「食品ロス」を削減するために【環境】

「食品ロス」を削減するために


【フランスでは食料廃棄を法律で禁止フランスでは食料廃棄を法律で禁止】
 農林水産省によると、2013年の日本の年間食品廃棄物は2797万トンと推計されています。このうち約632万トンは、売れ残りや期限切れの食品や食べ残しなど、本来食べられるはずの食品です。まだ食べられるのに捨てられている食品を「食品ロス」と呼んでいます。
 2004年にノーベル平和賞を受賞したケニアの環境保護活動家ワンガリ・マータイさんが来日した際、地球資源を守るために「もったいない」という日本語を世界に広めることを提唱しました。食料の大半を輸入に依存する日本ですが、その一方でまだ食べられる食料を大量に捨てています。「もったいない」と思いませんか。

「食品ロス」を削減するために - 毎日茶碗約1杯分のご飯を廃棄 -
 日本の食料自給率は、カロリーベースで39%(2014年)に過ぎず、不足分は輸入に頼っています。こうした食糧事情にも関わらず、日本ではまだ食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」は632万トンにも達しています。「食品ロス」を国民1人1日当たりに換算すると食品ロス量は約136グラム、茶碗1杯のご飯の量に相当します。私たち日本人は、毎日茶碗1杯分のご飯を廃棄しているのです。これは日本の食用の魚介類の量(年間約622万トン)に匹敵し、毎年800万トン前後で推移しているコメの収穫量に近づいているのが現状です。
 いま世界では、約8億7千万人もの人が栄養不足に苦しめられています。このため、2014年には世界各国から食糧危機に苦しむ人々に向けて約320万トンの食料援助が行われました。日本では、世界全体の食料援助量の約2倍もの食料を食品ロスとして廃棄しているのです。これは「もったいない」だけに止まらず、限りある地球資源にも大きな負荷をかけているのです。
「食品ロス」を削減するために - 食品ロスの約半数は家庭から -
 食品ロスは、食品メーカーや小売店、飲食店、家庭など食べることに関するあらゆる場所で発生します。食品ロスは家庭系と事業系に大別され、発生量は互いに300万トン程度と推測されています。
 食品メーカーや小売店では、商品の規格統一のための選別、商品の返品や撤去、在庫過剰や期限切れ商品の廃棄などで食品ロスを発生させています。商品の見栄えや鮮度を重視する日本の商習慣が、食品ロスを増加させているようです。外食産業での食品ロスは、ホテルや旅館などの宿泊施設、結婚披露宴、宴会、食堂やレストランなどでの食べ残しが大半を占めています。
 家庭系の食品ロスの多くは、生ごみとして廃棄されています。主なものとして、果実や野菜・魚介類の調理時での過剰除去、食べ残し、消費期限・賞味期限切れによる廃棄などがあげられます。家庭での食品ロスを削減できれば、廃棄量を減らすという環境面だけでなく、家計面でも大きなメリットになります。

- 「食品ロス」削減の工夫 -
 毎日の食事から発生する食品ロスは、私たちの「食」に対する意識改革によって大幅に削減することが可能です。食材購入時には、冷蔵庫などに在庫があるかを確かめて買い過ぎないように注意し、購入した食材は使い切ることが必要です。余った食材は、他の料理に活用して使い切るように工夫しましょう。冷蔵庫には冷凍室、パーシャル室、チルド室、野菜室などが設けられています。冷蔵庫の保存場所を上手く活用すれば、買い過ぎた食材や多めに作って余った料理を長く保存できます。
 加工食品には「消費期限」と「賞味期限」が記載されています。消費期限は生菓子やお弁当など長く保存できない食品に表示され、食べても安全な期間を示しています。賞味期限は缶詰やレトルト食品など長期保存ができる食品に表示され、おいしく食べられる期間を示しています。それを過ぎてもすぐに食べられなくなる訳ではありません。
 家庭から出される生ごみの中には、手つかずの食品が2割近くもあり、なかには消費期限や賞味期限前にも関わらず捨てられている食品もあるそうです。
「食品ロス」を削減するために - フランスで「食料廃棄禁止法」が成立 -
 フランスでは、日本を上回る710万トンもの食品ロスに悩まされてきました。この対策として今年2月、世界で初めて「食料廃棄禁止法」を成立させました。食料廃棄禁止法の成立で、延べ床面積400平方メートルを超える大型店舗では、売れ残り食品の廃棄が禁止され、生活困窮者などに食品を配給している慈善団体などへの寄附が義務付けられました。また、食用に適さなくなった食品は、家畜の餌や堆肥に転用しなければなりません。これに違反すると最高で7万5000ユーロ(約1000万円)の罰金が科せられます。
 アメリカでは1960年代から、ボランティア活動として期限切れ間近の食品を寄付してもらい、福祉施設などへ無償提供する「フードバンク」活動を行っています。日本でもNPO法人セカンドハーベスト・ジャパンが2002年から「フードバンク」活動を開始し、全国的な広がりを見せています。また、関係各省庁や自治体、ボランティア団体などが食品ロスの削減に向けた様々な活動を行っています。私たちも工夫を凝らし、食品ロス削減につながる食生活を目指しましょう。
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