働くということ、 社会人として 自立することとは?【社会】

働くということ、 社会人として 自立することとは?


 現在、キャリア教育への取り組みが盛んに行われています。キャリア教育とは、社会人として「生きる力」を身につけ、社会的・職業的に自立を達成できるようにする取り組みです。学生から社会人・職業人へ移行し、自立するには、私達一人ひとりが社会との関わりについて考え、強く問題意識を持つことが大切です。職業人として社会で自立して生きるために何をすべきかを考えてみました。


働くということ、 社会人として 自立することとは? - 職業人とは仕事を通じて社会に参加する人のこと -
 皆さんは、やがて学生生活を終えて社会人として自立した生活を送るために職業に就きます。企業に入社する人、公務員になる人、学校の先生になる人、お医者さんや看護師、介護士を希望する人、あるいは農業や家業を継いで職人になる人などさまざまです。
 よく「社会人」という言葉を耳にしますが、それは学校や家庭の保護から自立して、実社会で生活する人の総称です。
 そして「職業人」というのは、社会の一員として自立した生活を営み、仕事を通じて社会に参加している人のことを指します。

- 経済的自立と自己管理、そして自己責任 -
 それでは社会人として自立するとはどういうことでしょうか?
 自立といえば、多くの人は経済的な自立を思い浮かべます。「なぜ働くのか」と問われれば、「生活するため」「生活費を稼ぐため」とほとんどの人が答えるでしょう。自分の生活費を自分で確保し、それに応じた生計を立てること、つまり「経済的自立」は大変重要なことです。しかし、それだけではありません。
 暴飲暴食や睡眠不足を避けて、日ごろから自分の健康管理を行うことも大切です。清潔で規則正しい生活のリズムを保ち、身体だけでなく気持ちも心も「自己管理」することは非常に重要です。そして自分の言ったことや行動に責任を持つことも大事です。
 社会人は、自分のことは自分で責任を持つ「自己責任」が求められます。

- 社会的自立とは社会の役に立っているということ -
 社会人は、働くことや仕事を通じて社会に参加しています。職業人としての社会参加とは、仕事を通して製品や作物を生産したり、商品やサービスを提供したりして人々の生活に関わり、国や社会に貢献することです。
 会社や役所、商店や病院などは人々の暮らしに役立っています。また職業人は、働いて収入を得ることによって国や地方自治体に税金や社会保険料を納めます。
 働くということは社会の一員として、国や地方自治体に貢献することです。つまり、社会的自立とは社会の役に立つということです。

- 働くことでやりがいや達成感を味わえる -
 人は働くことによって、仕事にやりがいや達成感を得ることができます。時には失敗したり、成績があがらなくて落ち込むこともあるかも知れません。しかし、それに負けることなく努力を重ねることで多くを学び、スキルを磨いて社会人、職業人として成長していきます。働き続けるということは、収入を得るだけでなく、新たな可能性への挑戦や、よりレベルの高い自己実現をめざすことにつながります。
 アスリートは、より高い記録や勝利を目指して苦しいトレーニングに耐えていきます。私たちも社会生活の中で、より高い目標に向かって頑張ることで、生き生きした前向きな人生を送ることができます。

- 自分に合った、自分らしい生き方を選ぼう -
 文部科学省では、キャリア教育とは「一人ひとりの社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通じて、キャリア発達を促す」と定義しています。
 人は生まれて老人になるまで、さまざまな経験を重ねながらそれぞれの立場や役割が与えられていきます。幼児の時は養育され、学生時代は学校で学び、やがて職業人となって社会的に自立し、家庭を築けば家庭人となります。
 こうした人生の過程で、「自分は何のために勉強するのか」「何のために働くのか」「どのように生きるべきなのか」を考え、悩みながら自分に合った、自分らしい生き方を選んでいきます。

【豊かな社会人、職業人を目指すキャリア教育】
働くということ、 社会人として 自立することとは? - 「社会人基礎能力」とは社会参加のための基本的な能力 -
 経済産業省では、社会に参加し仕事をするための基本的な能力を「社会人基礎能力」と呼んでいます。社会人基礎能力は、前に踏み出す力(アクション)、考え抜く力(シンキング)、チームで働く力(チームワーク)の3つに大きく分けられます。
 具体的には、物事に進んで取り組む力(主体性)、自分の意見を分かりやすく伝える力(発信力)、相手の意見を丁寧に聴く力(傾聴力)、社会のルールや人との約束を守る力(規律性)、自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力(状況把握力)などがあります。

- 充実した学生生活で社会人基礎力を養おう -
 社会人基礎力とは、社会生活を送るうえで必要な能力ですが、日ごろの学校生活で自然と身についていくものです。
 毎日の授業や、クラブ活動、アルバイトやボランティア、習い事や趣味のサークル活動などを通して、周りの人々や友達と仲良く付き合うコミュニケーション能力もそのひとつです。
 コミュニケーション能力は社会人として大変重要ですが、特別な能力というものではなく、さまざまな体験を通じてより豊かに備わっていきます。
 勉強やスポーツに、あるいはクラブ活動や地域などでの活動を通じて、充実した学生生活を送り社会人基礎力を養っていきましょう。

- 人間は社会で生まれ育ち、社会に参加して働き、社会を維持して生きる -
 古代ギリシャの哲学者アリストテレスの言葉に、「人間は社会的動物である」というのがあります。
 人間は社会の中で生まれ育ち、社会に参加し、社会のために働いて社会を維持しながら生きていく、という人間の社会性を簡潔に言い表しています。
 私たちの社会には多くの取り決めや約束事があります。社会を構成する一人ひとりがそのルールを守り、それぞれが社会の中の役割を分担して、会社や地域社会、地方自治体や国家といった社会組織を維持し、運営しています。
 私たちは社会の一員としての役割を自覚し、仕事を通して社会的責任を果たすことを期待されているのです。

- 学業に励んで自立のための実力を身に付けよう -
 社会人になるうえで最も重要で現実的な課題が就職です。長引くデフレ不況の影響で雇用環境は非常に厳しいものがあります。
 自分は将来どのような職業に就きたいのか、どんな仕事がしたいのか、ということを常に念頭に置いて、自分の性格や適性、長所や欠点など自分自身のことを考えてみましょう。
 今、国内では少子高齢化がますます進んでさまざまな問題が発生しています。
 一方、世界に目を転じると、貿易や経済の自由化のうねりの中で、日本は海外と激しい国際競争を繰り広げています。
 学生である皆さんは、これから職業人として社会的に自立するためには、しっかり学業に励んで実力を付けなければなりません。
 人生は努力の結晶だともいいます。皆さんの健闘と成功を祈りたいと思います。

【キャリア(Career)の語源】
 キャリアは中世のラテン語の「車道」を起源とし、英語で競技場や競馬場のトラックやコースを意味していました。そこから、人がたどる足跡、遍歴、経歴なども意味するようになりました。そして、特別な訓練を必要とする職業や職業上の成功なども表すようになったのです。
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