地球から緑が消える、森林破壊から地球を救おう【環境】

地球から緑が消える、森林破壊から地球を救おう


 地球の陸地の約3分の1を占める森林が、消滅の危機にさらされています。また、陸地の約4分の1が砂漠化の影響を受けて、毎年約6万平方kmの広さで急速に砂漠化が進行しています。原因として、地球温暖化による気候変動や森林伐採など人為的要因が考えられます。
 今、世界は二酸化炭素(CO2)を吸収する森林の保護育成に真剣に取り組んでいます。地球環境保全は森林保護からとも言われます。改めて消え行く緑に思いを寄せて、私たちに何ができるかを考えてみましょう。

地球から緑が消える、森林破壊から地球を救おう  - 森林は生命を維持する自然の宝庫 - 
 陸地の約3割を占める森林は、水を溜め込む自然のダムであるとともに、酸素を放出し土を作ります。森林には地球上の生物種の50~80%が生息し、二酸化炭素(CO2)を吸収して栄養と酸素を作り出す光合成によって様々な生命を育み、食料など暮らしに役立つ資源を提供してくれます。
 この森林が近年急ピッチで消失し、とくに熱帯林では毎年14万平方・もの天然林が減少しています。これは北海道と九州を併せたくらいの面積で、10秒ごとに東京ドーム1個分のスペースの森林が無くなっていく計算になります。なぜ、これほどまでに森林が破壊されているのでしょうか。その多くは、私たち人間の手によって破壊がなされているのです。
 まず、先進国による大量の木材利用による森林の商業伐採です。建築資材や木材加工品、紙パルプなどの原料として伐採された木材は大半が、先進諸国で大量生産・大量消費されます。
地球から緑が消える、森林破壊から地球を救おう  - 無計画な農地開発で消え行く自然林 - 
 まず、熱帯地域で行われている「焼畑農業」があげられます。焼畑とは小規模な森林を燃やして、その土地で4~5年耕作した後、他の場所に移動するという農法です。焼かれた森林は数十年後に再生しますが、最近は人口増加に伴って森林が回復する前に再び焼き払うという、商業的な焼畑が行われて森林の破壊、砂漠化が進行しているのです。マングローブの林も、エビの養殖やパルプ原料のための伐採で大きな影響を受けています。
 このほか、放牧地やプランテーションなど大規模農地確保のための過度な森林開発。酸性雨による木々の荒廃や気候変動による森林の枯渇などです。とくに近年、パームオイルを収穫するために植えるアブラヤシや、大豆を生産するための農地が急激に拡大して、自然林が消失したと指摘されています。
 WWF(世界自然保護基金)とWCMC(世界自然保護モニタリングセンター)の調査によると、世界の自然林は人類の文明が始まった時期といわれる8000年前に比べて約3分の2が消滅し、このままだと50年後には自然林が完全に消失してしまう国が出ると警告しています。
地球から緑が消える、森林破壊から地球を救おう  - 地球上から熱帯林がなくなってしまう? - 
 たとえば、世界の大豆需要の拡大で、南米のアマゾンの森林破壊が深刻になっています。2006年時点で、アマゾンでは日本の本州に匹敵する22万平方・で、森林を切り開いて大豆の栽培を行っています。
 インドネシアとマレーシアは、パームオイルの世界の輸出量の約90%を占めています。この2カ国でパームオイルのプランテーション造成のため、1990~2005年にかけて四国の1・4倍にあたる約2万5000平方・の自然林が消失したそうです。
 このままの状態を放置すると、100年後には地球上から熱帯林が無くなるといわれます。森林が無くなって水を蓄えられなくなると、洪水やがけ崩れなどの災害が多発し、光合成がなくなってCO2が増加し、地球温暖化に拍車がかかります。木々がなくなれば多くの生物種が滅び、気温が上昇して砂漠化が加速されます。



 - アマゾンで温室効果ガスの9~14年分を取り込む - 
 アマゾンの熱帯林では、約900~1400億トンの二酸化炭素(CO2)を吸収するといわれます。これは、世界で人為的に放出されるCO2などの温室効果ガスの9年から14年分に相当します。
 アマゾンは、このように世界のCO2を吸収する「地球の肺」の役割を持っていますが、過去40年の農地開発などで約2割の森林が消滅しました。
 こうした森林が消失していくと、大量の温室効果ガスが樹木や土壌から放出され、地球温暖化は一段と加速するのです。

 - 日本人の紙の消費量は世界平均の4・5倍 - 
 森林破壊から森林を守るには、まず不法な森林伐採を防止することです。また、商業利益最優先のプランテーション造営や、大規模農業開発に歯止めをかけ、自然環境保護、森林保全、そして森林回復に向けた植林などの草の根運動とともに、政府や国際世論に強く訴えていくことも重要です。
 森林から作られる紙のリサイクルは当然でしょう。日本の紙生産量は世界の約1割です。紙の原料である木材チップの輸入量はなんと世界の70%を占めています。
 日本が消費する紙製品は年間約3000万トン、木造住宅に換算すると300万戸分の木材を消費する計算になります。国民1人あたりの年間消費量は約240・で、世界平均の4・5倍にもなっています。これを1日当たりで見ると、毎日B5サイズのノート5~6冊分を消費していることになります。
 日本が世界の紙の生産、消費の大きな比重を占めているだけに、まず私たちは身近で紙を無駄にせず、紙パックなどのリサイクルに心がけたいものです。そして、人間によって失われた森林を取り戻すための工夫を、私たち一人ひとりで考えていきましょう。
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