物価や株価はどのように決まる?【社会】

物価や株価はどのように決まる?


【景気の目安となる物価指数、株価指数とは?】
 物価が上がった、株価が下がったなどとよく耳にします。物価はモノの値段、株価は会社が発行する株式(株式証券)の値打ちです。この物価や株価の推移を示した物価指数や株価指数が、景気の良し悪しを判断する目安となっています。物価や株価はどのようにして決まるのでしょうか。そのしくみや経済との関わりを考えてみましょう。

物価や株価はどのように決まる? - 指数は物価や株価全体の水準、動きを示す -
 経済の世界で物価や株価といえば、一つひとつのモノの値段や株の価格ではなく、全体から見た物価や株価の水準や動きを指します。 その価格水準を示す数値や比率が指数と呼ばれるもので、物価の場合は物価指数、株価の場合は株価指数と呼ばれます。
 安倍政権が打ち出している経済政策の「アベノミクス」では、インフレからの脱却を目指して2%の物価上昇を目標にしていますが、ここでいう物価とは消費者物価指数のことを指しています。
 物価指数や株価指数は経済の状態を示す指標となり、景気を判断する重要な目安となっています。

- 日常生活の物価の動きを示す消費者物価指数 -
 まず物価について考えてみましょう。国民の金回りが良くなって、多くの人がモノを買えばモノがよく売れて物価は上昇します。逆に金回りが悪くなってモノを買う人が少なくなると、モノは売れなくなって物価は下降します。
 私たちは日常生活でさまざまな商品やサービスを購入しています。一つひとつの商品の値段については、前に買った時に比べていくら高くなったか安くなったかは分かりますが、全体に物価がどういう動きをしているのかは簡単に分かりません。
 平均的な物価の変動を数値に表したものが物価指数です。その物価指数は消費者物価指数と企業物価指数があります。

- 消費者物価指数は「経済の体温計」 -
 消費者物価指数というのは、消費者が購入する商品やサービスの値段の動きを、平均的な水準(物価水準)として把握するために作成された数値のことです。 消費生活の変化を反映する消費者物価指数は、生活必需品である食料品や衣類、電気製品といった物品購入費のほかに、授業料や理髪代、バス代、家賃といったサービス料金も含まれます。
 終戦間もないころ、日本は食糧難や極端なモノ不足で物価が高騰しました。政府(総理府)は昭和21年8月から、物価上昇の実態を把握するため物価指数を作成して、戦後の混乱期の物価の動きを測定してきました。
 現在の消費者物価指数は、総務省が食料品や医療費、光熱費など生活に必要な588品目を対象に、平成22年(2010年)の平均物価水準を基準(100)として比較した数値を月単位に公表しています。基準となる年は5年ごとに変更されます。
 経済は生き物だといわれますが、日常生活の経済の動きを敏感に反映する消費者物価指数は「経済の体温計」ともいわれます。

- 消費者物価指数は3種類を毎月発表 -
 消費者物価指数には生活に必要な588品目すべてを対象にした「総合の指数」と、「生鮮食品を除いた総合指数」、「食料品とエネルギーを除いた総合指数」の3つの数字に分けて毎月発表されます。
 生鮮食品は天候に左右されて価格変動が大きいため、生鮮食品を除いた指数を〝コア指数〟と呼びます。
 アメリカなどでは全体から食料と、やはり価格変動が大きいエネルギーを除いた指数を重視していますが、日本ではこれと同様の指数を〝コアコア指数〟と呼んでいます。
 今の消費者物価指数は、2010年の基準時を100としています。今年8月の消費者物価指数(総合)は103・6でした。生活必需品の物価が約4年前から3・6%上昇したことになります。
 
- 企業物価指数は日本銀行が毎月作成 -
 消費者物価指数に対して、企業間で取引される商品の価格の動きを示すのが企業物価指数です。以前は卸売物価指数と呼ばれていましたが、2003年1月から呼称が企業物価指数に変りました。
 企業物価指数は857品目を対象にして、その価格動向を毎月日本銀行がまとめて発表しています。
 企業物価指数には、「国内企業物価指数」、「輸出物価指数」、「輸入物価指数」の3つの基本分類に分かれます。
 国内企業物価指数は、国内市場向けの国内生産品を企業間で取引する価格の指数です。
 また輸出物価指数は、輸出品の価格を日本から積み出す時に調査したもので、輸入物価指数は輸入品の価格を日本に入ってきた時に調査したものです。
 企業物価指数は資材や部品、工業製品など生産財の受給動向を把握し、景気動向や金融政策を判断する材料となるほか、企業間で取引する際の値決め(値段決定)の参考に利用されます。

- 日経平均株価、TOPIXは代表的な株価指数 -
 物価と並んで景気判断の大きな目安となっているのが株価です。テレビのニュースなどで日経平均株価やトピックスという言葉を聞いたことがあると思います。
これは、東京証券取引所に株式を上場している大手企業や優良企業の株価(株式価格)の水準を表した株価指数です。
 毎日のテレビのニュースで「今日の日経平均株価は○○○円でした」、「トピックスは×××ポイントでした」とアナウンスされますが、日経平均株価やトピックス(TOPIX)は代表的な株価指数です。

- 株価は会社が発行する株を売買する時の値段 -
 そもそも株(株式)とはどういうものでしょうか。会社(株式会社)が活動するためには、事務所や工場などの設備、商品を作ったり販売したりするための元手となる資金が必要です。その資金を集めるために発行するのが株です。
 株と引き換えに資金を出す個人や団体を株主といいます。株は会社に出資したことを証明する証書のようなもので、株券とも呼ばれます。
 大手企業などの株は証券会社を通して売買することができます。売買できる株を上場株(または公開株)といい、それ以外の株は一般に売買できません。
 株の売買が行われる場所を「株式市場」と呼び、株を売買する時に付けられる値段を株価といいます。

- 株価は世界のさまざまな動きに敏感に反応 -
 株価は景気の先行指標とも言われます。近い将来、景気が良くなりそうだという期待感が高まると、株が買われて株価が上昇します。
 企業の業績や経済情勢だけでなく、世界の気象異変や内戦などの政情不安、自然災害などさまざまな動きに株価は敏感に反応します。
 株価が安い時に買って、高くなった時に売れば差益を得ることができます。これを株の売却益(キャピタルゲイン)といいます。  
 世界中の個人や会社、金融機関や政府機関などが資金を有利に運営するため、キャピタルゲインを求めて地球規模で株取引が行われています。

- 日経平均株価は景気を判断する重要な指針 -
 株価指数は、毎日大量に売買される株価の水準を表します。日本の代表的な株価指数である日経平均株価は、東京証券取引所に上場している約1700の企業から、日本経済に大きな影響を持つ225社の株(225銘柄といいます)を選び、ダウ式平均法という特殊な計算法で算出した平均株価のことです。
 1950年に東京証券取引所が計算を開始したのが始まりで、日本の景気を判断する重要な指針となっています。
 バブル景気の真っ只中の1989年12月29日に、日経平均株価は3万8957円の最高値を記録しました。またリーマンショックで世界中が金融不安に陥った2008年10月28日には、6994円の最安値を付けています。
 今日の日経平均株価はいくらか、テレビや新聞などで確かめてみてください。
物価や株価はどのように決まる? - TOPIXは東証上場企業の時価総額の推移を示す -
 日経平均株価と並んで代表的な株価指数の一つにTOPIXというのがあります。これは東証株価指数ともいわれ、東京証券取引所に上場している約1700社のすべての株の、その日の株価と株式数を掛けた時価総額の推移を数値で示したものです。
 1968年1月4日の時価総額を100とし、現在の時価総額を比較して数値化しています。
 例えば2014年10月11日のTOPIXは1243・09ポイントでしたが、これは1968年1月4日の時点から見て時価総額が12・43倍になっていることを示しています。

- 世界経済の動きを反映するNYダウ -
 景気が良いとか悪いとかよく言われますが、一般に景気が良くなれば企業の業績は向上し、株価も物価も上がって給料も増え、失業率は低下してみんながハッピーな状態になります。
 会社の収益や従業員の所得が増えますからモノは良く売れ、税収も増えて医療や福祉、教育などの行政サービスも向上します。
 景気を良くするためにどんな対策が講じられているのでしょうか。景気対策には大きく日本銀行の金融政策と政府の財政政策があります。 
 不景気になると給料が減ってモノが売れなくなり、世の中のお金の回りが悪くなります。そこで日本銀行は世の中に出回るお金の量を増やすため、民間の銀行に貸す金利(政策金利と言います)を下げてお金を借りやすくしたり、銀行が持っている国債を買ってお金の量を増やしたりします。
物価や株価はどのように決まる? 『景気対策とは?』
- 日銀は金融政策、政府は財政政策 -
 景気が良いとか悪いとかよく言われますが、一般に景気が良くなれば企業の業績は向上し、株価も物価も上がって給料も増え、失業率は低下してみんながハッピーな状態になります。
 会社の収益や従業員の所得が増えますからモノは良く売れ、税収も増えて医療や福祉、教育などの行政サービスも向上します。
 景気を良くするためにどんな対策が講じられているのでしょうか。景気対策には大きく日本銀行の金融政策と政府の財政政策があります。 
 不景気になると給料が減ってモノが売れなくなり、世の中のお金の回りが悪くなります。そこで日本銀行は世の中に出回るお金の量を増やすため、民間の銀行に貸す金利(政策金利と言います)を下げてお金を借りやすくしたり、銀行が持っている国債を買ってお金の量を増やしたりします。
 つまり金融政策とは、日本銀行が利子率を変えることによって、世の中のお金の量(マネーストックといいます)を調節する政策のことです。
 一方、政府の財政政策は、国債を発行して個人や企業から資金を調達し、その資金を公共工事に回して雇用や消費を増やして景気の回復を図ります。
 安倍内閣が打ち出している経済財政政策(アベノミクス)では、総額約10兆円に上る経済対策予算で公共工事を拡大するなどの財政政策を打ち出しています。
 また企業の競争力を高めるため、2015年度から、企業の利益にかかる法人税(実効税率)を引き下げる予定です。

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