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【そろっての出場は3大会連続】
　第30回夏季オリンピックが7月27日、イギリスのロンドンで開催されます。このロンドン大会に、サッカー日本代表が男女そろって出場することになりました。
　男子のオリンピック出場チームU 23（23歳以下）日本代表は、5大会連続9回目の出場。「なでしこジャパン」の愛称で親しまれている女子の日本代表は、４大会中３回目の出場となります。
　ところで、サッカーの国際大会には、オリンピックとともにワールドカップ（W杯）があります。どこが異なっているのでしょう。

【オリンピックとワールドカップ】
　サッカーといえば、すぐに頭に浮かぶのが国際サッカー連盟（FIFA）のW杯です。昨年、ドイツで開催された第6回女子W杯で、「なでしこジャパン」がこれまで勝てなかったドイツやアメリカを打ち破って優勝し、日本中が沸き立ちました。男子の日本代表も2002年のW杯日本・韓国大会に引き続き、一昨年の南アフリカ大会でもベスト16と健闘しました。
　現在、FIFA加盟国は208ヵ国・地域に達し、オリンピックの205ヵ国・地域を上
回っています。しかも、単一競技の世界大会のため、世界中でオリンピック以上の盛り上がりを見せます。
　サッカーの最初の国際大会は、オリンピックのサッカー競技でした。第1回アテネ大会から公開競技として行われ、1908年の第4回ロンドン大会から公式競技として国別対抗戦となりました。ところが、アマチュア憲章を尊重するオリンピックには、プロ選手が出場することが出来ません。つまり、オリンピックに最強のナショナルチームが出場できないという事態に陥りました。このため、1904年に組織されたFIFAは、オリンピックとは別にプロ選手も参加できるW杯を立ち上げました。
　1930年の第1回W杯は、1924年、1928年とオリンピックを連覇した南米のウルグアイで開催され、開催国ウルグアイが優勝しました。

【プロ選手もオリンピックに】
　プロアマ問わず国の最高の選手が競うW杯は、回を追うごとに人々の関心を集め、その権威も増していきます。一方、アマチュア選手だけに限定していたオリンピックのサッカーは急激に人気が低下し、1932年の第10回ロサンゼルス大会では競技種目から外されてしまいます。
　この間、頭角を現してきたのが旧ソビエトを中心とした東欧諸国です。これらの国々では、国から報酬を受け取りながら、競技に集中するというステート・アマとしてオリンピックに参加していたのです。国のフル代表として参加する東欧諸国と、アマチュア選手で構成する西側諸国との力の差は歴然としていきます。
　大きな転換となったのは、1984年の第23回ロサンゼルス大会です。この大会から国際オリンピック委員会（IOC）は、一部プロの参加を認めました。ロサンゼルス大会のサッカー競技では、W杯参加選手を除くプロの選手も参加して競技が行なわれました。オリンピックの注目を高めたいIOCと、W杯の権威を守りたいFIFAとの妥協案だったといえます。この結果、オリンピックには若い選手で構成されたチームが参加するようになりました。そして、1992年の第25回バルセロナオリン
ピックから、23歳以下という現在の規定が導入されました。
　女子については、1996年の第26回アトランタオリンピック大会から公式競技に採用されました。選手構成は、男子のように規定がなくフル代表で戦われます。

【オリンピックでの戦いの歴史】
-　男子日本代表　-
日本サッカー協会（JFA）は1921年に設立され、1929年にFIFAに加盟しました。オリンピックに初めて挑戦したのは1936年の第11回ベルリンオリンピックで、1回戦でスウェーデンを下す健闘をみせ、ベスト8に進出しました。その後、長期にわたる低迷期を迎えますが、1964年の第18回東京オリンピックでベスト8と息を吹き返します。第19回メキシコ大会では、アジアの国では初めて銅メダルに輝きます。このメキシコ大会を頂点に、それ以降は再びアジア予選で敗退を繰り返してオリンピック出場はかないませんでした。そして、1996年の第26回アトランタ大会で念願のアジア予選を突破して返り咲き、今年のロンドン大会まで5大会連続出場となったのです。
　しかし、思うような成績は残せていません。最近の4大会を見ても、2000年の第27回シドニー大会でベスト8になった以外は、いずれの大会もグループリーグで敗退しています。ロンドン大会ではこれまでの不振を払拭し、素晴らしい成績を期待したいものです。

-　女子日本代表　-
　愛称「なでしこジャパン」で親しまれている女子日本代表の活躍は目覚ましいものがあります。女子W杯には全6大会に出場し、1995年のスウェーデン大会でベスト8になったものの、それ以外の大会ではグループリーグ敗退を重ねてきました。
　しかし、昨年のドイツ大会では、これまで未勝利の地元ドイツやアメリカを下して優勝、日本中を沸き立たせました。この余韻が現在も続いており、今年のオリンピックでの活躍が期待されています。
　オリンピックの戦績は、女子サッカーが初めて公式競技に採択された1996年のアトランタ大会ではグループリーグ敗退。2000年のシドニー大会では、アジア予選で敗退して本大会には出場していません。しかし、2004年のアテネ大会ではベスト8、前回の北京大会では4位と着実に成績を伸ばしています。昨年、W杯で優勝したこともあり、「なでしこジャパン」への期待は高まる一方です。