世界で人気沸騰のe-スポーツとは【スポーツ】

【「やがては五輪種目」への夢が膨らむ】
シューティングや格闘、サッカーなどコンピューターゲームの腕を競い合うe-スポーツが世界で注目を集めています。アジア・オリンピック評議会(OCA)は、2022年に中国・杭州で開かれるアジア大会でe-スポーツを正式競技に採用を決めるなど、「やがてはオリンピック種目へ」の夢が膨らんでいます。トップゲーマーを目指して若い人達の間で人気沸騰中のe-スポーツを追ってみました。

e-スポーツは、エレクトロニック・スポーツの略で、コンピューターゲームやテレビゲームの対戦をスポーツ競技と捉えた対戦型ゲーム競技のことです。e-スポーツでは、シューティングや格闘技、サッカーなど競技性の高い対戦ゲームで勝敗を競いますが、プレーヤーの行動をデジタル化して、反射神経や高度な操作、素早い状況判断、チームの高度な連携が要求されます。
コンピューター上で競技するデジタル社会に生まれた新しいスポーツで、メンタルな面が重視される次世代スポーツとして、世界的に幅広い世代に広がっています。
日本ではまだ一般に浸透していないようですが、欧米や韓国、中国などでとくに人気が高く、世界各地でe-スポーツのタイトルを巡る国際競技が開かれて大きな盛り上がりを見せています。
- 世界のe-スポーツ競技人口は1億人を超える -
今年1月、日本で世界最大級の対戦格闘ゲーム「EVO Japan2018」が東京・池袋と秋葉原で開催され、「鉄拳7」や「ストリートファイターV」「ザ・キング・オブ・ ファイターズ14」などの人気ゲームで腕を競い合いました。EVOは1995年に米国で初めて開かれた伝統の大会で、24年目となる今年は米ラスベガスのほか初めての日本開催となりました。
また昨年8月に、千葉の幕張イベントホールでオンライン対戦ゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」の日本リーグ決勝戦が開催されました。同年9月には、同じく幕張メッセで開催された東京ゲームショウ2017で、ソニーとサムソンの2つの特設会場で「e-Sports X」の競技が開かれ、対戦型格闘ゲームやファースト・パーソン・シューティングなどで、強豪プレーヤーのエキシビジョンマッチに会場が沸きました。
そして昨年11月に北京で「リーグ・オブ・レジェンド」の公式世界大会決勝戦が行われ、会場の北京国家体育場(愛称「鳥の巣」)には4万人以上の参加者でにぎわいました。
世界のe-スポーツ競技人口は1億人を超え、『リーグ・オブ・レジェンド』や『スタークラフト2』などのタイトルゲームは、プロフェッショナルスポーツとして認定されています。

e-スポーツでは後進国と言われる日本ですが、2015年4月に日本e-スポーツ協会が発足し、16年3月に第1回のe-スポーツ日本選手権が開催されました。
この年の11月には、サッカーJ2の東京ヴェルディのe-スポーツチームをはじめ、全国6つのチームが参加して国内初の全国規模のリーグ「日本e-スポーツリーグ」が開幕しました。
ウィンター、サマーの年2回のシーズンで、参加各チームが3種類のゲームで総当たり戦を実施しています。
日本e-スポーツリーグのスタートに合わせてNTTデータが、リーグに所属するチームや選手に向けたサービスとして、全試合の動画アーカイブサービスを開始しました。
- 22年のアジア大会でe-スポーツが正式種目 -
実際のスポーツとe-スポーツの連携も進んでいます。世界の動きを見ると、国際サッカー連盟(FIFA)がサッカーゲームのe-スポーツW杯を主催しているほか、ドイツやイギリスなどではいくつかのプロサッカーチームが傘下にe-スポーツチームを持っています。
また米国のプロバスケットボール協会(NBA)は、今年からe-スポーツリーグを開設します。
そして22年に中国・杭州で開かれるアジア大会で、e-スポーツが正式種目として競技されることになりました。これに先立って今年8月、ジャカルタで開かれるアジア大会ではデモンストレーションの競技が行われます。
- 24年パリ五輪でe-スポーツの正式種目化を目指す -
東京の次に2024年に開かれるパリオリンピックで、e-スポーツを正式の競技種目に採用する動きが出ています。昨年10月にドイツ・ローザンヌで開かれたIOC(国際オリンピック委員会)の五輪サミットで、e-スポーツをオリンピック競技種目とする方向で検討することが話し合われました。
日本でも今年2月にe-スポーツ業界3団体が一つに統合して「日本eスポーツ連合」が発足し、日本オリンピック委員会(JOC)への加盟を目指します。また「プロライセンス」を発行して、プロのe-スポーツゲーマーを誕生させ、e-スポーツを飛躍的に拡大させる考えです。
【「スマートフォンの普及で人気が急増」】
- 政府がe-スポーツにアスリートのお墨付き -
昨年7月に、米国ラスベガスで開かれた格闘ゲームの世界大会「EVO」の『ストリートファイターⅤ』部門で、日本人選手の「ときど」が優勝しました。
e-スポーツは、会場だけでなくインターネット中継で同時に多くの人が観戦でき、サッカーや格闘技、銃撃戦、チーム対戦、ハードバトルなど多彩なジャンルがあります。
2016年に、韓国から来日したe-スポーツ選手に、入国管理局が野球やサッカーのプロ選手と同じ興行ビザを発行し、政府がアスリートとしての〝お墨付き″を与えたと注目されました。
1990年代後半から活発化したe-スポーツですが、日本では専用ゲーム機で楽しむスタイルが主流となっていたため、欧米や中国、韓国などに比べて普及は7年程度遅れているといわれています。ただスマートフォンの普及で、日本でもe-スポーツの人気が急上昇しています。