繰り返される 自然災害に備えよう【環境】

繰り返される 自然災害に備えよう


 20年前の1月17日5時46分、当時国内観測史上最大の震度7を記録した阪神・淡路大震災が発生しました。あれから節目となる20年が経過し、被災地では例年を上回る規模で追悼の催しが開催されました。この間、2011年3月には東日本大震災、昨年の御嶽山の噴火、毎年のように見舞われる集中豪雨など、日本は数多くの自然災害を受けてきました。
 戦後の自然災害の分岐点ともなった阪神・淡路大震災を振り返り、今後も予想される自然災害に備えましょう。

繰り返される 自然災害に備えよう - 伊勢湾台風以来、最大の自然災害 -
 昭和30年代まで、日本は一度の台風や地震で1000人以上の死者・行方不明者を出す災害をたびたび被ってきました。主なものとして三河地震、カスリーン台風、福井地震、南紀豪雨、洞爺丸台風などがあり、1959年には5096人の死者・行方不明者を出した伊勢湾台風に見舞われました。
 その後、台風や地震で1000人を超える死者・行方不明者を超える自然災害を記録していません。こうした中、1995年1月17日に阪神・淡路大震災が発生し、関連死を含めた死者・行方不明者が6437人、住宅被害が約25万棟という戦後最悪の深刻な被害をもたらしました。
 そして、16年後の2011年3月に発生した東日本大震災では、阪神・淡路大震災の3倍近くに達する死者・行方不明者、約40万棟にも及ぶ住宅被害など、悲しい記録を塗り替えてしまう大災害を経験しました。
 さらに、解決が困難な原発事故も引き起こし、復旧・復興まで道半ばという厳しい現状にあります。
繰り返される 自然災害に備えよう - 阪神・淡路大震災と東日本大震災 -
 阪神・淡路大震災の大きな特徴は、淡路島北部を震源とし、そこから神戸・阪神間にかけて走る活断層が破壊した大都市直下型の地震でした。地震は地下16㎞という浅い所で起こったため、神戸・阪神間の住宅密集地を中心として被害が発生しました。
 一方、東日本大震災は、海側のプレートと大陸側のプレートとが接する海溝で起こりました。海溝型地震は規模が大きくなることや、津波を伴うことが特徴です。東日本大震災の地震の規模を示すM9・0は、1960年のチリ地震(M9・5)、1964年のアラスカ地震(M9・2)、2004年のスマトラ沖地震(M9・1)に次いで、世界の観測史上4番目の規模となっています。
 二つの地震のタイプが異なることは、被害の様子からでも伺えます。阪神・淡路大震災で亡くなった人のうち、77%が建物の崩壊などによる窒息や圧死です。さらに、地震発生直後に長田区などを中心に大規模な火災が発生しました。
 東日本大震災の特徴は、大津波によって広範囲にわたる沿岸地域で甚大な被害が発生しました。津波の高さは相馬で9・3mが観測されていますが、観測施設が損壊したところでは観測不能といった地域があったようです。また、湾の奥ではさらに高い津波が押し寄せたと推測されています。
繰り返される 自然災害に備えよう - 国の予算の約1割にも達する被害額 -
 阪神・淡路大震災の被害総額は9兆9268億円にも達しました。これは国の予算規模(2014年度一般会計予算95・9兆円)の約1割に相当します。この額に近いものとして、リニア中央新幹線の総事業費(約9兆円)があります。東日本大震災の被害額は、阪神・淡路を大きく上回る約16兆9000億円と見込まれています。
 どちらの災害でも、損壊家屋などの解体やがれき処理で生じた廃棄物処理が大きな問題になりました。阪神・淡路大震災では、解体現場から飛散するアスベストや粉じんが社会問題になりました。東日本大震災では膨大な量の廃棄物処理とともに、放射性廃棄物の処理に現在も悩まされています。

- 「ボランティア元年」と呼ばれた -
 阪神・淡路大震災の被災地に、全国から多くのボランティアが駆け付けました。震災後2年余りで延べ167万人、多いときには1日で2万人が活動しました。
 当初、倒壊現場の整理、食糧・物資配給、安否確認、避難所の運営などを行っていました。その後、仮設住宅などへの入居が進むにつれて、高齢者や子供などのケアにも取り組むようになりました。しかし、長期に渡って自主的な活動を続けることには様々な困難が伴います。 このため、民間の自主的な活動を支えるために、1998年に特定非営利活動促進法「NPO法」が制定されました。このため、阪神・淡路大震災は、後に「ボランティア元年」と呼ばれるようになったのです。ボランティア活動は、その後もナホトカ号流出油災害、新潟県中越地震などに引き継がれます。東日本大震災には昨年7月までに延べ138万人以上が駆け付け活動を続けています。
 現在、100~150年間隔で太平洋沿岸で起こると予想されている東南海・南海地震が心配されています。また、日本に2000以上も報告されている活断層がいつ崩壊するか予測は困難です。
 二つの大震災の経験を通して防災意識は高まっていますが、災害を未然に防ぐことは不可能です。このため、大震災の経験を活かして「常にその時に備える」と意識を片時も忘れないでいたいものです。
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