高校生の為の新聞ハイスクールタイムス（High School TImes）のオンライン版

　人類は太古から「世界がどのように成立し」「人間はなぜ誕生したのか」、そして「なぜ生と死があり」「死後はどこに行くのか」などといった不安や疑問を抱いてきました。こうした根源的な問いに対し、文明が発達した今日でも明確に答えることは困難です。こうした中、宗教はある種の回答を用意し、多くの人々の不安を解消するために貢献してきました。反面、考え方や価値観の相違などで対立が相次ぎ、世界各地の紛争の大きな要因になっています。混迷が深まる今日、宗教とは何かを今一度考えてみましょう。

- 世界の宗教を分類してみると -
　宗教を大きく分類すると、「世界宗教」と「民族宗教」に分けることができます。世界宗教とは、人種・民族・国家という枠を越えて世界中に広がっているキリスト教、イスラム教、仏教のことで、世界の三大宗教とも呼ばれています。他方、世界で三番目の信徒数を持つヒンズー教は主にインドで信仰され、ユダヤ教はユダヤ人の間で信仰されています。このように限られた地域や民族の宗教を民族宗教と呼んでいます。
　また、「一神教」と「多神教」という分け方もあります。一神教とは、万物を超越して宇宙を創造した唯一の神のみを信仰するもので、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教が一神教となっています。
　一方、多神教は特定の神が世界を支配するのではなく山や海、石や樹木など自然界のあらゆるところに神が存在することを信じているもので、日本では八百万（やおよろず）の神と呼ぶこともあります。

【世界の半数以上が信仰する三大宗教】

- 三大宗教の源流をたどる -
　宗教を大きく分類すると、「世界宗教」と「民族宗教」に分けることができます。世界宗教とは、人種・民族・国家という枠を越えて世界中に広がっているキリスト教、イスラム教、仏教のことで、世界の三大宗教とも呼ばれています。他方、世界で三番目の信徒数を持つヒンズー教は主にインドで信仰され、ユダヤ教はユダヤ人の間で信仰されています。このように限られた地域や民族の宗教を民族宗教と呼んでいます。
　また、「一神教」と「多神教」という分け方もあります。一神教とは、万物を超越して宇宙を創造した唯一の神のみを信仰するもので、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教が一神教となっています。
　一方、多神教は特定の神が世界を支配するのではなく山や海、石や樹木など自然界のあらゆるところに神が存在することを信じているもので、日本では八百万（やおよろず）の神と呼ぶこともあります。

- 世界一の信者を持つキリスト教 -
　ユダヤ教の大きな特徴は、天地創造の唯一絶対の神「エホバ（ヤハウェ）」が、ユダヤ人を選んで契約を結んだという宗教です。ユダヤ教では、安息日や食事など生活上の厳しい規範、罪に対する罰の規定など、非常に厳しい戒律が定められています。厳しい戒律を守ることが、ユダヤ教徒の信仰の基本になっています。
　こうした戒律に捉われることなく、独自の考えを広めようとしたのがイエスです。ユダヤ人として生まれたイエスは、ユダヤ教の教えを基にしながらも人間を平等に扱い、愛することの重要性を説きました。イエスの死後、イエスを救世主とする人たちによって神との新たな契約である新約聖書がまとめられ、キリスト教として世界中に広がっていきました。
　現在、キリスト教の信者数は約23億人で世界一となっています。それはユダヤ教がユダヤ人だけが救われるという民族宗教であるのに対して、キリスト教では全ての人が信じれば救われると説いているため、人種や民族を問わない世界宗教となったのです。

- 注目を集めるイスラム教とは -
　イスラム教では、唯一神である「アラー」に絶対服従することが求められます。イスラム教の神アラーは、世界を超絶した存在であるため一切の姿形を現さず、偶像崇拝を強く否定することでも知られています。
　このアラーの言葉を直接聞いたのがムハンマドであり、アラーから授かった言葉をそのまま書き留めた「コーラン」がイスラム教の経典です。神は多くの人に言葉を授け、イエスも神の言葉を授かった預言者の一人です。しかし、神はこれら預言者に全てのことを話したわけではなく、言い残した言葉を伝えるために最後に選ばれたのがムハンマドだったのです。イスラム教では、神がムハンマドにすべてを話したため、ムハンマドは「最後にして最大の預言者」として位置付けられています。
　ムハンマドの死後、ムハンマドの教えを受け継ぐことを重視した「スンニ派」と、血縁を重視した「シーア派」に分かれています。世界のイスラム教徒のうち９割近くがスンニ派ですが、イランではシーア派が多数を占めています。

- 急激に拡大するイスラム教 -
　イスラム教は、世界に16億人を超えるムスリムを持ち、さらに拡大し続けています。この勢いで増加していくと、近い将来にはキリスト教信者を追い抜くと予測されています。
　ムスリムが信仰するコーランは、アラーの声そのものをまとめたものです。このため、コーランはアラビア語で書かれ、他国語に翻訳されたコーランは正式のものと認められていません。
　イスラム教は、中東の文化をともなって中央・西アジア、アフリカ北部、インドネシアへと広がり続けています。イスラム圏が拡大しているのは、その教えが分かりやすいという他、先進国の価値観が世界中に強まっていることへの反動という側面も考えられます。

- 仏教の基本精神は平等と中道 -
　古代インドでは、バラモン教が仏教の生まれる以前に勢力を誇っていました。バラモン教の特徴は、根幹に輪廻思想があり、生前の行いによって霊位が変わり、次に宿るべき肉体が決まるというものです。この考えを制度化したのが「カースト制」です。バラモン教を深く信仰し、徳を積むことで上位のカーストに生まれ変われるという希望はありますが、最下層のスードラ（奴隷階級）にはそれすら認められない厳しいものでした。
　こうした風潮の中、王族として生まれた釈迦は、バラモン教のカースト制などに疑問を抱いて出家します。激しい修行に励んだ釈迦は、菩提樹の下で悟りを開くことができました。それは出身階級や性別を問わず、個々人の内にある真理を会得することで心の迷いから解き放たれた境地、つまり「涅槃」に入ることができると説きます。こうした釈迦の考えは、民衆の支持を得て仏教が興隆していきました。
　釈迦の死後、仏教が広がって行くにつれて戒律の解釈などを巡って二つに分かれます。インドからスリランカ、東南アジアに伝わった上座部仏教は、出家など戒律を厳しく守ることで、輪廻から解脱することに力を注いでいきます。
　一方、中央アジアを経て中国、朝鮮に伝わった大乗仏教は、釈迦の教えを広く大衆に広めることを目指します。大乗仏教の流れをくむ日本仏教は、日本の風土を背景に独自の仏教文化を生み出し、今日に至っています。

【いま、世界中から関心を集めるイスラム教】

- 戒律が厳しいイスラム教 -
　イスラム教は、唯一の神「アラー」からムハンマドに下った言葉を記録した「コーラン」がイスラム教の経典です。イスラム教の戒律は厳しく、教徒には信ずべき六つの信条と実行すべき五つの義務が課せられます。つまり神、天使、啓典、預言者、来世、定命の六つを信仰し、礼拝、信仰告白、喜捨、断食、巡礼の五つの行が求められています。
　生活面でも、豚肉やアルコールの飲食は禁止され、それらを原料にした調味料なども禁止されています。最近では、イスラム教の戒律に背かない「ハラル食品」が製造されています。また、保守色の強い国では、女性は近親者以外に目立たないようにするため、外出するときはヒシャブやブルカという顔や体を隠すスカーフを着用しています。
　また、教義によってお金を貸して利益を受け取ることは禁止され、イスラム諸国では「イスラム金融」という独自の金融システムが発達しています。

- 急速に台頭するイスラム原理主義 -
　イスラム原理主義とは、現在のイスラム世界はコーランの教えに従ったものではなくなってきたとし、イスラムの原点に戻ろうという運動です。近年、イスラム原理主義を過激派やテロリストと結びつけるのを避けるため、イスラム復興運動やイスラム主義などと表現することもあります。
　イスラム原理主義が台頭してきたのは、19～20世紀にかけてイスラム世界の多くが西洋の植民地となり、反植民地・反帝国主義としての原理主義運動が展開されました。第二次大戦後、イスラム諸国の多くが失業、貧困、格差、人口急増などの問題に悩まされますが、各国政府は適切な対応を取ることが出来ずにいました。
　そうした中、２００３年からイラク戦争が起こり、それが反米感情に繋がって過激な思想を生み出していきます。さらに２０１１年にアラブ世界に起こった民主化運動「アラブの春」も行き詰り、将来に希望を見いだせない若者を中心にイスラム原理主義への回帰現象を加速させています。その中に過激なイスラム原理主義組織が台頭し、世界各地でテロ行為を行っています。