今年は「世界天文年」 ガリレオ・ガリレイが望遠鏡を宇宙に向けて400年【科学】

今年は「世界天文年」 ガリレオ・ガリレイが望遠鏡を宇宙に向けて400年


今年は、イタリアの物理学者、天文学者、そして哲学者でもあるガリレオ・ガリレイが、望遠鏡を夜空に向け、宇宙の扉を開いてから400年。その節目の年を記念して、国際天文学連合(IAU)が2009年を世界天文年にしようと提案、ユネスコも承認し2007年12月の国際連合の総会で、2009年を「世界天文年(International Year of Astronomy:IYA)」とすることが正式に決定しました。
 世界天文年の目的は、世界中の人々が夜空を見上げ、宇宙の中の地球や人間の存在に思いを馳せ、自分なりの新しい発見を行うこと。このため、世界天文年のスローガンは、「宇宙...解き明かすのはあなた(THE UNIVERSE:YOURS TO DISCOVER)」で、137の国や地域が参加しさまざまな取り組みを行っています。

今年は「世界天文年」 ガリレオ・ガリレイが望遠鏡を宇宙に向けて400年 【世界各地で「世界天文年」のイベントが目白押し】
 - 世界的組織で天文学の普及と教育 - 
 国際天文学連合は、国際的に「世界天文年」を普及させるため、ドイツのミュンヘンにある欧州南天天文台に本部を置き、天文年にふさわしい多くの企画を立案・実行しています。
 日本でも「世界天文年2009日本委員会」を組織し、日本学術会議をはじめとする主要研究組織・研究所・大学のみならず、生涯学習や教育普及に関連する団体などと協力し、世界天文年に向けた各種取り組みを行っています。
 この世界的プロジェクトの開幕を記念する式典が、2009年1月15~16日にかけてパリのユネスコ本部で、国際連合、国際天文学連合、そしてユネスコの三者によって行われました。
 この式典には、日本はもとより、100を超える国や地域から600人を超える科学者や学生などが参加しました。
今年は「世界天文年」 ガリレオ・ガリレイが望遠鏡を宇宙に向けて400年  - 世界企画の中には日本委員会が決めた企画も! - 
 「世界天文年2009」では、世界企画として世界中でのさまざまな企画、イベントが行われます。これらの中には、日本委員会が決めた企画も数多くあります。また、日本国内で行われる主催企画、公認企画、ウェブ企画も目白押しとなっています。詳細は「世界天文年2009」のホームページで紹介されていますので、関心のある人はHPを開いてください。

 - ガリレオが使った同程度の望遠鏡で宇宙観測 - 
 日本委員会の企画の一つに、ガリレオの名を冠した「『君もガリレオ』プロジェクト」があります。世界の子どもたちに、400年前にガリレオが初めて宇宙観測したものと同じ口径4・、組み立て式望遠鏡2種類を世界中に安価で配布という企画です。世界の子どもたちに、ガリレオが体験した驚きや発見を追体験してもらおうという企画で、このプロジェクトはIRA本部企画「The Galileo-scope」にも取り上げられています。
 世界天文年のHPから、観測の手引きをダウンロードして、個人やグループで木星、金星、月、天の川、アンドロメダ銀河などを観測し、観測結果を本部事務局に送ると観測者のレポートが掲載され、参加証や各賞を手にする幸運に恵まれることもあるそうです。ぜひ、「君もガリレオ」プロジェクトを通して、自分の感動を世界中の仲間に発信しよう。

【ガリレオ・ガリレイってどんな人?】
 - 相次ぐ天文学上の大発見 - 
 ガリレオは1564年、イタリアのピサで誕生。父親のすすめでピサ大学の医学部に入学しますが数学の才能に気づき、父親を説得してピサ大学を退学しました。後年、大学の数学の教授になりました。
 1609年、オランダで発明された小型望遠鏡を改良して、本格的な望遠鏡(屈折望遠鏡)を作り天文観測に取組みました。その年の暮れには初めて月を観測し、月面が平らではなく、地球のように山やクレーターがあるという天文学上の大発見をしました。さらに、翌年には木星をまわる4つの衛星(ガリレオ衛星)を発見。また、土星や金星の形や位置の変化、太陽の黒点の観測にも成功しました。この他、天の川が無数の恒星でできていることも発見したのです。

 - 「地動説」を唱え、教会からの迫害 - 
 このような観測の結果、ガリレオは地球やその他の惑星は太陽の周りをまわっているというコペルニクスの説を確信するようになりました。そして、太陽中心説を発表しました。
この時代、カトリック教会が強大な力を持ち、地球が宇宙の中心とする地球中心説が支配していました。このため、ガリレオは教会の教義に反する異端者として告発されました。死の宣告という重罪は避けられましたが、天動説を二度と公言してはならないと命じられたものの、その後の研究でますます太陽中心説の確信を深めました。

 - 科学者としても多大な功績 - 
 有名な話として、ピサの斜塔から大小種類の球を落とし、両者が同時に着地することから落体の法則を発見したことでよく知られています。つまり、物体が落下するときの時間は、落下する物体の質量に依存しないというものです。さらに、落下するときの距離は、落下する時間の2乗に比例するという法則も同時に発見しました。
 このほか、ピサの大聖堂にかかるシャンデリアを見て、振り子が大きく揺れているときも、小さく揺れているときも、往復時間は同じという振り子の等時性も発見したといわれています。
 このように、ガリレオは実験を通して自説を検証するという手法で周りの人を納得させていきました。そして、ガリレオはコペルニクスやニュートンと並んで、今日の科学技術を支える中心人物として知られています。
今年は「世界天文年」 ガリレオ・ガリレイが望遠鏡を宇宙に向けて400年 【日本では、7月22日に皆既日食が!!】
 - 日本で7月22日、46年ぶりに皆既日食 - 
 7月22日に皆既日食を観測することができます。日本で観測できるのは46年ぶりのこと。しかし、実際に皆既日食を観測できるのは、皆既日食帯と呼ばれる細長く伸びた地域に限られます。奄美大島北部、トカラ列島、屋久島や種子島などが皆既日食帯に入り、他の地域では、部分日食の観測となります。
 今回の日本での皆既日食は、1963年7月21日の北海道東部で観測されて以来46年ぶりのことです。次回の皆既日食は、2035年9月2日に北陸・北関東でなどで見られるまで26年間も待たねばなりません。ぜひ、7月22日には皆既日食・日食を観測しましょう。
今年は「世界天文年」 ガリレオ・ガリレイが望遠鏡を宇宙に向けて400年  - 太陽が月に遮られて起こる「日食」 - 
 日食の仕組みとは、月が太陽の前を横切るために、月によって太陽のすべて(一部のときは部分日食)が隠れる現象です。皆既日食になると、太陽の周りにコロナが広がっている様子が観測できます。また、太陽が月の周りからはみ出して見えるときは、「金環食」と呼ばれています。太陽の一部が月に隠れる日食を「部分日食」呼びます。
 日食は、皆既日食帯にように、見る場所によってすべて欠けるのか、一部が欠けるのかが違ってきます。一般に皆既日食帯に近いほど大きく欠けます。今回の場合は、日本の南に行くほど大きく欠けることになります。また、日食の始まる時間や終わる時間も観測場所によって違ってきます。

 - 日食観測では、肉眼で直接太陽を見ないこと! - 
 日食を観測での注意点は、直接肉眼で日食中の太陽を見ないことです。日食で太陽光が弱まったといえ、有害な太陽光線から適切な方法で目を守る必要があります。不適切な方法で観測すると網膜を痛めたり、最悪の場合には失明してしまうほど危険です。このため、日食観測用のメガネなどを用意して、安全に観測するよう心がけてください。
 なお、ピンホールカメラの仕組みを利用すると、太陽を直接見なくても、欠けた太陽の像を投影して観測することができます。さらに、特別な道具を使わなくても、部分日食中に地面に映る木漏れ日を観測すると、欠けた太陽の形が映し出されているのが分かります。
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