ハイチ・チリで巨大地震が相次いで発生【環境】

ハイチ・チリで巨大地震が相次いで発生


- 4つのプレートに囲まれた日本は地震列島 - 
 アメリカ合衆国の南、カリブ海にあるハイチ共和国で1月12日、マグニチュード7.0の地震が発生し、死者が30万人近くにも及ぶという空前の被害をもたらしました。ハイチは1804年に世界初の黒人による共和制国家として独立しましたが、独立以来今日まで政情不安が続き、経済的にも困窮していることから社会基盤の整備が遅れ、被害を大きくしたとも伝えられています。

ハイチ・チリで巨大地震が相次いで発生  こうした中、南米のチリ共和国のコンセプシオン沿岸で2月27日、マグニチュード8.8という巨大地震が発生しました。この地震によって、日本の太平洋沿岸を中心に大津波警報や津波警報が発令されたことは記憶に新しいことと思います。今回の津波警報について、「予測値が大きすぎる」「解除までの時間が長すぎる」といった声が寄せられたそうです。しかし、気象庁が慎重に対処した背景には大きな理由があったのです。
 実は、1960年の5月22日にチリ沖で、マグニチュード9.5という観測史上最大の大地震が発生し、環太平洋全域が大津波に襲われました。日本でも三陸沿岸を中心に最大6mの大津波が押し寄せ、142人の死者・行方不明者を出すという大きな被害を受けた経験を持っているからです。
ハイチ・チリで巨大地震が相次いで発生 - 地震の起き方には3つのタイプ - 
 地震が起こるということは、地球が生きている証拠です。地震起こるメカニズムを考えるとよく分かります。
 地震の起き方は3つのタイプに分類することができます。まず、地球の地下深くにあるマグマが噴き出すことで火山が噴火します。マグマが上昇してくる途中で地表に振動を与え地震が起こります。何度も連続して発生することがあり、群発地震と呼ばれることもあります。伊豆半島沖でよく見られるのがこのタイプの地震です。
 次に、地下の断層が上下・左右にずれて起こるのが直下型地震と呼ばれ、阪神・淡路大震災、中越地震などがこの地震です。ハイチで起こった地震もこのタイプの地震だとされています。断層のずれが地表近くで起こると、大きな揺れが地上を襲い大きな被害を出しますが、広い範囲に被害が及ぶことはありません。
 3つ目は、地球を覆う十数個のプレートが動き、互いに押し合う中でひずみが生じて起こる地震です。プレート型地震とも呼ばれ、今回のチリの地震がこのタイプの地震です。日本でも1946年に紀伊半島沖で、マグニチュード8.0という巨大な「南海地震」を経験しています。プレート型地震の多くは、揺れは大きく被害は広範囲に及びます。

- 地球の動きが地震につながる - 
 日本が地震列島といわれるのは、「太平洋プレート」「フィリピン海プレート」「ユーラシアプレート」「北米プレート」という4つのプレートに囲まれているからです。
 地球の表面は、プレートと呼ばれる十数個の岩盤がジグソーパズルのように組み合わされる形で覆われています。プレートの厚さは数10kmから数100kmに達し、しかも年間数cmから十数cm程度の速度で移動しています。移動することで互いに押し合い、境界面でひずみが起こり耐えられなくなったとき大地震が発生します。プレート型地震は100~150年周期で起きていることから、21世紀中には東海から南海地区にかけて大地震が起こる可能性が高く、地震予知など各種対策が進められています。
 地震は地球の動きが原因となって起こります。地球が生きている証明だといっていいでしょう。いかに科学技術が発展しても、残念ながらこの巨大な地震の力を食い止めることは不可能です。
ハイチ・チリで巨大地震が相次いで発生 - 大昔には大陸はつながっていた? - 
 十数個のプレートの境界面が地震の巣であることを紹介しました。目を地球全体に転じてみると面白い発見があります。アフリカ西部の海岸線と南アメリカ東部の海岸線をくっつけると、ピッタリ収まると思いませんか?実は2億数千万年前、大陸は一つにまとまっていました。この大陸が驚くほど長い時間をかけて移動しているうちに分かれ、現在の形になったといわれています。
 日本を取り巻く4つのプレートを例に考えてみましょう。日本列島を乗せているのは「ユーラシアプレート」と「北米プレート」で、この下に「太平洋プレート」と「フィリッピン海プレート」が潜り込んでいます。丁度4つのプレートが重なるのは、静岡県の地下当たりだと推定されています。太平洋プレートは、毎年約6cmずつ日本に近づき潜り込んでいます。つまり太平洋プレートに乗るハワイ諸島が近づいてきており、この計算でいくと9千万年後には日本列島に接近することになります。

- 地震の「震度」と「マグニチュード」 - 
 地震が起こると、直ちに速報が出され、地震の「震度」と「マグニチュード」が発表されます。この「震度」と「マグニチュード」は似ているように見えますが、実は全く異なっています。「マグニチュード」は地震そのものの大きさ(規模)を表します。一方、「震度」は地震が起きた時、私たちが体感する揺れの強さを数字で表したものです。
 「マグニチュード」と「震度」の関係は、マグニチュードが小さい地震でも、震源から距離が近いと地面が大きく揺れ、震度は大きくなります。逆にマグニチュードが大きい地震でも、震源からの距離が遠いと揺れは少なく、震度は小さくなります。電球の「ワット」と「ルックス」の関係に例えると分かりやすいでしょう。電球そのものの明るさはワット(マグニチュード)で、その周辺の明るさはルックス(震度)で示されますね。
 マグニチュードは複雑な計算によって算出されますが、指標としてマグニチュードが1増えると地震のエネルギーが32倍になることを知っておくといいでしょう。
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