こんなに恐ろしい「危険ドラッグ」 - キッズコーポレーションのハイスクールタイムス

こんなに恐ろしい「危険ドラッグ」【社会】

【薬物乱用のない社会を目指して】
　危険ドラッグの乱用者による深刻な事件や事故が多発しています。危険ドラッグは、「脱法ドラッグ」「脱法ハーブ」「合法アロマ」などと称して販売されていますが、実際は麻薬と同様に脳を刺激して興奮させる作用、鎮める作用、幻覚を起こす作用などがあります。その結果、自らの身体に悪影響を及ぼすだけでなく、事故などで他人を傷つけることもあり絶対に許されるものではありません。
　こんなに恐ろしい危険ドラッグを一掃するため、政府は昨年７月に「危険ドラッグの乱用の根絶のための緊急対策」を取りまとめ、危険ドラッグの根絶に向けての取り組みを強化しています。

- 危険ドラッグとは -
　日本では、覚せい剤、大麻、MDMA、コカイン、ヘロイン、あへん、向神経薬などといった薬物は、覚せい剤取締法、大麻取締法、あへん法、麻薬及び向神経薬取締法、薬事法で買ったり売ったりすることが禁止または制限され、違反すると懲役刑など厳しい罰則があります。
　危険ドラッグは、成分に指定薬物が混入していれば薬事法で輸入や製造・販売が禁止されます。しかし、法律の規制を逃れるために覚せい剤や大麻などの規制薬物の化学構造の一部を変えて作られた製品が出回り、大きな社会問題になっているのです。
　こうした危険ドラッグは、覚せい剤や大麻などと同等に人体に悪影響を及ぼします。それどころか、含有物が分からないために、より危険な成分が含まれている可能性も考えられます。
　こうした場合、適切な治療ができず、取り返しのつかない深刻な事態を招くこともあります。

- 用途を偽って販売 -
　法律によって規制されているいわゆる麻薬は、摘発を逃れるために古くから闇の世界で取引されてきました。
　しかし、脱法ドラッグは、法の網から逃れるために「脱法ドラッグ」「脱法ハーブ」「合法アロマ」など、あたかも安全であるような名称で、繁華街での店舗やインターネット上で販売されています。デザインされたパッケージ、カラフルな粉末・液体・乾燥植物から、危険な薬物であることを連想させないような工夫が施されています。
　しかし、例えば脱法ハーブは、乾燥植物にカンナビノイドという大麻に似た作用を持つ薬物を混ぜ込んで作っている例が多くみられます。また、最近では覚せい剤に類似したa-PVPという成分も検出されるようになりました。こうした薬物を乱用すると薬物依存に陥り、さらに服用による死亡事例や傷害事件などが報告されています。

- 名称を「危険ドラッグ」に統一 -
　危険ドラッグの服用で、幻覚、妄想といった精神障害、体の主要な器官に深刻な悪影響を及ぼし、最悪の場合には死に至ることもあります。それ以上に恐ろしいのは、薬物作用から幻覚などの精神障害に陥り、殺人、強盗、放火などの凶悪な犯罪や重大な交通事故などを引き起こすことです。また、薬物を購入するための犯罪も発生しています。
　これまで、こうした薬物を「脱法ドラッグ」「脱法ハーブ」「合法アロマ」など、さまざまな名称で呼んでいました。しかし、これでは危険性が十分に伝わらないということで昨年７月、厚生労働省と警察庁は新しい呼び名を一般公募し、その中から「危険ドラッグ」に統一することにしました。

- 危険ドラッグを規制するために -
　危険ドラッグを根絶するため、昨年４月に薬事法が改正されました。従来、厚生労働省が指定した有害な薬物の製造・販売・輸入などが禁止されていました。昨年10月時点で、厚生労働省の指定薬物は１４２２種類に達しています。
　改正された薬事法では、危険ドラッグの製造・販売・輸入はもちろん、個人で所有すること、購入したり譲り受けること、使用することなどの行為が新たに規制の対象になり、処罰（３年以下の懲役、３００万円以下の罰金）されることになりました。
　しかし、化学構造を変えた新しい危険ドラッグがすぐに出回るため、規制が追い付かないのが現状です。政府も危険ドラッグの根絶に向け、実態の把握の徹底と危険性の啓蒙強化、指定薬物の迅速な指定や危険ドラッグに係る犯罪の取締りの徹底、危険ドラッグの規制の在り方の見直しに着手していく方針です。また、自治体によっては独自に条例を制定し、取締りを強化しているところもあります。