世界が注目するクールジャパンとは?【文化】

世界が注目するクールジャパンとは?


 クールジャパンという言葉を知っていますか。クールは英語で「涼しい」という意味ですが、アメリカの若者の間では「かっこいい」という意味で使われています。
 クールジャパンはかっこいい日本を世界にアピールしようという運動なのです。どんな「かっこいい」ものがあるのでしょうか。


世界が注目するクールジャパンとは? -世界で日本の漫画やアニメが大人気-
 日本の子供たちはだれもがドラえもんやピカチュー、ワンピース、ナルトなどを知っていますが、今アメリカやヨーロッパ、東南アジアなど世界の若い世代で、日本のアニメや漫画が人気を集めています。
 昔からアジアで人気が高い「ドラえもん」が、今年夏から全米で放映されました。最近ではコミックマンガ「進撃の巨人」が大きな話題となり、アメリカや韓国では電子版「進撃の巨人」の配信が始まりました。

-ワインの漫画「神の雫」が本場フランスで絶賛-
 ワインをテーマにした漫画「神の雫」は、2004年から10年間連載され、単行本は40巻まで刊行されました。韓国では200万部を売り上げ、韓国国内でワインブームの火付け役となりました。
 ワインの本場フランスでも「フランス人が知らなかったワインの知識が出てくるマンガ」と評判で、フランスのワイン専門誌「ラ・ルビュード・バン・ド・フランス」は、ワインの宣伝に貢献したとして原作者の亜樹直さんと作画のオキモト・シュウさんを、日本人として初めて最高賞(2010年)に選びました。
世界が注目するクールジャパンとは? -「カワイイ」文化、ポップカルチャーが世界で注目-
 漫画を国際交流に役立てようと、外務省は2007年に海外で活躍する漫画作家を顕彰する「国際漫画賞」を創設しました。第7回目の今年は、世界53の国と地域から256作品の応募がありました。
 アニメや漫画、ゲームだけではありません。若い女性のファッションやアイドル、コスプレなど日本育ちのポップカルチャー(大衆文化)が、海外で日本式の「カワイイ」文化として人気を集めています。

-世界で注目世界各地で「かっこいい日本」のビッグイベント-
 外務省が後援して2005年から始まった「世界コスプレ・チャンピオンシップ」は、海外から20カ国以上の代表チームが参加し優勝者には外務大臣賞が贈られています。
 フランスのパリで毎年開かれている「ジャパンエキスポ」では、漫画やアニメ、ビデオゲームからコスプレや武道、音楽、映画、ファッションなど日本の文化とエンターテイメントが紹介され、ヨーロッパ各国から20万人以上のファンが集まる一大イベントとなっています。
 このように漫画やアニメから始まり、ポップアーチストの「きゃりーぱみゅぱみゅ」や「でんぱ組.inc」などに代表されるカワイイをアピールしたポップカルチャーがクールジャパンを引っ張っています。
世界が注目するクールジャパンとは? -政府がクールジャパン推進会議を発足-
 安倍内閣は、2020年の東京オリンピックに向けてクールジャパンを大いに盛り上げていこうと、昨年5月にクールジャパン推進会議を発足させました。
 ポップカルチャーだけでなく、映画、音楽、TVなどのコンテンツ産業や日本食、伝統工芸、ものづくり産業など日本の魅力的な文化や産業を、国を挙げて広く世界にアピールしようというものです。
 メンバーはAKB48のプロデューサーの秋元康さんや、ファッションデザイナーのコシノジュンコさん、茶道裏千家家元の千宗室氏などエンターテイメント関係者や文化人などで構成されています。

-和食文化にクールジャパンの期待が高まる-
 ポップカルチャーとともに、今後クールジャパンの拡大に期待が高まっているのが和食文化です。昨年末、和食がユネスコの無形文化遺産に登録され、日本の食文化を世界にアピールする絶好のチャンスとなりました。
 すでに日本食は健康食、ダイエット食として欧米で人気がありますが、日本のグルメ漫画やアニメ人気と共に、そこで描かれる日本料理の食材や調理方法、味わいなどの知識が広く伝わり、海外で多くの人が日本の食文化に興味を持つようになりました。
 日本固有のワサビやゆず、昆布、醤油、味噌などが世界各地のフランス料理店やイタリア料理店でも取り入れられ、欧米の一流レストランでは日本酒の分かるソムリエが増えているそうです。

-原作をコピーした海賊版がまたたく間に出回る-
 アニメやゲームソフト、映画、音楽などはネット配信やCD、DVD
などで提供されるコンテンツと呼ばれます。デジタルコンテンツ協会の「デジタルコンテンツ白書2013年」によりますと、2012年の国内のコンテンツ市場規模は約12兆円で、アメリカに次いで世界第2位となり、クールジャパンの代表選手です。
 ところが電子版の海外配信が遅れると原作のコピー、つまり海賊版がまたたく間に出回って大きな問題となっています。
 こうしたコンテンツは、知的財産の中の「著作物」にあたり、著作権法によって一定の期間はマネをしてはいけないことになっていますが、国によってはきちんと守られていないところもあります。

-著作権の保護期間は作者の死後50年-
 著作権を守るルールも国によって異なります。海賊版を発見した場合、アメリカでは著作権を持つ人が訴えなくても裁判することができますが、日本では著作権を持つ人が訴えなければ裁判ができません。
 また、国によっては著作権や商標権といった知財産権に対する認識が薄く、取り締まりも不十分で海賊版のコピー作品が堂々と出回っているようです。
 日本やアメリカなど12カ国によるTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉でも、海賊版対策が話し合われています。
 日本では、著作権の保護期間は作者の死後50年(映画は公開後70年)ですが、ディズニー映画で知られるアメリカやヨーロッパでは作者の死後70年です。

-クールジャパンは著作権の収支改善でも期待-
 日本の漫画やアニメは世界中で人気を集めていますが、日本では多くの人がハリウッド映画やディズニーのアニメ、ジャズやロック、オペラやミュージカル、クラシック音楽を楽しみます。それだけ海外に著作権使用料を支払っているわけです。
 日本の著作権使用料の収支は、日本に入ってくる金額から海外に支払う金額を差し引くと約5800億円(2012年)の赤字です。その多くが対米赤字です。
 今政府は、アニメやゲームなどのコンテンツやポップカルチャーなどソフト文化を中心にクールジャパンに力をいれていますが、著作権の国際収支の改善にも期待を寄せています

「ジャポニズムとクールジャパン」
世界が注目するクールジャパンとは? -100年前にもヨーロッパでクールジャパンのブーム-
 「かっこいい日本」のクールジャパンは、100年以上前にもヨーロッパで大きなブームとなりました。19世紀後半から1920年代までフランスを中心に起こった「ジャポニズム」と呼ばれる芸術潮流です。
 幕末から明治維新にかけて、浮世絵や陶磁器、漆器などさまざまな美術品や伝統工芸品が大量に西洋に伝わり、ヨーロッパ各地で開かれた国際博覧会を通じて日本文化がヨーロッパの人々の関心を集め、ブームを巻き起こしました。
 とくに浮世絵をはじめとした日本の美術工芸品は、マネや、ドガ、ゴッホ、ルノアール、モネ、ゴーギャンなどの印象派画家や、アール・ヌーヴォー(新しい芸術潮流)と呼ばれる工芸品に大きな影響を与えました。
 1854年に創業したルイヴィトンは世界中で人気のブランドですが、1888年に日本の市松模様をモチーフにしてダミエキャンパスという図柄を取り入れています。またLとVを組み合わせたルイヴィトンのロゴデザインは、日本の家紋がヒントになっているといわれます。
 クールジャパンは「現代のジャポニズム」ともいえるでしょう。世界の若者が日本の伝統的な文化や歴史に関心を持つことで、日本文化に親しむ人の輪が広がっていくことでしょう。

「クールブリタニカとクールコリア」
-クールジャパンの先輩は英国と韓国-
 安倍政権は、成長戦略の一つとしてクールジャパンの活動を積極的に後押ししていますが、イギリスや韓国はこうした〝クール戦略〟の先輩に当たります。
 イギリスは1990年代後半から、当時のブレア政権が音楽や映画、ファッションを中心としたポップカルチャーを世界に売り込むため、「クールブリタニカ」という輸出振興策を打ち出しました。これによって雇用の拡大や観光客の増加、イギリスのイメージアップに大きな効果を発揮しました。
 また、1997年の通貨危機で経済が落ち込んでいた韓国では、当時の金大中大統領の強いリーダーシップで、有名なポップアーチストの音楽やTVドラマ、映画、ITソフトを含めたコンテンツを世界に売り込む「クールコリア」という戦略を展開しました。
 日本でもテレビドラマ「冬のソナタ」をはじめとした韓流ブームが巻き起こり、K-POPの「東方神起」や「KARA」などは今でも人気を集めています。

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