ブランドってなんだ?【社会】

ブランドってなんだ?

 ブランドと言われて、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。現在、企業、ファッション、地域や大学など、あらゆるテーマで「ブランド」が注目されています。ブランドとは、私たちの生活にどのような形で影響を及ぼしているのでしょう。

ブランドってなんだ? - 起源は家畜の所有者を示す焼き印 -
 ブランドの由来は「焼き付ける」という意味の古期スカンジナビア語のbranderにあり、放牧している家畜の所有者を示すために押した焼き印が始まりといわれます。そこから派生して、同じような製品を識別するためのタグなどを表す言葉となり、現在ではそれ自体が重要な意味を持つようになりました。
 1998年に米国マーケティング協会(AMA)によって規定された定義では、ブランドは「ある売り手の財やサービスを他の売り手のそれと異なると認識するための名前・用語・デザイン・シンボル、およびその他の特徴」とあります。つまりブランドとは、製品や企業の銘柄・商標などを象徴する看板のようなものに当たるといえます。

- ブランドとは形の無い資産 -
 一言で「ブランド」といってもさまざまです。そのため、私たちは無意識にブランドを意識していることも少なくありません。
 みなさんは、買い物で同じ品質や機能の商品が並べられている時に、多少値段が高くても自分のお気に入りのブランドの商品を選んだ経験がありませんか。他社とまったく同一の機能・性能を持つ商品を販売する場合に、他社より高い値段を付けても売れるならば、それがブランドの持つ信頼力の証であり、魔力でもあります。
 とりわけ、企業にとってブランドとは、収益を得るための重要な「形の無い資産」とも言われ、企業買収や合併に際しては、そのブランド自体に対して巨額の代金が払われることも珍しくありません。
 例えば、その製品やサービスなどが優れていた結果、私たち消費者に広く名前が知れ渡り、好意的なイメージが生まれます。すると、消費者は「このブランドでなければ」と魅力を感じるようになり、例えほかの製品より値段が高くても納得して選ぶようになった結果、長期に渡る購入へと繋がるためです。

世界中が注目する「無形の価値」
- あらゆる要素が「ブランド力」を形成 -
 ブランドが人々に与える魅力は、総じて「ブランド力」と呼ばれます。 近年、このブランド力を向上させるためにさまざまな企業がフェイスブックやツイッターなどのソーシャルネットワークサービスを利用した、ファン獲得のためのブランド戦略を行っています。ブランド力とは良いモノを生み出すだけで確立するものではなく、販売促進の方法や顧客対応などの目に見えない要素が必要とされるため、企業は頭を悩ませているのが実情です。
 さらに、大手ブランドとなっても、その維持や保障は難しく、事件や事故はもちろん、風評などによって一気に信用を失う危険性もあります。昨今では、インターネット社会が広まった影響で、評判ひとつが株価などに直結することもあり、ブランド力の重要性はますます高いものとなっています。

- ブランド力は支持率や満足度の指標 -
 ブランドについては、あらゆるジャンルを対象にしたランク付けが世界中で行われており、企業やサービスの支持率や満足度の指標として公開されます。
 今年10月には、アメリカのコンサルティング会社「インターブランド」による企業のブランド価値のランキング「BEST GLOBAL BRANDS2012」が発表されました。財務力・ブランドが購買意思決定に与える影響力・ブランドによる将来収益の確かさという観点で評価をつけたもので、ブランド価値を1ドル=78円で換算しています。1位はアメリカのコカ・コーラでブランド価値77839百万USドル(約6・07兆円)、日本のトップは10位のトヨタで30280(約2・36億円)でした。

- 個人のブランド力が求められる社会に -
 企業や商品・製品に様々なブランドがあるように、近年、ブランドという考え方が私たち個人にも派生しています。その人ならではの価値や魅力をブランドとしてとらえ、唯一無二の個性を伸びやかに育てながら、自分らしさの溢れる充実した生活につなげようというものです。
 しかし、ブランドの価値を磨き上げるため、企業が並々ならぬ覚悟で努力を続けているのと同じように、個人のブランド力の構築や向上も、決して簡単なものではありません。4年間の努力の軌跡で魅せるオリンピックのメダリストや選手たちのように、個人としてのブランドを確立するためには地道な努力が欠かせないのです。

- イメージに惑わされず、客観的な判断を -
 みなさんが志望する大学を選ぶ上でも、ブランド力が見え隠れしています。世間での知名度や偏差値、校風や雰囲気、建物、立地、卒業生の活躍など、さまざまな要素から構成される「大学のブランド力」に注目している人は多いでしょう。しかし注意したいのが、こうした選択をする時、内容やプロセスがさほど重視されず、ブランドイメージだけに目を向けているというケースも多くあることです。
 ブランドとは、企業や個人などのたゆまぬ努力の上に成り立っています。しかし、ブランドという外見に惑わされることなく、本質に目を向け判断できる客観的な視野を身に付けることで、より充実した毎日に繋がるでしょう。
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