世界最大のスポーツ祭典 W杯ブラジル大会が間もなく開催【スポーツ】

世界最大のスポーツ祭典 W杯ブラジル大会が間もなく開催


【日本は5大会連続5回目の出場】
 2014FIFAワールドカップ(W杯)ブラジル大会が、6月12日~7月13日にかけて開催されます。ブラジルでの開催は、1950年の大会以来64年振りとなります。W杯は世界中の国と地域の代表が、サッカーの世界一を競う大会で、テレビの視聴数ではオリンピックを凌ぐ世界最大のスポーツイベントです。
 W杯開催までの期間に、サッカーの誕生から今日までの歩みを振り返っておきましょう。サッカーの歴史を知ることで、W杯ブラジル大会をより一層楽しめると思いますし、日本代表チーム「SAMURAI BLUE」の応援に熱が入ることでしょう。

世界最大のスポーツ祭典 W杯ブラジル大会が間もなく開催 - 古代人もボールを蹴って楽しんだ? -
 サッカーのルーツを辿れば、古代にまで遡ります。足でボールを蹴って遊ぶという意味では、人類の歴史が始まった当時からある種のボール遊びが行なわれていたようです。古代ギリシャやエジプト、ローマの遺跡からボールを蹴る人の壁画が発見されています。また、中南米で栄えたインディオ文明の遺跡からもさまざまなボールが発見されています。
 中国では、紀元前から鞠(まり)を足で蹴り合う「蹴鞠(しゅくきく)」という競技が行われ、これが最も古い形態のフットボールだとされています。中国の蹴鞠は、大和朝廷時代に日本に伝わりました。
 日本に伝わってからは、競技ではなく足で鞠を蹴りあげる技を競う蹴鞠(けまり)として独自の発展を遂げていきます。蹴鞠は平安時代以降、宮中や公家の間で盛んに行なわれ、江戸時代に入ると一般庶民も楽しむようになりました。現在でも「蹴鞠」は、蹴鞠保存会によって伝承されています。

- イギリスで「スポーツ」として成立 -
 フットボールは、近世末までヨーロッパ各地でレクリエーションとして親しまれていました。
 これを近代的な「スポーツ」として成立させたのが、イングランドのパブリックスクールです。当時のパブリックスクールでは、学校ごとにそれぞれ独自のルールを作ってフットボールを行なっていました。ルールを大別すると、イートン校などを中心とした「手を使うことを禁止したルール」と、ラグビー校を中心とした「手を使うことを認めたルール」の二大勢力が拮抗していました。これでは他校と試合をする時にルールの調整が必要になり不便でなりません。
 こうした対立を解消するため1863年10月、ロンドンに12のクラブが参加してルールの統一をめざした協議を開催しました。協議でまとめられた統一案に対し、ラグビー校が同意できずに席を立ち、サッカーとラグビーという二つの競技に分かれたのです。

- 大英帝国の世界進出で世界に伝播 -
 フットボールがサッカーとラグビーに分裂後、サッカーは非常に速いスピードでイギリス各地に広がっていきます。
 当時、イギリスは世界のあらゆる所に進出する大英帝国の時代でもありました。世界各地に進出したイギリスは、現地に駐在するイギリス人がサッカーに親しむとともに、現地の人々にも伝えていきました。
 19世紀末には、ヨーロッパ全域や、ブラジルなど南アメリカにも広がっていきます。アジア地域には、少し遅れて20世紀初頭に伝わるなど、サッカーはスポーツの枠を超えた文化として世界中に広がっていったのです。
 サッカーは一つのボールを足だけで操り、相手のゴールへ入れるというシンプルなスポーツです。そして、ボール以外に用具を必要としないため、経済的に恵まれない国や地域でもサッカーを楽しむことができます。このため、世界的なスポーツに発展したと考えられています。

- 日本へのサッカーの伝来 -
 日本にサッカーが伝えられたのは諸説あり、1866年に横浜でイギリス軍が試合をしたという説や、1872年に神戸の外国人居留地で行なわれたという説などがあります。いずれにしても、国際貿易港でイギリス人を中心とした外国人が、サッカーを行なったのが日本サッカーの始まりです。
 日本で大きく普及するきっかけになったのは、神戸市の師範学校で体育の中にサッカーが採用され、他の師範学校も相次いで採用したことです。教員を養成する師範学校で採用されたため、教員となった卒業生が各地の学校でサッカーを指導したことから瞬く間に全国に広がりました。
 なかでも、関西地区でのサッカーの普及はめざましく、1918年に大阪の豊中市で「第1回日本フットボール大会」が開催され、1975年まで大阪や兵庫を中心に開催されました。この大会が、現在の「全国高等学校サッカー選手権」として引き継がれています。

- 「サッカー」と呼ぶのは日本など数カ国 -
 ところで、「サッカー」と呼んでいるのは、日本とアメリカ、カナダなど数カ国に過ぎません。イギリスで生まれた「フットボール」という名称は、各国の母国語の中で外来語として使用され、世界中で「フットボール」と呼ばれています。
 しかし、日本やアメリカなどでは、「サッカー」と呼ぶことで、他のフットボールと区別しています。アメリカやカナダで「フットボール」といえば、アメリカンフットボールをさします。
 日本でもボールゲームが盛んに行なわれ、「フットボール」が直ちに「サッカー」と結びつき難いためサッカーと呼んでいます。ちなみに、日本サッカー協会の英語表記は、Japan Football Associationと世界基準に準じています。

世界最大のスポーツ祭典 W杯ブラジル大会が間もなく開催 【国際サッカー連盟(FIFA)の誕生】
- 1930年にウルグアイ第1回大会を開催 -
 サッカーの最高峰は、ワールドカップ(W杯)だといって間違いありません。国際サッカー連盟(FIFA)加盟国は208カ国・地域に達し、オリンピックの205カ国・地域を上回っています。
 しかし、サッカーの最初の国際大会はオリンピックのサッカー競技でした。第1回アテネ大会から公開競技として行なわれ、1908年のロンドンオリンピックでは公式競技となりました。ところが、アマチュア憲章を尊重するオリンピックとプロ化が進むサッカーとの間で摩擦が生じ、最強のナショナルチームがオリンピックに出場できなくなりました。
 このため、1904年に組織されたFIFAは、プロ選手も参加できるワールドカップを1930年に南米の小国ウルグアイで開催し、開催国ウルグアイが優勝しました。ウルグアイで第1回W杯が開催されたのは、1924年、1928年のオリンピックでウルグアイが2連覇したことが大きな要因となっています。

- 優勝最多国はブラジルの5回 -
 今回のW杯ブラジル大会は、1930年の第1回ウルグアイ大会から数えて20回目の大会となります。W杯はオリンピックの中間年に開催されますが、第二次世界大戦のために1942年、1946年大会は中止となり、1950年に第4回大会が開催され、それ以降4年ごとに開催されています。
 これまでの優勝国は、最多となる5回の優勝を誇るブラジル、4回のイタリア、3回のドイツと続き、ウルグアイ、アルゼンチンの各2回、イングランド、スペイン、フランスの各1回の8カ国となっています。
 優勝国にはFIFAワールドカップトロフィーと賞金が授与されます。前回の南アフリカ大会の優勝賞金は3000万ドルでしたが、今回は3500万ドルに引き上げられます。賞金総額は5億7600万ドルにも達し、前回の4億2000万ドルを大きく上回っています。

- 日本のW杯への長い道のり -
 日本がFIFAに加盟したのは1929年。W杯への初エントリーは、1938年のフランス大会でしたが、当時の政情不安によって辞退しました。その後、戦後の混乱の中、会費の不払いなどでFIFAから除名扱いとなります。
 日本が国際舞台に復帰したのは1950年、W杯予選にエントリーするのは1954年のスイス大会です。しかし、予選で韓国に敗れて本大会出場を逃します。それ以降、本大会出場まで44年もの歳月を要しました。
 その間、本大会出場に一番近づいたのは第15回のアメリカ大会でした。アジア地区最終予選のイラク戦で、ロスタイムに同点とされ、日本より下位だった韓国が逆転で本大会出場を果たしました。サッカーファンなら「ドーハの悲劇」として決して忘れることができない試合です。

- 第16回W杯フランス大会に初出場 -
 日本にとって、第16回フランス大会はどうしても出場しなければならない大会でした。それは、第17回大会が日韓共催で行われることが決まり、主催国は予選免除で出場できるため、その前に自力で本大会出場を成し遂げる最後のチャンスだったからです。
 アジア地区最終予選の3位決定戦で、イランを延長戦の末3対2で破り、1954年のスイス大会予選から44年、10回目の挑戦で悲願のW杯の出場権を獲得しました。延長の末勝利したこの試合は、「ジョホールバルの歓喜」と呼ばれています。
 しかし、初出場したフランス大会では、1次リーグでアルゼンチン、クロアチア、ジャマイカに3連敗してしまいました。
世界最大のスポーツ祭典 W杯ブラジル大会が間もなく開催 - ブラジル大会での活躍を期待して -
 日本はフランス大会以降、日韓大会、ドイツ大会、南アフリカ大会、そして今回のブラジル大会と5大会連続5回目の出場となります。初出場から5大会以上の連続出場はブラジル、イングランドに次いで史上3チーム目となります。日韓大会と南アフリカ大会では、1次リーグを突破して決勝トーナメントに進出しましたが、いずれも初戦で敗れてベスト16に止まりました。
 ブラジル大会では、既に1次リーグの組み合わせが決まっています。日本は6月14日にコートジボワール、6月19日にギリシャ、6月24日にコロンビアと戦います。この1次リーグを突破し、決勝トーナメントでこれまでのベスト16を上回る成績を残し、願わくば7月13日にリオデジャネイロのマラカナンスタジアムで行われる決勝戦まで勝ち残ってもらいたいものです。
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