巨大地震に備える

巨大地震に備える


震度7から命を守る

想定を超える被害で新設

震度とは、地面に伝わるゆれの強さ。気象庁が1996年に取り入れた現在の震度階級で0〜7の10段階があり、震度5と6は5弱、5強、6弱、6強の四つに分かれる。
 わが国では1884年に震度観測が始まり、その時は微震→弱震→強震→烈震の4段階だけだった。その後、震度0〜6の7段階になったが、1948年の福井地震で多くの建物がこわれて震度6の範囲を超える被害が発生。「家の倒壊が30%以上」の事態を「震度7」と定義した。

マグニチュード(M)と震度の違い
マグニチュード(M)は地震の規模を示す尺度。数値が大きいほど地震のエネルギーは大きい。M8以上は巨大地震といえ、M9.0だった東日本大震災は超巨大地震と考えられる。一方、震度はその場所でのゆれの程度を示す。地震が近くで発生すれば、Mは大きくなくても震度は上がる。

震度7と6強はこう違う

(震度とおもなゆれの具合)

震度7 震度6の被害に加えて
とても多くの木造家屋が倒れたり、傾いたりする。耐震性の高い木造家屋でも傾くことがある。コンクリート造りでも耐震性が低ければ倒れる家屋が増える。
震度6強 はわないと動けない。飛ばされることもある。固定していない家具のほとんどが動き、倒れるものも増える。耐震性の低い木造家屋で傾いたり、倒れたりするものが多くなる。
震度6弱 立っていることが難しい。木造建物が傾いたり、かわらが落ちたりする。
震度5強 ものにつかまらないと歩けない。
固定しない家具が倒れることがある。
震度5弱 大半の人が恐怖を覚える。
たなの食器や本が落ちることがある。
震度4 つり下げたものが大きくゆれる。
震度3 家の中にいるほとんどの人がゆれを感じる。

気象庁の資料より。震度0〜2は省略

地震は2種類ある

都市を直撃する内陸型

阪神大震災で横倒しになった高速道路=兵庫県神戸市で1995年1月17日

 地下の活断層が動いて起こす地震で、津波は発生しない。地震自体のエネルギーは大きくなくても、都市を直撃すると多くの建物を倒壊させ、火災を引き起こす。いつどこで起きるかまったくわからない。

津波が恐ろしい海溝型 - 代表例:阪神大震災=1995年

東日本大震災で大津波におそわれた宮城県名取市=2011年3月11日

 海底で起こる地震で、津波をともなう。海をのせたプレートは陸をのせたプレートの下に絶えず沈みこんでいる。限界点で陸のプレートが一気にはね上がり、M8〜9級の巨大地震を引き起こす。長期的にくり返すので、ある程度は予測できる。

地球は、陸や海をのせた巨大な十数枚の岩盤でおおわれている。この岩板をプレートという。

プレートは地球をおおう岩板

地球は、陸や海をのせた巨大な十数枚の岩板でおおわれている。この岩板をプレートという。それぞれのプレートは別々の方向に少しずつ動いており、境目ではものすごい力でせめぎ合っている。この運動が地震を引き起こす。

地価プレートが4つ集まっているうえ、大きな被害が考えられる活断層が全国で100以上確認されている。

日本は地震から逃れられない

日本は世界で指折りの地震国だ。地下でプレートが四つ集まっているうえ、大きな被害が考えられる活断層が全国で100以上確認されている。見つかっていない活断層もありうるため、どこで大地震が起きてもふしぎはない。
 中でも、近いうちに予想される大地震が大まかにいって二つある。首都直下地震と南海トラフの巨大地震(東海地震、東南海地震、南海地震)だ。

地震の巣...内陸型も海溝型も

 上の予想図を見てほしい。静岡県の伊豆半島付近にはプレートの境目が三つある。このあたりは非常に大きな力がせめぎ合い、海で起こる巨大地震の巣だ。
 東京を含む南関東には、陸で大地震が起こる危険性もある。活断層がいくつも確認されているからだ。首都のあたりは「海溝型地震」も「内陸型地震」も起こりやすい場所だ。

東京と周辺・・・どこを直撃するのか

予想される大地震 首都直下地震 東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県を中心に近く起きると国が警告するマグニチュード(M)7クラスの大地震。

福井県で確認されたえ活断層(中央ななめライン)

東日本大震災で活断層動きやすく

1923年の関東大震災から震度6以上のゆれにおそわれていない東京。東日本大震災発生後、東京とそのあたりでは地下で押し引きされるエネルギーのバランスがくずれ、活断層が動きやすい状態が続いている。中でも恐れられているのが首都直下地震だ。一口に首都直下といってもどこでどう起こるかわからず、国は発生場所別に18パターンに分類している。

新たに試算した首都直下地震の震度分布の一例

震度7が都心おそうおそれ

18パターン中、最も被害が大きいと思われるのが東京湾北部で起こる地震だ。人口が集まる都心部が激震におそわれる=右の図を参考にしてください。
 文部科学省の研究チームは、東京湾北部でM7クラスの地震が発生すれば湾沿いの広い範囲で震度7のゆれが起こると警告。東京都は4月、M7・3の首都直下地震で建物30万棟以上が焼けたりつぶれたりし、9700人が死亡するという試算を公表した。

活断層

 日本列島の地下はプレートの運動で押されたり引っ張られたりする巨大な力がかかっており、そのせいで地層がずれることがある。これが内陸型の地震で、ずれた地層を断層という。古代からくり返しずれ、この先も動いて地震を起こしそうな断層が活断層だ。

東京湾北部で直下地震が起きたら
死 者 けが人 建物被害
揺れ
5,600人
火災
4,100人

9,700人

14万7600人

30万4300棟

(東京都が冬の午後6時に地震発生を想定して試算)

大津波の危険、悲劇くり返すな

予想される大地震 南海トラフの巨大地震 中部ー西日本の太平洋沖にのびる駿河トラフと南海トラフで発生する巨大地震。東海、東南海、南海の3地震に分類され、連動して起こる可能性もある。

3階建ての津波非難タワー。最大8Mの津波を予想して造ったが、最も高いところで海抜12M。30M級の津波では役に立たない。

高知で最大34・4mの津波予測

歴史的にくり返されてきた南海トラフの巨大地震が、近々また起こると見られている。東日本大震災と同じく海底で発生するので、大津波を警戒しなければならない。
 内閣府の検討会は3月末、考えられる最大の震度分布と津波の高さを発表した=下の図。
 東日本大震災に匹敵するM9級の地震で、最大の津波を予測したのが高知県黒潮町で34・4m。東京の島々、静岡、愛知、三重、徳島、高知の計6都県23市町村で20mを超え、静岡県御前崎市にある浜岡原発は最大21mの津波におそわれると見込んだ。

南海トラフの巨大地震による最大クラスの震度分布と主な津波の高さ

静岡や三重、高知で震度7も

震度6強以上の地域は、21府県395市町村で2万8000平方㎞。震度7は静岡、三重、高知など10県153市町村で計7000平方㎞の地域を予測した。静岡、和歌山、高知の一部では、ゆれの最中に津波がくるおそれもあるとした。

活断層

 太平洋の駿河湾から九州沖までのびる浅い海溝=フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈みこんでおり、100〜150年おきにマグニチュード8級の巨大地震をくり返してきた。ここを震源域(地震の起こる地域)とする東海地震、東南海地震、南海地震について、国は発生の確率を下のように予測している。

30年以内に地震が起こる確率
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