政治の仕組みがわかれば、もっと高まる政治への関心【政治】

政治の仕組みがわかれば、もっと高まる政治への関心

 日本の政治が揺れ動いています。日々変化する国際情勢への対応、国内では消費税の扱いや社会保障の見直し、また景気対策や雇用確保などさまざまな難問が山積し、その対策を巡って激しい議論が行なわれています。
 こんな中、政治不信や政治への無関心層も増え続けています。選挙のたびに投票率が公表されますが、「政治のことは政治家に任せておけば...」「誰がやっても変わらない」「選挙に行くのが面倒だ」「政治の仕組みがわからない」などといった理由で、自分の権利を放棄する人が増えています。
 日本の将来を決めるのは政治家ですが、政治家を選ぶのは私たち一人ひとりの役割です。政治の仕組みをより詳しく知ることで、政治への関心を高めていきましょう。

政治の仕組みがわかれば、もっと高まる政治への関心 - 国の基本制度は三権分立 -
 日本国憲法で、三権分立を国の基本制度と決めています。三権とは法律を作る立法府(国会)、政策を実行する行政府(内閣)、そして法律に違反していないかを裁く司法府(裁判所)のことです。これらの機関の役割については、憲法第4章(第41~64条)で国会、第5章(第65~75条)で内閣、司法は第6章(第76~82条)で詳しく規定されています。
 立法府である国会は、憲法第41条で「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」とされ、国として一番大切な法律を作ります。法律として決められたことを実行するのが、現在では野田内閣総理大臣を長とする内閣です。内閣府は、総理大臣に任命された大臣が各省庁のトップとなり、諸政策を実行していきます。国会で成立した法律の違法性、行政府の取り組みの違法性などを監視するのが最高裁判所を頂点とする司法府となっています。
 国の大きな権力が三つに分かれているのは、図にあるように立法、行政、司法が相互に抑制し合うことで権力の乱用を防止し、国民の権利や自由を守ろうというものです。三角の真ん中に国民が位置しているのは、国民は主権者として国の在り方を最終的に決する力、権威を持っているためです。日本国憲法の三大原則である「基本的人権の尊重」「平和主義」とならぶ「国民主権」が色濃く反映しています。

- 「国会」と「内閣」は密接な関係 -
 三権分立の仕組みを図にしましたが、三権が図からイメージされるようにきれいな正三角形をしていません。これは、日本の政治制度が、アメリカなどのように国民が選挙で大統領を選ぶ大統領制と異なり、議院内閣制を採用しているためです。
 行政のトップに立つ総理大臣は、国会議員の中から国会の議決によって指名され、その他の国務大臣は総理大臣が任命しますが、過半数は国会議員でなければなりません。行政権の行使については、憲法66条で「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う」とあり、衆議院で支持されなければ行使することができません。つまり、衆議院で不信任が議決されると、内閣は総辞職するか、10日以内に衆議院を解散して国民に信を問うことになります。このように、国会と内閣の関係は密接な関係にありながらも、緊張感が漂う関係にあります。このため、両者は司法から少し距離を置く、二等辺三角形の形になっています。
 議院内閣制とは、国民の代表機関である国会から指名され、国会議員の中から主要な閣僚を任命し、行政権の行使にあたって国会に連帯責任を持つ内閣制度のことです。日本に議院内閣制が導入されたのは1885(明治18)年で、イギリスの制度を参考にして作られました。議院内閣制を導入している国は、イギリスのほかドイツ、イタリア、スペイン、オランダなど多くの国が採用しています。

- 国会は衆議院と参議院で構成 -
 日本の国会には、衆議院と参議院があるので「二院制」といわれています。国会議事堂は左右対称で、向かって左側が衆議院、右側が参議院になっています。内部の構造もほぼ同じですが、参議院だけに天皇陛下の座席が用意されています。これは、参議院の前身が戦前の貴族院であったことから参議院に座席が用意され、天皇が国会開催の御言葉を述べる時には、衆議院議員も参議院に来て聞くことになっています。
 二院制を採用しているのは、法律など国の大切な問題を審議し採択する時、間違いのないように二つの院で審議するためです。このため、異なるタイプの議員を選ぶ必要があり、衆議院と参議院では選挙の方法が異なっています。衆議院では小選挙区制と比例代表制を組み合わせた「小選挙区比例代表並立制」を採用しています。参議院選挙は都道府県単位で行われる「選挙区選挙」と全国を単位とする「比例代表選挙」で行なわれます。
 この他、衆議院の定数が480名であるのに対し参議院では242名と少なくなっています。衆議院の任期は4年ですが、解散があれば途中で資格を失います。一方、参議院には解散がないので、6年の任期満了(3年ごとに半数を改選)まで務めます。さらに、被選挙権が衆議院は25歳以上なのに対し、参議院では30歳以上など多くの相違点があります。
政治の仕組みがわかれば、もっと高まる政治への関心 - 意見が違った時は衆議院が優越 -
 衆議院と参議院とで意見が食い違った時はどうなるのでしょう。現在、「ねじれ国会」といって、衆議院では民主党を中心とする与党が過半数を占めているものの、参議院では自民党などの野党が過半数となっています。このままでは意見の食い違いが起こり、審議は行き詰ってしまいます。例えば、国の予算問題などで与野党の意見が対立し、審議がストップするようなことが起こると、国民生活に重大な影響を及ぼします。こうした時に備え、判断が異なる場合は衆議院の判断を優先する「衆議院の優越」が決められています。
 衆議院が優越される理由は、衆議院の任期が参議院と比べて4年と短く、解散で任期がより短くなることがあります。また、衆議院の方が参議院より定数が多くなっています。こうしたことから国民の意見をより強く反映していると考えられているためです。具体的には、法律の制定や予算審議、首相選定、条約承認などで衆議院の優越が認められています。

- 国会では三種類の会議が -
 国権の最高機関である国会には、通常国会・臨時国会・特別国会の三種類があります。
 通常国会は1月に開催され、開会期間は150日です。必要があれば1回だけ期間を延長できます。これを延長国会と呼んでいます。通常国会では総理大臣による施政方針演説が行われ、その年の政府の基本方針が示されます。これに続いて財務大臣、外務大臣、経済財政政策担当大臣の演説が行われ、これら4つの演説を政府四演説と呼ばれます。政府の基本方針に対し、各会派の代表による代表質問が行われ、首相や各大臣が答弁します。通常国会の最大の任務は、4月から1年間の予算を決めることです。このため、三種類の国会の中で一番重要な国会と位置付けられています。
 臨時国会は、文字通り緊急の議事があるときに召集されるもので、会期などの規定はありません。補正予算などの審議などがよく行なわれます。
 衆議院選終了後30日以内に開催されるのが特別国会です。選挙の結果、議員が入れ替わるため、新しく選出された議員によって総理大臣を指名します。

- 国会は法律を作る唯一の機関 -
 国会は、憲法で記されているように我が国で唯一の立法機関、つまり法律を作るところですが、どのような手続きを経て作られているのでしょう。
 それには二つの方法があり、内閣が国会に提出する内閣提出法律案(政府案)と、国会議員が共同して提出する議員提出法律案(議員立法)があります。議員立法を提出するには、衆議院では20名、参議院では10名以上の議員の署名が必要です。予算に関係するものであれば、これ以上の署名が必要になります。このため、議員立法を提出するには、仲間を集めることや手続きが煩雑なこと、さらに高度な知識が求められるために成立することは少なく、中心になっているのは政府案というのが現実です。
 政府案といっても、実際は政府の意向を受けた関係省庁の官僚が法案の作成を行います。法案がまとまると内閣法制局の審査を経て閣議に提出されます。閣議で正式に決定したあと国会に提出され、審議・表決を経て新しい法律が成立します。こうした流れで分かるように、官僚が法案作りに大きく関わっていることがわかります。このため、日本の政治は「官僚主導」だと批判する声も聞かれます。
政治の仕組みがわかれば、もっと高まる政治への関心 - 国の最高行政機関「内閣」 -
 法律に基づいて、さまざまな施策を実行に移すのが内閣です。内閣とは、国会議員によって指名された総理大臣が任命した大臣の集まりです。大臣に民間人を任命することもできますが、半数以上は国会議員の中から選ばなければなりません。また、総理大臣の意向によって大臣を罷免することもできます。
 内閣の会議は閣議といわれ、ここで政府としての方針を決定します。野田総理大臣を中心に各大臣が並ぶ映像や写真を目にしますが、これは閣議の様子を取材できないため、直前の風景を撮影したものです。閣議は毎週二回開催され、各省庁からの提案などを検討し、全大臣が署名したものが内閣の方針となります。しかし、閣議に提出前に各省庁のトップが集まってまとめているので、実際は形式に過ぎないといわれています。

- 大臣のポストは最大で17 -
 内閣法で「国務大臣の数は14名以内とする。ただし、特別に必要がある場合においては、3人を限度にその数を増加し、17名以内とすることができる」と記されています。
 国務大臣が管理する行政機関は、総務、法務、外務、財務、文部科学、厚生労働、農林水産、経済産業、国土交通、環境、防衛の11省があり、それぞれに大臣が任命されています。この11大臣に内閣官房長官、国家公安委員会委員長、内閣府の複数の特命担当大臣が加わり、大臣のポストは最大で17となっています。さらに、昨年の東日本大震災を受けて12月に成立した復興庁設置法で、2021年までと期限を定めて設置された復興庁があります。
 各行政機関の仕事の内容は、その名称から概略は理解できると思います。しかし、内閣府の仕事内容を理解するのは難しそうです。
 2001年の中央省庁再編で、これまでの総理府に変わって誕生したのが内閣府です。内閣府は総理大臣を長とし、特命担当大臣もここに属し、国の重要施策を企画立案していく省庁です。これまでの官僚主導型政治から、内閣の指導力を強化して政治主導型をめざしています。
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