「国勢調査」で、日本の人口実態が浮き彫りに!!【社会】

「国勢調査」で、日本の人口実態が浮き彫りに!!

 国勢調査は、わが国の人口・世帯の実態を把握し、各種行政施策やその他の基礎資料を得ることを目的にした国の最も重要な統計調査です。今年の国勢調査は、大正9年(1920年)を第1回として、19回目の国勢調査となります。
 今回の国勢調査には、約70万人もの国勢調査員が動員されます。国勢調査の目的、そして調査結果がもたらす意義などについて、総務省の資料を参考に考えてみましょう。

「国勢調査」で、日本の人口実態が浮き彫りに!! - 日本に住むすべての人々が調査対象 -
 国勢調査は、総務大臣が国の統計に関する基本的な法律である「統計法」に基づいて5年ごとに実施されます。西暦年の末尾が「0」の年の調査は大規模調査と言われ、より詳細な調査が行われます。一方、末尾が「5」の年は簡易調査と呼ばれています。今年の第19回の国勢調査は、大規模調査の年にあたり、20項目にも及ぶ詳細な調査が行われます。
 国勢調査では、2010年10月1日午前零時現在、日本国内に住んでいる人を、ふだん居住している所で調査します。日本に住む外国人も、国籍に関係なく国政調査の対象になります。もっとも、各国政府の大使館・領事館の構成員や、外国軍隊の軍人や家族は除かれます。

- 各種行政施策を立案・実施するための基礎資料 -
 国勢調査で得られる統計資料は、国や地方公共団体が行政施策を立案・実施するための基礎資料として使用されます。さらに、国民の共有財産として研究・教育活動、マーケットリサーチなど経済活動の分野でも幅広く利用されます。
 実際にどのように利用されているのか、見てみることにしましょう。
~法定人口として利用~
 衆議院小選挙区の確定基準として利用されるだけでなく、都道府県、市町村議会の議員定数の基準、地方交付税の交付金算定の基準、過疎地域認定のための基準など、多くの法令で国勢調査の結果が用いられています。
(行政施策の基礎資料として利用)深刻化する少子・高齢化関連では、現状と将来の動向を把握する基礎資料として広範に利用されています。防災関連では、防災計画の策定、被害予測、被害予測システムの開発などの基礎資料となります。さらに、児童福祉、住宅政策、経済政策の策定など多くの分野で利用されています。
~国民経済計算の推定への利用~
 国勢調査で明らかになる世帯数や産業別雇用者数が、国内総生産(GDP)などの国民経済計算の推定に用いられています。国際比較を行う上でも、統計資料は重要な役割を果たします。
~研究・教育、民間での利用~
 人口学や経済学、人口の将来推計、学校の教育用資料など学術・教育面。企業では需要予測や工場などの配置計画などで幅広く利用されています。


- 人口減になって初めての国勢調査 -
 第19回国勢調査の特徴は、本格的な人口減社会を迎えた中で実施される最初の国勢調査だということです。日本の人口は、平成16年をピークに減少傾向を示しています。以降、出生率がやや高まったこともあり、横ばいで推移していますが、自然減に歯止めがかからず、総人口は平成20年から減少しています。
 人口の減少社会を迎えた日本は、出生率の回復、高齢者の介護、医療の維持、社会保障制度の安定化、雇用の安定、経済活動の活性化など、多くの克服すべき課題に直面しています。こうした課題に対処する国や地方公共団体は、今回の国勢調査の結果をもとに、国民生活の向上や経済の健全な発展のための諸政策の策定に利用します。また、広く一般にも公開され、さまざまな分野で幅広く利用されます。
「国勢調査」で、日本の人口実態が浮き彫りに!! - このように行なわれる「国勢調査」 -
 国勢調査は、統計法によって総務大臣の責任で実施され、実地調査は都道府県・市区町村が担当します。今回の国勢調査では、約70万人が国勢調査員に任命され、各世帯に調査票を届け、回収を依頼します。調査員が各世帯に直接出向くのは、調査対象を正確に把握するとともに、国勢調査の説明を通して調査内容の精度を高めることが大きな目的です。
 前回の18回国勢調査では、プライバシー保護のために全ての世帯に封筒を配布し、希望者は封入提出が可能になりました。今回の国勢調査では、封入提出方法を全面的に導入したほか、希望者は郵送で提出することもできます。さらに、東京都をモデル地区に、希望者はインターネットによる回答方式が導入されます。日本のような人口規模の国で、インターネットによる回答方式が導入された例はなく、東京をモデルに経験を蓄積して将来に備えたいというのが国の意向です。
「国勢調査」で、日本の人口実態が浮き彫りに!! **********************************
- 国勢調査の歴史は紀元前に遡る -
 国勢調査は、英語のセンサス(Population Census)の訳語で、調査対象者すべてを調べることから「全数調査」とも呼ばれています。
 センサスの歴史は古く、紀元前3800年代にバビロン王朝で行なわれ、紀元前3000年頃にはエジプトや中国でも行なわれたと記録されています。日本でも、調役の賦課のため、崇神天皇が人口調査を行ったと日本書紀に記されています。
 近代的なセンサスは、1790年にアメリカで行なわれたものが最古のものと考えられています。19世紀に入ると、ヨーロッパを中心に多くの国が人口センサスを実施し、ニュージーランド、フィリピン、インド、オーストラリア、エジプトなどヨーロッパ以外の国でも実施しています。日本が初めて行なったのが1920年(大正9年)で、アメリカから遅れること130年となっています。

- 国連が「世界人口・住宅センサス」を実施 -
 国連の推計では、2010年の世界の人口は69億人に達し、今後、アジア・アフリカを中心に増加し続け、2050年には91億人に達すると見込んでいます。世界の人口が増加することで引き起こされる問題は数限りなくあります。世界の人口問題に対処する基礎データ作成のため、国連は世界の各国に2010年を中心にして国勢調査を行うよう勧告しています。
 これが「2010年ラウンド世界人口・住宅センサス」と呼ばれるもので、アメリカでは今年4月1日に調査が行われ、日本は10月1日、中国では11月1日に調査が予定されています。ヨーロッパでは、多くの国が2011年に実施する予定になっています。
 世界の人口を正確に把握し、人々が飢えることなく、健康で健やかな生活を過ごせるように世界各国が協力していける日が待ち望まれています。
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