知っていますか「カーボン・オフセット」という取り組み【環境】

知っていますか「カーボン・オフセット」という取り組み


【自らのCO2の排出を、オフセット(埋め合わせ)する】
 「カーボン・オフセット」という言葉は、あまり馴染みがないかも知れません。1997年にイギリスの植林NGO団体が始めた取り組みで、現在では欧州、アメリカ、豪州などで広がりを見せています。日本でも環境省が2008年にまとめた「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について」に基づいて、カーボン・オフセットの普及に力を注いでいます。

知っていますか「カーボン・オフセット」という取り組み - カーボン・オフセットとは? -
 地球温暖化は、私たちが排出する温室効果ガスが大きな原因とされています。なかでも、CO2は化石燃料の消費によって排出されるので、経済活動や産業活動など、日常生活全般において排出されています。このため、地球温暖化防止のためには、あらゆる場面でCO2削減に向けた取り組みが強く求められています。
 しかし、私たちの日常生活の中でCO2といった温室効果ガスを大幅に削減することは困難です。例えば、都心部での通勤や通学は環境に配慮した電車を利用できますが、地方に住めばマイカーでの移動は避けられません。また、今年も日本列島の各地で35℃を超える猛暑に見舞われました。このため、エアコンの設定温度を多少上下させることはできても、止めてしまうことは困難です。
 そこで、自分自身で出来るだけ削減努力は行うものの、どうしても排出されるCO2について、他の場所でのCO2削減活動を応援することで自らの排出をオフセット(埋め合わせ)しようという考え方が出てきました。これがカーボン・オフセットという取り組みなのです。

- 日本では2008年から急速に普及 -
 環境省は、2008年2月にまとめた「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について」に基づいて、適切かつ透明性の高いカーボン・オフセットの普及に乗り出しました。具体的には、情報の収集・提供、相談支援などを行うとともに、先進的な取り組みをモデル事業として支援するなどさまざまです。
 環境省が普及に乗り出した2008年には、300件を超えるカーボン・オフセットの取り組みが実施されたと見られています。その取り組みの一つとして、日本郵便が2008年から2012年にかけて実施した、50円のはがきに5円の寄付が付与された「カーボン・オフセット付きはがき」の発売がありました。この寄付金をカーボン・オフセット事業に配分することで、国内のカーボン・オフセットの普及に大きな役割を果たしました。
 また2008年は、洞爺湖サミットが開催された年でもあります。サミットの大きなテーマの一つに地球温暖化防止が掲げられていました。カーボン・オフセットの取り組みは、洞爺湖サミットが開催された夏ごろから導入件数が増加していることから、サミットがカーボン・オフセットの取り組みを後押ししたと考えられます。
 これ以降、国際会議やイベントの開催で排出されるCO2をカーボン・オフセットする動きが見られます。洞爺湖サミットはその先駆けになったといえるでしょう。

知っていますか「カーボン・オフセット」という取り組み - 増加するカーボン・オフセット付き商品 -
 カーボン・オフセットは法的に決められたものではなく、あくまでも自主的な取り組みです。しかし、カーボン・オフセットは商品やサービスと結びつく形で発展していきます。企業からみれば、自社の製品をカーボン・オフセット付きとすることで、自社のイメージアップを図ることができ、発売する商品やサービスなどの広告効果を高めます。
 現在、カーボン・オフセット付き商品は数多く出回っています。金融機関の一部では「カーボン・オフセット定期預金」、出版社では「カーボン書籍」、旅行会社では「カーボン・オフセット付き旅行パッケージ」、量販店などでは「カーボン・オフセット付きエコバッグ」、コンビニに入れば食料品を中心に多くの商品がカーボン・オフセット商品として販売されています。
 また制服にカーボン・オフセットを導入している学校もあります。さらに、「全日本大学駅伝対校選手権大会」や「一部のゴルフトーナメント」などのスポーツ大会、南アルプス市では「カーボン・オフセット農産物」といったイベントで導入しています。
 認証された商品などには、カーボン・オフセット承認ラベルが付いています。これらの商品を購入・使用することでCO2削減プログラムに貢献することができます。これから買い物をする時、カーボン・オフセット商品を探してみませんか。

- カーボン・オフセットが抱える課題 -
 カーボン・オフセットは、市民の自主的行為によって支えられています。このため企業としては商品価格にあまり影響が出ないよう、一件当たりのカーボン・オフセットを低額に抑えているようです。カーボン・オフセットによるCO2削減効果を増すには、より認知度を高めることが必要です。さらに、個人だけではなく、官公庁や各企業がカーボン・オフセット付き商品を「グリーン調達」と捉え、一括して購入するように働きかけることも重要です。
 カーボン・オフセットの取り組みは、CO2削減という直接成果が見えにくい付加価値を生み出します。関係機関や団体は、市民の自主的な地球温暖化対策の取り組みの成果を分かりやすく報告することで信頼性を高め、多くに市民の認知度を高めることが重要になってきます。
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