40代男性向けのレーベルが創刊されるなど、成人男性をターゲットにした新たな市場開拓も進んでいます。
反面、新規レーベルや新刊点数の増加によって、短命や絶版となる作品が増えるのではとの声もあります。月に300タイトルが送り出される一方、反響が悪ければ即打ち切りといった厳しい現実もあるようです。
- 低くなる一般書籍との壁 -
ライトノベルの人気が勢いを増す反面、マンガ・アニメ調の表紙や挿絵が読まず嫌いを生み出すこともあります。この状況を払拭するべく、2009年末に創刊されたのが、大人向けレーベルの「メディアワークス文庫」です。ライトノベルを読まない読者層を惹きつける装丁画などが功を奏し、わずか2年で570万部を売り上げた作品が、ドラマの原作にも起用されるなど話題を集めました。
現在ではライトノベルと一般文芸書を越境して活躍する作家も増え、一般文書に転向した作家が直木賞受賞に輝いた例もあります。一般書籍とライトノベルとの境目は薄くなりつつあるといえるでしょう。
- 若者の活字離れを食い止める? -
ライトノベル人気に倣って、表紙や挿絵にイラストを使用した一般書籍もよく目にするようになりました。太宰治の「人間失格」の新装版に人気漫画家のイラストを使用したところ、例年の5~10倍となる売り上げを記録。同様にマンガ・アニメ調のイラストを使用した経営書はミリオンセラーとなりました。
こうした中、各ライトノベルレーベルが力を注いでいるのが旧作の掘り起しです。歴史・時代小説やノンフィクションなど、中高年の読者が多い過去の名作を10~20代に広げ、一般の文学作品のように親子で読み継がれるライトノベルを創る狙いがあるようです。
- メディアミックスが起爆剤に -
“ラノベブーム”の最大の要因は、多彩なメディア展開やSNSの普及が相乗効果となり、新しい読者層を取り込んできたことです。
その人気は海外にも広がっており、MANGAやANIMEと同様に「RANOBE」として各国で翻訳が進められています。ハリウッド映画として来春に全米公開される作品も誕生するなど、今後もグローバル化や新規市場の開拓が進むことは間違いありません。
従来の出版形式にこだわることなく、「面白いものをどんどん世に送り出す」という新たな風を出版業界に巻き起こしてきたライトノベル。さらに複雑化する読者のニーズにどのように応えていくのか、手腕が注目されています。
ライトノベル人気に倣って、表紙や挿絵にイラストを使用した一般書籍もよく目にするようになりました。太宰治の「人間失格」の新装版に人気漫画家のイラストを使用したところ、例年の5~10倍となる売り上げを記録。同様にマンガ・アニメ調のイラストを使用した経営書はミリオンセラーとなりました。
こうした中、各ライトノベルレーベルが力を注いでいるのが旧作の掘り起しです。歴史・時代小説やノンフィクションなど、中高年の読者が多い過去の名作を10~20代に広げ、一般の文学作品のように親子で読み継がれるライトノベルを創る狙いがあるようです。
- メディアミックスが起爆剤に -
“ラノベブーム”の最大の要因は、多彩なメディア展開やSNSの普及が相乗効果となり、新しい読者層を取り込んできたことです。
その人気は海外にも広がっており、MANGAやANIMEと同様に「RANOBE」として各国で翻訳が進められています。ハリウッド映画として来春に全米公開される作品も誕生するなど、今後もグローバル化や新規市場の開拓が進むことは間違いありません。
従来の出版形式にこだわることなく、「面白いものをどんどん世に送り出す」という新たな風を出版業界に巻き起こしてきたライトノベル。さらに複雑化する読者のニーズにどのように応えていくのか、手腕が注目されています。