「国民の祝日」の由来を調べると新しい発見が!!【社会】

「国民の祝日」の由来を調べると新しい発見が!!

 土日の休日とともに、国民の祝日はうれしいものです。ところで、現在15日ある国民の祝日の由来を知っていますか? 11月には3日の「文化の日」と、23日の「勤労感謝の日」があります。この二つの祝日が誕生した背景は大きく異なります。何を祝って祝日となっているのでしょう。
 そもそも祝日にはどのような意味が込められているのでしょうか。

「国民の祝日」の由来を調べると新しい発見が!! - 日本国憲法の公布日が「文化の日」 -
 第二次大戦に敗れた日本は、連合国軍総司令部(GHQ)指導のもと、天皇主権の大日本帝国憲法(明治憲法)に変わる現在の日本国憲法を制定します。日本国憲法では「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を掲げ、これを日本国憲法の三大原則と呼んでいます。また、国民主権の原則に基づいて、明治憲法下で大きな力を持っていた天皇は、現行憲法では象徴天皇となりました。この結果、明治憲法下で定められた祝祭日は、現行憲法の原則に従って廃止、改称されました。
 日本国憲法が国民に広く公布されたのが1946年11月3日、実際に法律として適用されたのが半年後の1947年5月3日です。憲法を公布した11月3日を“自由と平和を愛し、文化を進める日”として「文化の日」と制定しました。そして、実際に施行された5月3日を“日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する日”として「憲法記念日」が制定され、国民の祝日になっています。

- 戦前の新嘗祭が「勤労感謝の日」に -
 勤労感謝の日は、戦後新しく誕生した「文化の日」などと異なり、戦前の祝祭日である新嘗祭を改称した形で生まれた祝日です。新嘗祭とは宮中行事の一つで、天皇が新穀を神々に供え、その後、神から供されたものとして天皇自らも食して収穫に感謝する日となっています。農村地区では、現在でも収穫を神に祈るさまざまな収穫祭が行われています。
 明治憲法下では、祭日には「皇室の祭典を行う日」という意味がありました。このため、新年を祝う四方拝や2月の紀元節などの国家の祝日と、皇室の祭典をあわせた総称として「祝祭日」と呼んでいました。
 現在では、法律で“国民の祝日は休日とする”と記され、祭日という言葉は出てきません。このため、新嘗祭は名称を「勤労感謝の日」と変え、その意義を“勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう日”として祝日に制定されています。

- 祝日法で、国民の休日が制定 -
 日本国憲法が施行された翌年の1948年7月に公布、即日施行されたのが「国民の祝日に関する法律(祝日法)」です。
 祝日法は三条からなり、第一条で国民の祝日について「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな社会を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを国民の休日とする」と定義されています。
 第二条で、祝日の名称、月日、意義などを明記し、第三条で国民の祝日を休日にすると記されています。
「国民の祝日」の由来を調べると新しい発見が!! 【それぞれの意味が込められた15日の祝日】
- 9日の祝日から、15日の祝日に増加 -
 現在、15日の祝日がありますが、明治憲法下で制定された12の祝祭日はすべて廃止、改称されています。その理由は、日本国憲法の原則や祝日法の定めにそぐわないためです。
 祝日法が制定された当時、国民の休日は元日、成人の日、春分の日、天皇誕生日、憲法記念日、こどもの日、秋分の日、文化の日、勤労感謝の日の9日でした。1966年には建国記念日、敬老の日、体育の日が加わり12日になりました。1989年には昭和天皇の崩御に伴い、天皇誕生日は4月29日から12月23日に変更され、4月29日はみどりの日となりました。また、1995年には海の日が制定されます。2005年には、みどりの日は5月4日に変更され、替って4月29日に昭和の日が制定されました。
 1998年に連休を増やすことを目的にハッピーマンデー法が成立し、成人の日、体育の日がそれぞれ1月・10月の第2月曜日に変更されました。さらに、2001年に海の日、敬老の日が7月・9月の第三月曜日に変更されています。連休を増やすことで、行楽地に出かける機会を増やし、経済活動を活発化させようというのが大きなねらいです。
「国民の祝日」の由来を調べると新しい発見が!! - 日本の祝日数は世界のトップクラス -
 日本の祝日の数は世界でもトップクラスです。西欧諸国は祝日は少ないものの、休みたい時に年次有給休暇を取り、長期の夏休みを取っています。こうしたこともあってか、年間労働時間は日本より短い国が多くなっています。日本にも年次有給休暇がありますが、自由に消化し難い労働環境にあり、諸外国に比べて祝日が多いにもかかわらず労働時間が長くなっているようです。
 文化の日や勤労感謝の日を前に、祝日を楽しむだけでなくその由来などを考えてみると面白い発見があると思います。
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