5月21日 日本各地で金環日食・部分日食が!!【環境】

5月21日 日本各地で金環日食・部分日食が!!

 「日食」とは、太陽の手前を月が横切るために、太陽の一部またはすべてが月によって隠されてしまう現象です。太陽の一部が隠れる部分日食は、地球各地で年に数回見られますが、太陽と月が完全に重なる「金環日食(annulareclipse)」や「皆既日食(total eclipse)」は、限られた狭い地域でしか観測されない非常に珍しい現象です。
 この「金環日食」が5月21日、東京や大阪、名古屋など日本の多くの地域で観測できます。金環日食では、太陽の周囲が黄金の指輪のように見えます。この絶好のチャンスを見逃すわけにはいきません。

5月21日 日本各地で金環日食・部分日食が!! - 日本で約8000万人もの人が観測可能 -
 今回の「金環日食」は、日本の陸地で見られるものとしては、1987年に沖縄本島で観測されて以来25年ぶりとなります。次に金環日食が観測されるのは2030年6月1日、北海道での観測まで18年も待たなければなりません。
 金環日食は、図にあるように九州南部、四国、近畿南部、中部南部、関東地方など広範囲で観測され、日本の人口の3分の2にあたる約8000万人もの人が観測できます。他の地域の人も、太陽の一部が欠ける部分日食を見ることができます。
 一方、太陽のすべてが月によって隠されるのが皆既日食です。日本では2009年7月、46年ぶりに鹿児島県の奄美大島北部、悪石島などのトカラ列島などで観測される予定でしたが、あいにくの悪天候に見舞われ、十分に観測できなかったことを覚えている人もいるかも知れません。次回の皆既日食は、2035年9月に北陸から北関東などで見られるまで26年間も待たねばなりません。

- 太陽と月と地球が一直線になって -
 日食は見え方によって「金環日食」と「皆既日食」と「部分日食(partial eclipse)」に分けられます。なぜこのように太陽の隠され方が異なってくるのでしょう。
 太陽の周りを回る地球や月の軌道は、円ではなく楕円形となっています。このため、地球と月との距離が遠くなったり近くなったりしています。この結果、月が太陽と地球の間のどの部分を通るかによって太陽の隠れ方が変わり、金環日食や皆既日食、部分日食になるのです。
5月21日 日本各地で金環日食・部分日食が!! - 「金環日食」と「皆既日食」と「部分日食」 -
 それぞれの日食が、どのように異なっているのか考えてみましょう。

《部分日食》
 日食の中でも一番よく見られる日食で、月が太陽の端をかすめていくことで起こります。部分日食は、観察する場所によって欠け方が異なり、部分日食が始まる時刻や一番大きく欠ける時間、終了する時間などが違ってきます。

《皆既日食》
 皆既日食は、図にあるように月が近くて太陽が遠い時、太陽は完全に月の影に隠れてしまいます。皆既日食では、普段まぶしい光のために見ることのできない太陽周辺の輝きが観測されます。「紅炎」と呼ばれる鮮やかに光るプロミネンスや太陽コロナ、さらに時間の経過とともに月の縁から光が漏れる瞬間を「ダイヤモンドリング」と呼び、多くの観察者を魅了しています。皆既日食時は空が暗くなり、肉眼で星を見えることができます。また、動植物は夜と間違えて異常行動を取ることがよく知られています。

《金環日食》
 今回観測される金環日食は、月が遠い位置にあり、太陽をすっぽり隠しても端の方まで隠しきれない時に起こります。このため、太陽を隠した月の周囲から光がこぼれ、それが光の輪(黄金の指輪)のように見えます。こうした日食を金環日食と呼んでいます。金環日食では、皆既日食のように空が暗くならず、コロナやプロミネンスの観測はできません。ただ、太陽がドーナツ状に見え、夕方のようにあたりが薄暗くなっていく様子を観察することができます。

- 日食の観察で何が解明される? -
 金環日食や皆既日食の観測地点には、多くの天体マニアとともに世界中から多くの研究者も集まります。研究者は一体何を観察しているのでしょうか?
 金環日食では、太陽と月、それに地球が一直線に並ぶことで、日食が始まる時刻や終わる時刻、金環日食が見られる地域の限界線などの観察を通して、太陽と月、地球との正確な位置や大きさなどを精密に測定することができます。現在、まだ太陽の正確な大きさが判明していないため、精度の高い観測が期待されます。
また、普段は太陽が眩しすぎてコロナの観測が十分に行えませんが、金環日食や皆既日食時にはコロナの内側や外側が詳しく観測できます。さらに、月が太陽を順次隠していくので、太陽の各部分の明るさや電波源、X線源の分布調査なども可能になります。
 さらに、金環日食では、月の縁の詳しい形を知ることもできます。月の凹凸がはっきりと太陽に映り、多くの研究テーマを提供してくれます。さらに、金環日食や皆既日食は大昔から観察され記録されているため、これらのデータと比較することで正確な時刻を解明することなど、金環日食や皆既日食時には、解明すべき研究テーマ、興味深い自然現象が山積みされているので研究者が観測現場に駆けつけます。

- 安全に金環日食を観察するために -
 日食中は太陽が月に隠されているとはいえ、太陽が大変強い光と熱を出していることに変わりありません。正しい方法で観測しないと、正確な観測が出来ないばかりか、目を傷めたり、時には失明の恐れもあります。このため、肉眼で太陽を見ることは例え短時間であっても避けなければなりません。望遠鏡や双眼鏡は、太陽の光や熱を強く集めるので、肉眼以上に危険です。
 煤を付けたガラス板やフィルムの切れ端、下敷き、サングラスやゴーグルなどを付けて日食を観測することも止めましょう。見た目ではあまり眩しく感じなくても、光の遮断が十分でない場合や、目を傷める有害な波長の光、赤外線や紫外線などを通してしまい、気付かないうちに網膜を損傷してしまう恐れがあるからです。
 日食を観測するために、日食グラスなどの安全グッズが市販されているのでこれらを利用しましょう。また、国立天文台や各地の天文台などで、安全な日食の観察方法をウェブサイトなどで紹介していますので参考にして下さい。
5月21日 日本各地で金環日食・部分日食が!! - ピンホール効果を利用して観測 -
 安全な観測方法として、ピンホール効果の原理を利用して観測する方法があります。ピンホール効果とは、壁や地面に映る木漏れ日が、太陽と同じ三日月やリングの形になるのと同じ原理です。ピンホールカメラも同じ原理を利用しています。ピンホール効果を利用して観測するには、厚紙など光を通さないシートに小さな穴をあけ、日食中の光を通すと太陽の形がわかります。太陽の欠け始めから、金環日食や皆既日食に至る形の変化や時間の経過など、太陽を直接見ることなく観測できます。ピンホール効果を利用した観測は、特別な道具を用意することなく身近なものを利用してできる危険の少ない観測方法です。
 日食観察用に開発された日食グラスを利用する場合でも、いきなり太陽の方に目を向けるのではなく、太陽に背を向けてからゆっくりと太陽の方に向きを変える必要があります。例えわずかであっても、グラスの隙間から入る光を避けるためです。この他、説明書に書かれた使用上の注意を守って下さい。
 また、望遠鏡に太陽投影版を付けて太陽を観察する方法もあります。専門的に観察する場合が多く、天文台などに出かけて観察しましょう。この方法では、専門家の指導を受けながら多くの人が一緒に観察することが出来るという利点があります。
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