加熱する五輪招致合戦 各立候補都市現在の評価は?【スポーツ】

加熱する五輪招致合戦 各立候補都市現在の評価は?


  今年の9月7日、2020年の五輪開催地が決定します。招致合戦も大詰めを迎え、東京が開催地に選ばれるかどうかに注目が集まっています。また、東京のライバルであるイスタンブールやマドリードの動向も気になるところです。加熱する五輪招致合戦の背景を追ってみましょう。


加熱する五輪招致合戦 各立候補都市現在の評価は? - 五輪開催地決定までの流れ -
 オリンピック・パラリンピックの開催地となるには、まず、IOC国際オリンピック委員会への立候補申請が必要です。立候補申請をした各都市は、開催計画の概要をまとめた「申請ファイル」と呼ばれる文書を提出し、これに従ってIOC国際オリンピック委員会理事会が「立候補都市」を選出します。選出された立候補都市は、IOC評価委員会による視察を受け、プレゼンテーションの機会を経て開催地決定の投票へと臨みます。この投票で、過半数を得票した都市が開催地となります。
 2020年大会では、東京のほかにアゼルバイジャンのバクー、カタールのドーハ、トルコのイスタンブール、スペインのマドリード、イタリアのローマが立候補を申請しました。しかし、ローマは深刻な財政難から申請を辞退。残る5都市の中から選出が行われ、東京、イスタンブール、マドリードが立候補都市となりました。今年3月、すでにIOC評価委員会による各都市の視察は終了。残る公的アピールの機会は数回のプレゼンテーションのみとなっています。

- 3度目の正直を狙うマドリード -
 マドリードはスペインの首都であり、人口は約326万人。2012年大会、2016年大会と3大会連続で立候補していますが、そのたびに苦杯をなめてきました。特に、2016年大会では、1回目の投票でトップの票数を得ていたにも関わらず、最終的にはリオ・デ・ジャネイロに大敗しています。
 前回同様、今回の立候補でもIOCからの評価は高く、立候補都市選定の際のIOCワーキンググループによる評価レポートでは多くの項目で高得点を獲得。さらに、国民の開催支持率が高いことも、マドリードでの開催を後押しする大きな要因となっています。
 しかし、大きな懸念材料が財政問題です。ユーロ危機と呼ばれる欧州全体を襲った財政危機は、スペインにも大きく影響を及ぼしています。そのため財政面では、3つの立候補都市の中で最も低い評価を受けています。

- イスラム圏初をめざすイスタンブール -
 ヨーロッパとアジアの2大陸に跨がるイスタンブールは、トルコ全人口の約18%にあたる1350万人もの人口を擁し、これまで何度も立候補申請を繰り返してきました。比較的堅調に推移している経済や、政府や市民からの高支持がイスタンブールの大きな強みです。
 また、トルコはイスラム教徒の国であり、開催が実現すれば「イスラム圏初」となることもプラス要因であると考えられます。これは、IOCが周年や初開催などといった記念となる開催地を選ぶ傾向にあるためです。2016年のリオ・デ・ジャネイロは「南米初」という肩書が招致に大きな影響を与えたといわれています。しかし、インフラ整備の不十分さや新設会場が多く、建設費が嵩むことなどが懸念材料として指摘されています。

- 電力不足がネックとなる東京 -
 2回連続の立候補都市選出となる東京は、1964年大会以来の開催を目指しています。IOCの評価レポートでは、計7項目で立候補申請をした全5都市の中で最高点を獲得するなど、非常に高い評価を受けました。大きな障害といわれていた都民・国民からの支持率も、ロンドン五輪を契機に大幅に改善し、今年3月には70%にまで上昇しています。
 一方、不安視されているのが電力供給で、IOCからの評価も他の2都市より低くなっています。さらに、直前の2018年冬季五輪が同じアジア圏の韓国・平昌で開催されることもマイナス要因であるといわれています。ただし2大会連続で同じ地域では開催しないといった規定はなく、過去にも連続して同地域で開催された実績もあります。
加熱する五輪招致合戦 各立候補都市現在の評価は? - 各都市を惹きつける五輪招致の魅力 -
 各都市の共通点は、何度も立候補をしていることです。こうした五輪開催の魅力はどこにあるのでしょうか。開催都市に選ばれることで、全世界に自国をアピールする絶好の機会となります。この他、平和社会実現への貢献、スポーツを通じた社会の活性化などさまざまありますが、絶対に外せない要素は経済効果でしょう。
 1964年の東京五輪が高度経済成長の端緒となったことや、2008年北京五輪後の中国の経済成長が良い例です。東京の招致委員会は、今回招致が成功した場合の経済効果を3兆円、15万人以上の雇用を生み出すと予測。その効果は東京のみならず全国に及ぶとしています。
 一方で、五輪終了後の施設維持費が重くのしかかることや、招致活動費は無駄な出費であるといった反対の声も少なくありません。こうした開催までの背景を知った上で五輪を観れば、これまでとは違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。
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